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給与所得者以外の逸失利益算定事例集-事業所得者・自由業・会社役員等-

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概要


逸失利益算定の3要素はどう認定されたか?

◆評価が難しい給与所得者以外の者の逸失利益について、職業・属性別に事例を掲げて解説しています。
◆判決内容について、「基礎収入」「労働能力喪失率(生活費控除率)」「就労可能期間」の3つの要素から分析しています。
◆実務経験豊富な弁護士による執筆で、信頼できる内容です。

商品情報

商品コード
5100049
ISBN
978-4-7882-8502-6
JAN
9784788285026/1923032047005
サイズ
B5判
巻数
1
ページ数
378
発行年月
2019年2月

目次

第1章 総論

第2章 事業所得者(個人事業者)
〇概 説
〔1〕一級建築士事務所を独立開業した被害者の後遺障害(左右両膝の痛み等、10級該当)による将来の逸失利益につき、性差が賃金センサス上の賃金のように顕著な差異を生ずるものではなく、女子労働者ではなく男子労働者の賃金センサスを基礎とすることが合理的であるとして、賃金センサス昭和60年第1巻第1表企業規模計・産業計・男子労働者学歴計・旧大新大卒30~34歳の年収を基礎収入として認定した事例
〔2〕74歳のクリーニング店を営む被害者につき、被害者側は月額40万円の収入を主張したが、これは認められなかったものの、妻と二人暮らしでクリーニング店を営んでいたことは認められるとして、65歳以上男子の賃金センサスを基礎収入として算定した事例
〔3〕鰻店を経営していた被害者の基礎収入につき、過去の店の売上金額を基礎に標準所得率及び被害者の寄与率を乗じた金額を認めず、事故前3年間の青色申告所得の平均額を基礎収入として算定した事例
〔4〕46歳の土木経営者の逸失利益につき、事故後に作成された確定申告書記載の申告額は証拠からは認定できないとして、賃金センサスの平均賃金を基礎に算定した事例
〔5〕個人タクシー運転手の逸失利益について、事故後タクシー運転業を廃業せざるを得なかった事情は慰謝料で勘案することとして、たとえそのような事情があったとしても、事故前年度における必要経費控除後の所得額を基礎収入として労働能力喪失率14%と認定した事例
〔6〕事故により後遺障害(左上肢及び左膝の神経症状により14級)を残した被害者(症状固定時50歳・性別不明・針灸・マッサージ業)の逸失利益算定に際し、後遺障害の内容、程度、仕事内容、事故前後における眼の障害内容の推移に鑑みて、17年間にわたり労働能力が20%喪失したものとされた事例
〔7〕土木建築請負業経営者の逸失利益について、申告所得額は低額であったものの、申告売上額、被害者本人尋問からうかがうことのできる被害者の生活レベル等から判断すれば、確定申告の所得額が被害者の所得金額を正確に反映しているものとは認め難いとして、年齢別賃金センサス男子労働者学歴計の8割を基礎収入として認定した事例
〔8〕ペンション経営を計画していた被害者につき、同年齢より上の賃金センサスを基準に算定した事例
〔9〕材木仕入れ販売業を営む個人営業者の後遺障害逸失利益計算において、申告外所得が存在する蓋然性が認められた事例
〔10〕クリニック開業医につき、事故前年度の確定申告書額を基礎としつつ、事故の年に売上が増加していることを斟酌して基礎収入を前年度の申告額に1割を加えた額として算定した事例
〔11〕個人事業主(プログラム開発等)の逸失利益について、事故前3年間の青色申告特別控除前の所得金額の平均額に自宅家賃の半額を加算した額で認めた事例
〔12〕飲食店経営者の逸失利益について、申告所得額は低額であったものの、申告所得額に固定経費(地代家賃)を計上した金額が事故時の学歴計全年齢女子平均賃金を上回ること、未成年の子2人を扶養していたこと等から、学歴計全年齢女子平均賃金を基礎収入として認定した事例
〔13〕音響機器を自ら設計、製造、販売する者の逸失利益について、申告所得額は低額であったものの、専従者給与は本件では被害者の収入と評価すべきであることや取り扱う商品の評価等に照らして、賃金センサス平成22年・第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴計・男子全年齢平均賃金である523万0200円の60%を基礎収入として認定した事例
〔14〕ミニコミ紙の制作を始めたばかりの被害者につき、最初の9か月は赤字であったが、直前の2か月は黒字で収入は増加する見込みであったこと、以前に経営していた新聞販売店の事故前3年間の平均収入が、同年齢の賃金センサスを上回っていたことから、同賃金センサスを基礎として算定した事例
〔15〕比較的高齢の個人事業主(トラック運送業)の逸失利益について、申告所得額は低額であったものの、道路運送業者一般における変動経費率を資料から認定し、事故発生年度の実際の売上に変動経費率を乗じて得られた経費額を売上から控除して所得額を認定した事例
〔16〕事故前年度に事故とは無関係の病気等で申告所得額が低かった歯科医の逸失利益について、所得の減少は受傷及び疾患等の一時的な事情によるものであるとして、事故前3年間の申告所得額に専従者給与額を加算したものの平均を基礎収入として認定した事例
〔17〕期間が定められた契約に基づき、放送受信料の集金等を業として行う個人事業主の逸失利益について、症状固定から7年間は、629万2600円(平成24年の賃金センサス男子学歴計55歳から59歳の平均賃金)、その後4年間は362万4300円(平成24年賃金センサス男子学歴計65歳ないし69歳平均賃金)を基礎収入として認定した事例

第3章 自由業
〇概 説
〔18〕箏曲の師範であるとともに、夫の錺金具(仏具金具)制作手伝いをしていた被害者の死亡逸失利益につき、師範の収入項目ごとに実態に即した算定を行った事例
〔19〕植木や盆栽の手入れを行う仕事に従事していた高齢者(82歳・男)の後遺障害(併合7級)の逸失利益につき、事故時の収入全てにつき症状固定後1年間について認めた事例
〔20〕下請け縫製業者の後遺障害による逸失利益につき、7年間、50%の労働能力喪失を認めた事例
〔21〕クラブの雇われママの他覚的所見のない頭痛等の神経症状(14級10号該当)につき、労働能力喪失期間を7年間とした事例
〔22〕漁師の逸失利益における基礎収入の算定に関し、被害者が主張する、申告所得額と異なる収入額に基づく請求を排し、事故前年の申告所得により算定した事例
〔23〕民謡及び三味線師範である被害者の死亡逸失利益につき、65歳以上女性労働者平均賃金を基礎にその7割5分を基礎収入として算定した事例
〔24〕プロの囲碁棋士の逸失利益につき、正座できないこと、集中力を欠くようになったことなどを考慮して、労働能力喪失率を算定した事例
〔25〕喫茶店経営者の後遺障害による逸失利益につき、平成14年賃金センサス産業計・規模99人以下・調理師男性労働者の全年齢平均賃金を参照して、月額29万1800円(年額350万1600円)を基礎収入とした事例
〔26〕ラーメン店経営会社の代表取締役の後遺障害による逸失利益につき、事故年度の市民税等課税証明における給与所得額を基礎として、7年間、14%の労働能力喪失を認めた事例
〔27〕自営で花屋を開いていた被害者が、事故前年度の確定申告書を提出していなかったものの、被害者側の立証を考慮して、賃金センサスの全産業・企業規模別計の高専・短大卒の女性労働者全年齢の平均賃金を得ることができる高度の蓋然性を認めた事例
〔28〕画家である被害者が、確定申告書上の金額が僅少で経費率の立証も不十分であったことから、売上の6割を基礎収入として認めるとともに、被害者の職業・年齢と後遺障害の影響を考慮して、併合12級の後遺障害に対し労働能力喪失率を50%と認めた事例
〔29〕ペットショップ経営者である被害者が、事故前年度の確定申告書を事故前に提出していなかったものの、長年経営が続いていたペットショップの経営者であることを考慮して男性学歴計の平均賃金を基礎収入と認めた事例
〔30〕顔面醜状の症状固定時22歳ホステスの逸失利益について、35歳までは現実収入で、それ以降は女性平均賃金で認めた事例
〔31〕14級の症状固定時25歳男性調理師の逸失利益について男性全年齢平均賃金で67歳まで認定した事例
〔32〕給与が現金支給で給与明細のないダンサーである被害者について、一定の収入があり、生活を営み、貯蓄をしていたことは認められるなどとして学歴計・女性年齢別平均賃金を基礎収入と認めた事例
〔33〕後遺障害等級併合12級の競輪選手(症状固定時45歳)の逸失利益につき、50歳までは競輪選手としての年収を基礎に14%の労働能力喪失率で、50歳から67歳までは全男性の平均賃金を基礎に14%の労働能力喪失率で、算定した事例
〔34〕僧侶の後遺障害逸失利益算定に当たり就労可能年数を67歳までではなく、平均余命の2分の1の期間までとして算定した事例
〔35〕会社代表者として給与所得を得たり、他社の業務委託を請け負ったりする一方で、自身が開発したヒットアプリの売上に伴う収入をも得ていた者の後遺障害による逸失利益につき、変動の大きいヒットアプリの売上による所得増加を期間を限定して基礎収入に反映させた事例
〔36〕外貌醜状(12級14号)の後遺障害を残す衣料品店準社員の症状固定時25歳男性の被害者につき、音楽大学卒業後、舞台俳優を目指して、現に歌手やダンサーとして舞台活動を行っていることから、現在は250万円余の収入しかないものの、将来的に平均賃金程度の収入を得る蓋然性があるものと認め、賃金センサス男子労働者の全年齢平均賃金524万円余を基礎とした事例

第4章 会社役員
〇概説
〔37〕事故により傷害を負った会社代表取締役である被害者(症状固定時59歳・男)につき、被害者の行っていた各事業は極めて不確かなものであり、事故の年の申告所得額1641万円余を逸失利益算定の基礎とすることはできないが、被害者が事故前の数年にわたって継続的に賃金センサスによる男子大卒の同世代の者の平均賃金をはるかに上回る年収を得ていたことがうかがわれるとして、年収額を1000万円として逸失利益を算定した事例
〔38〕同族会社の代表取締役の逸失利益につき、役員報酬に利益配当が含まれており、労働能力の対価部分は収入の6割として算定した事例
〔39〕テレビ番組等の企画・制作等を業務とする会社の会社役員につき、死亡直近の現実の役員報酬全額が基礎収入と認められ、生活費控除率を45%とするのが相当であるとされた事例
〔40〕69歳男性会社代表取締役につき、事故時の報酬のうち、月額30万円を基礎収入とし、また、厚生年金を受給していたことから、平均余命13年間の年金収入を認め、そのうち6年間は稼働収入も認め、生活費控除率を30%とした事例
〔41〕複数の小規模会社の役員を兼任する被害者につき、稼働状況、報酬額、他の役員の年収額と対比するなどして、現実の役員報酬額を基礎として算定した事例
〔42〕有限会社の代表取締役をしている被害者につき、当該有限会社と被害者自身が経済的に一体をなしていること、被害者が会社から受けていた報酬は全て労務の対価と認められるとして、被害者が死亡する前年に有限会社から受けていた報酬全額を基礎として算定した事例
〔43〕他人名義で役員報酬を受け取っていた被害者につき、他人名義の役員報酬も実質的には被害者本人の報酬と認定し、ただし、労務対価部分は役員報酬の約5割(賃金センサスの3割増程度)として基礎収入を算定した事例
〔44〕会社の従業員兼取締役につき、事故時の年収を基礎に算定し、将来の昇給・退職金については、不確定要素が大きいとして認めなかった事例
〔45〕77歳の有限会社役員につき、役員報酬が低額のため実額を基礎収入とし、退職慰労金等についてはこれを否定し、その上で年金所得を加算し、生活費控除率を40%と算定した事例
〔46〕事故により傷害を負った被害者(63歳・男・会社代表取締役)の給与収入の中には労働対価部分の占める割合は相当程度あったものと認めるのが相当であるとし、基礎収入の算定に当たっては月収額の6割に相当する51万円をもってするのが相当であるとされた事例
〔47〕父が実質的オーナーである会社の代表取締役で独身の被害者につき、報酬月額の70%を労働対価部分と認めて算定し、将来の役員退職慰労金について将来支払を受けられるか不確実であるとし損害として認定しなかった事例
〔48〕建築業経営者について、確定申告書上の所得以外の申告外所得の存在を認め、経費などが不明確であることから賃金センサス第3巻第16表における企業規模5ないし9人の建設業の学歴計・65歳以上男性労働者の平均年収を基礎収入と認定した事例
〔49〕役員報酬実額が同年齢の賃金センサスより低額である被害者(59歳・男・会社役員)につき、報酬実額を基礎収入として算定し、賃金センサスの金額を認定しなかった事例
〔50〕自らが代表取締役を務めつつ、職人の差配、現場監督を行うほか、自ら鳶職として現場作業にも従事していた者の基礎収入に関し、事故前の会社からの給与額の65%を労働の対価部分と認定した事例
〔51〕会社役員(1級土木施工管理技士・監理技術者資格者)の逸失利益について、役員報酬月額100万円全額を労務提供部分と認定した事例
〔52〕50歳の会社役員につき、50~60歳までは役員報酬のうち労務対価部分を基礎収入にし、60~67歳までは同年代の賃金センサスを基礎収入とし、68~80歳までは現時点で算定した年金受給見込額を基礎収入とし、67歳までの生活費控除率を30%、68歳以降は50%として算定した事例
〔53〕小規模会社の役員を務める被害者につき、現場作業を含め会社の業務全般を実際に行っていること、被害者死亡後売上高が大きく減少したことなどから、同年齢の賃金センサスを超える役員報酬全額を労務対価部分として算定した事例
〔54〕会社役員で、経理・財務に関する業務に従事していた者について、役員報酬額と業務内容との関係性等に着目して、労務対価部分を認定した事例
〔55〕会社の事業である警戒船及び通船業務を一人で行っていた68歳の会社役員につき、会社に利益が生じた場合は内部留保していたことから、同年齢の賃金センサスをはるかに超える年額1125万円の役員報酬全額を労務対価部分と認め算定した事例
〔56〕個人会社役員の逸失利益につき、財務政策上低く抑えた役員報酬額ではなく、賃金センサスにて算定した事例
〔57〕呉服店を経営する会社の代表者が、会社から支給される給与については事故前後で減収がなかったものの、賃金センサス男性学歴計70歳以上の平均年収額の70%を基礎収入とし、高次脳機能障害1級1号の認定を前提として社会生活水準の低下を考慮して労働能力喪失率を86%とした事例

第5章 農業従事者
〇概説
〔58〕妻と2人で農業兼酪農を営む被害者につき、同県内の同規模農家の平均所得を参考に基礎収入を算定した事例
〔59〕一家で農業に従事する者について、農業収入全体と被害者自身の寄与率を認定した上で基礎収入を認定した事例
〔60〕林業及び自家用農作物の栽培に従事していた被害者につき、判明している所得は相当低額であるが、同年齢の平均賃金で算定した事例
〔61〕年金受給中の農業手伝いの83歳男性が死亡した際の労働能力喪失期間の算出に当たり、年金収入の労働能力喪失期間は生存可能期間である6年間としつつ、農業収入の労働能力喪失期間は3年間として差を設けた事例

第6章 外国人
〇概説
〔62〕観光目的で来日した外国人の逸失利益の算出について、第一審は本国での収入を基礎に算出すべきと判断したものの、生活実態や支給されている給与や福利厚生を詳細に検討し、日本での賃金センサスによるべきとした事例
〔63〕日本において在留期間の更新を継続していた中国人について、逸失利益の算定を我が国の賃金センサスに基づいて算定した事例
〔64〕3か月の予定で研修滞在中の外国人獣医師の逸失利益について、日本の賃金センサスによる平均給与額を基礎に算定すべきではないとした事例
〔65〕短期滞在資格者である被害者の就労は違法就労であるものの、事故時から3年間は日本国内の収入を基礎として算定した事例
〔66〕外国より観光目的で来日し短期滞在中の建物作業員の逸失利益について、日本の賃金センサスによる平均給与額を基礎に算定すべきではないとした事例
〔67〕大学院留学目的で来日中の外国人の逸失利益の算出について、国籍にかかわらず被害者が将来どこでどのような職業に就く蓋然性が高いかなど被害者の将来の労働形態を認定し逸失利益を計算すべきとして、被害者には日本で就職する蓋然性が高かったと認めることができないため、母国の賃金センサスを基礎として算定した事例
〔68〕不法残留状態にある中国人の逸失利益について、症状固定日から2年間は日本における実収入を、その後67歳までは日本における実収入の3分の1を、それぞれ算定基礎とした事例
〔69〕不法残留外国人ホステスの逸失利益につき、事故後3年間は日本の賃金センサスの当該年齢の平均賃金としつつ、その後67歳までは母国女子の平均賃金を基礎に算定した事例
〔70〕就労ビザを有しない中国人留学生の逸失利益について、来日目的、在留期間更新の実績、及び本人の意思などから、大学院修了後10年間は日本における賃金センサス・男子労働者平均年収額で算出しつつ、それ以後は、中国にて就労すると考えるのが相当であるとして同年収額の3分の1が相当とした事例
〔71〕日本人の配偶者等の在留資格でゴルフのキャディーとして稼働していた外国人女性の逸失利益について、生活状況や来日の目的などからあくまで長期在留資格があるとしても、出稼ぎ労働であることを推測し、事故後10年間は日本における事故前収入を基礎に算出するが、それ以後は、事故前収入の約3分の1を基礎とするべきと認定した事例
〔72〕就労の在留資格はないものの、土木会社に勤務する外国人の逸失利益について、事故から3年間は日本国内での就労の蓋然性を認め、4年目以降は、母国のスリランカでの収入を推測して算定した事例
〔73〕将来は日本でプロ活動することを企図しながら、アルバイトに従事していた、メキシコ国籍の元プロサッカー選手につき、基礎収入を日本の賃金センサスの全男性平均の70%と算定した事例
〔74〕永住意思があり、かつ、永住の実現可能性が高い外国人被害者の死亡による逸失利益の算定に当たり、基礎収入を日本の賃金センサスを用いて認定した事例
〔75〕中国で出生し、同国で服飾デザイナーとして稼働した後、在留資格1年間として来日し、事故時日本で稼働していた婦人服デザイナーの基礎収入を算出するに当たり、事故後3年間は日本での収入が見込めるため日本における収入を基礎とすべきであるが、それ以後については、中国での賃金水準をも考慮して、賃金センサス男女計・学歴計・全年齢平均年収額の3分の1を基礎とすべきと判断した事例

第7章 無職者・アルバイト等
〇概説
〔76〕66歳の町議会議員の逸失利益の算出に当たり、次回の選挙においても当選する可能性が高いことを根拠として、基礎収入を次回の任期中の報酬相当金額として認定した事例
〔77〕両親らのために家事をしていた独身女性の逸失利益につき、実収入ではなく、女子平均賃金の4分の3に相当する金額を基礎に算定した事例
〔78〕ダイビングインストラクターを目指していた女性の被害者につき下肢の醜状痕などを実質的に考慮して逸失利益を算定した事例
〔79〕大学卒業後アルバイトに従事していたが、中国留学を計画していて、将来的には貿易関係の仕事に就くことを希望していたこと等を踏まえ、大学卒男子全年齢平均賃金を用いて基礎収入を算定した事例
〔80〕バンド活動をしているアルバイト従事の被害者の基礎収入を算出するに当たり、アルバイトによる収入は賃金センサスの3割に満たないものの、被害者が若年であること、就労実態があること、被害者の就労への意思などを考慮して、同基準の7割程度の収入の蓋然性を認定した事例
〔81〕前年に定年退職した無職者で、特に再就職活動をしていた実績などは認められないが扶養すべき家族がいた事案について、事故発生の前々年度の年収を基礎収入として認定した事例
〔82〕大学卒業後にアルバイトに従事していた被害者の従前の仕事内容たる造園設計と、腕関節の参考運動である回内・回外運動の可動域制限を考慮して、労働能力喪失率を20%とした事例
〔83〕戸籍上女性、心理上男性の性同一性障害者であるアルバイト従事の被害者の後遺障害逸失利益の基礎収入を賃金センサス男性労働者全年齢平均賃金の80%とした事例
〔84〕無職で一人暮らしであったが症状固定後長男家族と同居し家事を分担する等の就労の可能性がある被害者に、賃金センサス65歳以上女性労働者の平均賃金の70%を基礎とした逸失利益を認めた事例
〔85〕7級相当の外貌醜状の症状固定時24歳無職女子の逸失利益について、事故直前までホステス、音楽活動に従事していたことや、事故後、実際に音楽活動を再開した等の事情に照らすと、稼働意欲を否定できず、将来にわたって、平均賃金相当の収入を得る蓋然性があったと認定し、基礎収入を全女子平均賃金で認定し、67歳まで労働能力喪失率20%で認めた事例
〔86〕外貌醜状9級の症状固定時46歳無職男子の逸失利益について55歳まで労働能力喪失率10%、その後12年間を5%で認めた事例
〔87〕農作業に従事し、収穫された作物を近隣や親戚に配るなどしていた無職者について、年齢別平均賃金の30%を基礎収入として認定した事例

第8章 その他
〇概説
 第1 再就職内定者・休職者
〔88〕有名私立大学を卒業して就職した後に、留学をしてMBAを取得し、大卒男子平均賃金を上回る給与を得ていた被害者につき、再就職時に年俸1500万円等の条件で内定を得、翌年も同程度の年俸で契約更新する可能性は低いとはいえず、後遺障害等級14級の労働能力喪失期間5年間にも年間1500万円の収入を得た蓋然性があるとして、逸失利益を算定した事例
〔89〕近い将来タクシー会社を設立する確実な予定があったタクシー運転手の基礎収入を算出するに当たり、タクシー会社からの給与収入の額を基礎とせず、企業規模計・学歴計・全労働者の全年齢の平均賃金を基礎とした事例
〔90〕事故時、休職中で復職の目処は立っておらず、事故後に仕事を辞めた被害者について、事故と失職との因果関係を否定しつつ、休職前の収入をもって基礎収入と認定した事例
 第2 幼児・学生等
〔91〕死亡した女子小学生(8歳)の基礎収入について、女子労働者の平均給与額に限らず、家事労働相当額として年60万円を加算して算定した事例
〔92〕事故後、高校を退学してスーパーに勤務していた被害者(症状固定時17歳男性)について、基礎収入を賃金センサス学歴計・男子労働者全年齢平均として、67歳まで79%の労働能力喪失を認めた事例
〔93〕死亡した男子中学生(14歳)の基礎収入額算定について、被害者が在籍していた中学校から大学への進学率が約80%であると認められるとしても、大学を卒業することの蓋然性が高度であるとは認められないとして、大学卒の賃金センサスによることを否定した事例
〔94〕女児(3歳)の後遺障害(下肢の露出面に掌大の醜い跡を残すもの、14級5号)につき、逸失利益を認めず慰謝料算定の斟酌事由とした事例
〔95〕死亡した男児(6歳)が、大半の卒業生が大学に進学している私立小学校に合格し入学が決まっていたことから、諸般の事情を考慮し、基礎収入を大卒男子労働者全年齢の平均年収とした事例
〔96〕左足関節の機能に著しい障害を残す大学生につき、職業選択の範囲が制限されること自体が労働能力の喪失にほかならないとした事例
〔97〕事故時及び症状固定時高校3年生であった被害者につき、事故の結果一浪せざるを得なかったと推認でき、事故がなければ22歳から就労できたといえるとした事例
〔98〕小学生(10歳)の後遺障害(左下肢の欠損等、併合3級)による逸失利益について、大卒者の平均賃金を基礎収入として、67歳まで100%の労働能力喪失を認めた事例
〔99〕意識障害、四肢麻痺等で後遺障害等級1級3号該当の16歳の高校生につき、推定余命を制限的に考えずに61年間とし、生活費控除も否定して逸失利益を算定した事例
〔100〕事故時大学生で、現時点において就職の見込みが立っていない男性の高次脳機能障害(5級)による逸失利益について60%の労働能力喪失を認めた事例
〔101〕死亡した女子中学生(14歳)の逸失利益算定について、基礎収入を女性労働者の全年齢平均年収ではなく、全労働者の全年齢平均年収とした事例
〔102〕死亡した女子小学生(10歳)の逸失利益算定について、基礎収入を全労働者の全年齢平均年収ではなく、女子労働者の全年齢平均年収とした事例
〔103〕音大付属高校に在籍しており、バイオリン演奏という専門的な技術を有していた女子高校生(15歳)が死亡した際の基礎収入額算定について、将来音楽関係の仕事に就く可能性が高く、このような職種において男女間の賃金格差は認められないとして、大卒男子労働者の平均賃金の9割を基礎収入とした事例
〔104〕死亡した女児(5歳)の逸失利益算定について、基礎収入を女性労働者の全年齢平均年収ではなく、全労働者の全年齢平均年収とした事例
〔105〕死亡した女子大学生(19歳)の逸失利益算定について、基礎収入を大卒女子全年齢平均賃金とした事例
〔106〕高次脳機能障害が残存した博士課程の大学院生の逸失利益につき、定年までは賃金センサスの1.4倍を、定年後67歳までは賃金センサスを算定基礎とした事例
〔107〕事故時大学生であった女性の後遺障害逸失利益について、労働能力喪失期間を15年(12級)、基礎収入を賃金センサス女性・大卒・全年齢の9割とした事例
〔108〕教職等の仕事に従事することを目的として教育学部に進学した大学生(19歳)が死亡した場合の逸失利益算定について、基礎収入は、教職員の給与を基準とせず、大卒男子労働者全年齢平均年収とした事例
〔109〕死亡した男子高校生(17歳)の逸失利益算定について、賃金センサスの大卒男性労働者全年齢平均年収を基礎に算定し、当時アルバイトをしていたため、高校卒業までのアルバイト収入を含めて算定した事例
〔110〕書道の才能があり、大学での課程を通じ更に高めて特別な技能として修得するに至った事故時大学生である女性被害者の基礎収入を、賃金センサス大卒女性労働者全年齢の1.1倍とした事例
〔111〕高校生である被害者の歯牙損傷(10級4号)に係る後遺障害逸失利益を、労働能力喪失率20%で67歳まで認めた事例
〔112〕顔面部醜状痕(12級14号)、症状固定時9歳女子の逸失利益について労働能力喪失率を14%で認定した事例
〔113〕事故時予備校生であった被害者の基礎収入を、賃金センサス男子大学・大学院卒平均賃金とした事例
〔114〕7級の症状固定時20歳女子大学生の外貌醜状に基づく逸失利益を労働能力喪失率20%で67歳まで認めた事例
〔115〕左股関節の機能障害、左膝関節の機能障害、左足大腿部の醜状障害及び右足大腿部の醜状障害につき、併合10級の22歳男性栄養士(事故時19歳の大学生)の逸失利益を、労働能力喪失率27%で67歳まで認めた事例
〔116〕併合4級の事故時高校1年生女子の逸失利益について、賃金センサス産業計、男女計、大学・大学院卒、全年齢平均年収を基礎収入として認めた事例
〔117〕死亡した短期大学生(18歳)の逸失利益算定について、男女計・全年齢・全学歴計平均賃金を基礎収入とし、生活費控除率を45%とした事例
〔118〕将来調理師として稼働する蓋然性が高い専門学校生(19歳)が死亡した事案につき、調理師の平均年収は男性労働者の平均賃金を下回るものの、死亡時19歳という若年者であることなどを考慮し、男性労働者学歴計全年齢の平均賃金を基礎収入とした事例
〔119〕女児の後遺障害につき、後遺障害別等級表・労働能力喪失率と異なる主張をした加害者の主張を排斥した事例
〔120〕死亡した男子高校生(15歳及び16歳)の逸失利益算定について、特段の事情がない限り、男性学歴計全年齢平均賃金を基礎収入として逸失利益を算定するのが相当であるとした事例
 第3 家事従事者(主婦・主夫)
〔121〕脊柱の変形障害、腰の痛み及びかたさの症状(8級)、右膝の痛み、かたさの症状(12級13号)の後遺障害(併合7級)を残す75歳女性の被害者につき、被害者の子2人と3人暮らしであること、被害者は家事に従事しつつ、被害者の子の介護も行っていること、被害者は事故時75歳であったことから、賃金センサス女性学歴計全年齢計355万9000円の8割である284万7200円を基礎とした事例
〔122〕左下肢痛等(14級9号)の後遺障害を残す52歳男性の被害者につき、自営でパソコンメンテナンスサービス業のほか、新聞配達などのアルバイトに従事し、日中は家事を行っていたものの、妻も家事労働の一部を分担していたと推認されることから、賃金センサス女性労働者の全年齢平均賃金の8割である291万円余を基礎とした事例
〔123〕頸部痛、左右上肢のしびれ、体幹のしびれ、腰痛等の神経症状(併合14級)の後遺障害を残す37歳男性の被害者につき、症状固定時において無職ではあったものの、父として息子の面倒を見るため家事に従事していたとし、賃金センサス女性労働者の全年齢平均賃金364万円余を基礎とした事例
〔124〕頭部、後頸部、腰部などの疼痛(14級9号)の後遺障害を残す31歳女性の被害者につき、事故時家事に従事していたほか、求職中であったことから、賃金センサス女性・高専・短大卒30~34歳平均賃金375万円余を基礎とした事例
〔125〕脊柱変形障害等(併合11級)の後遺障害を残す42歳女性介護ヘルパーにつき、事故時から特定の男性と婚姻する意思を有し、事故後同人と同居を開始して、その後現実に婚姻したことから、事故時主婦ではなかったものの、いわゆる兼業主婦であるとして、賃金センサス女性全年齢平均賃金353万円余を基礎とした事例

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