会計ニュース2025年09月12日 のれんの非償却の1本化がベスト(2025年9月15日号・№1090) ASBJ、第2回のれんに関する公聴会を開催
企業会計基準委員会(ASBJ)は9月3日、2回目となるのれんに関する公聴会を開催。財務諸表作成者(上場企業3社、非上場企業1社)及び財務諸表利用者らから意見聴取を行った。いずれものれんの非償却化に賛成する立場から意見が述べられている。
例えば、ソラコム(東証グロース)の山崎紘彰氏は、日本基準におけるのれんの償却費が会計上の利益を圧迫するため、積極的にM&Aに踏み切りにくいといった現状を指摘。IFRSへの移行については、導入コストが数億円規模となるほか、毎期の監査報酬増加など継続的負担が大きいとした。また、SmartHR(非上場)の森雄志氏は、のれんの償却年数は20年以内とされているが、案件ごとに監査法人との協議に委ねられており、償却年数は案件が終了するまで確定しないため、M&Aの検討にあたっては短めの償却年数を前提とせざるを得ない現状や、未上場段階でのIFRSへの移行は人材確保が難しいなどの問題点を指摘した。
財務諸表利用者からは、例えば、日本プライベート・エクイティ協会の飯沼良介氏は、クロスボーダー案件ではのれんの償却費を理由にM&Aを断念するケースがあるとし、スタートアップ企業だけの問題ではないと指摘。また、日本ベンチャーキャピタル協会の郷治友孝氏は、本来、損益計算書の目的は、経営成績を適切に開示することで投資家などの適切な意思決定に資することであるが、投資家による企業価値評価の際にはのれん償却を削除して評価する実務が広く行われているなど、のれん償却は、本来の財務諸表の目的に合致した会計慣行とは必ずしもいえないとした。
そのほか、全体的な意見としては、のれんの非償却の1本化がベストであるとの意見が大勢を占めた。のれんの償却と非償却の選択制については、非償却化導入までの間、経過措置的に導入することはあり得るとの意見はあったものの、積極的に賛成する意見はほぼなかった。また、のれんの償却費の計上区分の変更は、会計基準変更までに時間を要するのであれば一時的に行うこともあり得るとの意見はあったが、こちらも積極的に賛成する意見はなかった。
なお、公聴会の模様は、同委員会のホームページから閲覧することができる。
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