税務ニュース2025年09月12日 宿泊税の導入自治体、全国的に拡大(2025年9月15日号・№1090) 東京都は制度見直しに向けた意見交換会開催
宿泊税とは、ホテルや旅館などに宿泊する際に宿泊者に対して課される地方税で、多くの場合、宿泊料金に応じて一定の金額が徴収される。ホテルなどの経営者が宿泊料金と同時に集め、自治体に納付する。
東京都では、1人1泊当たり10,000円以上15,000円未満の宿泊代金に対して100円、15,000円以上の宿泊代金に対して200円の宿泊税が課される。宿泊料金に含まれるのは、素泊まりの料金及び素泊まりの料金に係るサービス料で、消費税等に相当する金額や、食事、会議室の利用など宿泊以外のサービスに係る料金は含まれない。
宿泊税は、地方自治体が独自に導入できる「法定外目的税」の一つであり、目的や課税対象、税率などは自治体が条例で定め、総務省に申請し、総務大臣の同意を得ることで課税が可能になる。
2025年7月までに全国で12の自治体が宿泊税を導入しているが、今年に入り、多くの自治体が総務大臣の同意を得ており、23の自治体が導入準備中となっている。東京、大阪、京都などの大都市だけでなく、7月末に総務大臣の同意を得た北海道をはじめ、地方都市やリゾート地にも広がりを見せている。
全国各地で観光を地域振興の柱に育成しようという取り組みが活発化する中、取り組みを支える財源の確保が課題となってきた。海外では宿泊税は一般的となっており、インバウンド客の理解が得られやすいことも導入拡大の要因の一つだろう。
ただ、宿泊税の導入拡大に対しては、「宿泊料金の上昇により観光客減少を招く恐れがある」「税の徴収、申告、納付といった事務手続きが事業者側の負担となる」などといった懸念の声もあるようだ。
こうした声を受け、東京都は、2025年8月から9月にかけて宿泊税の見直しに向けた意見交換会を開催している。事業者側から出ている意見としては、徴収実務や制度について簡素化を図り、負担を減らしてほしいというものが最も多いようだ。また、旅行観光業界はいまだコロナ禍からの回復途上にあり、これ以上の宿泊税の拡大は行わないでほしいとの意見のほか、大規模な事業者からは、もし拡大するのであれば「取りやすいところから取る」のではなく、民泊も含めた全宿泊者に課税対象を広げるべきとの意見も出ている。東京都では、宿泊税の使途として、オーバーツーリズム対策も検討されている。
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