コラム2005年02月21日 【SCOPE】 債権譲渡特例法の登記手数料が登録免許税に変更(2005年2月21日号・№103)
不良債権処理が進む!?
債権譲渡特例法の登記手数料が登録免許税に変更
債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律(以下、債権譲渡特例法)が12月1日に公布されているが、平成17年度税制改正では、この債権譲渡特例法による登記手数料を登録免許税とする改正が行われる。今回は、債権譲渡特例法の概要とこれに伴う登録免許税についてレポートする。
登記により第三者に対する対抗要件が可能
債権譲渡特例法による債権譲渡登記制度とは、法人が行う金銭債権の譲渡や金銭債権を目的とする質権の設定について、登記をすることにより、債務者以外の第三者に対する対抗要件を得ることができるというもの(下図参照)。
原則として、民法では、確定日付のある証書を債務者に対して通知するか、又は債務者の承諾を得なければ第三者に対抗することはできない。しかし、金融機関等の不良債権処理など、多数の債権を一括して譲渡するような場合には、個別に債務者の承諾等をとっていることは困難。このため、債権譲渡特例法は、民法の特例として平成10年10月から施行されている。
今回の一部改正法では、新たに登記の対象として法人が譲渡人である動産譲渡を加えるとともに、登記対象となる動産譲渡に係る動産は個別動産であるか集合動産であるかを問わないものとしている。また、債務者が特定していない将来債権の譲渡について、債権譲渡登記によって、第三者に対する対抗要件を具備することができることなどが盛り込まれている。
なお、施行日は公布の日から1年を超えない範囲で政令で定める日からとなっており、法務省では、秋頃の施行を目指している。

登録免許税の軽減措置は期限なく適用が可能
2月4日に国会に提出された所得税法等の一部を改正する法律案では、債権譲渡特例法による登記については、従来の手数料から登録免許税の対象とする改正が行われている。
具体的には、登録免許税法が改正され、①動産譲渡登記は15,000円、②債権譲渡登記及び質権設定登記は15,000円、③①又は②に係る延長登記は7,500円、④抹消登記は1,000円となる。
しかし、この点については、租税特別措置法(第84条の4関係)で軽減措置が手当てされており、実際には、①動産譲渡登記は7,500円、②債権の個数が5,000個以下の場合における債権譲渡登記及び質権設定登記は7,500円、③①又は②に係る延長登記は3,000円と本則に比べて半分以下となっている。
適用については、債権譲渡特例法の一部改正法の施行日とされているが、特に軽減措置の期限は設けられていない。
従来の手数料よりも低額
一方、現行の債権譲渡登記制度における債権譲渡登記・質権設定登記の申請手数料は、債権の個数に応じた額によって定められている。例えば、債権の個数が1,000個を超え5,000個以下であれば10,000円になっている(この額に登記の存続期間1年までごとに1,000円を加算)。
従来の登記手数料も非常に低い金額であったが、今回の登録免許税化により、さらに低い金額で登記が可能になっているので注目したい点だ(下記の比較表を参照)。
当初、登録免許税の対象になれば、今までの債権の個数ではなく、債権額に応じたものとなり、ケースによっては、莫大な登録免許税が課せられるのではないかといった危惧があった。債権額に応じたものであれば、住宅ローンの証券化やアセットバックCPなどができなくなるといったことから、金融機関等からの強い反発があったようだ。こうした事情を受け、租税特別措置法において、期限なしの軽減措置が手当てされた背景があるようだ。
登記手数料を整理
その他、平成17年度税制改正では、この債権譲渡特例法だけでなく、他の手数料等についても登録免許税の対象にしたものが多数ある(登録免許税法別表第1、附則第14条関係)。例えば、日本工業規格への適合の表示に係る登録認証機関等の登録、宅地建物取引主任者に係る登録講習機関の登録、不動産金鑑定士に係る実務修習機関の登録などだ。
今回の取扱いは、同じ登記といえども、登録免許税がかかるものや単なる手数料のものなど、統一した対応がなされていない現状を考慮したものである。

債権譲渡特例法の登記手数料が登録免許税に変更
債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律(以下、債権譲渡特例法)が12月1日に公布されているが、平成17年度税制改正では、この債権譲渡特例法による登記手数料を登録免許税とする改正が行われる。今回は、債権譲渡特例法の概要とこれに伴う登録免許税についてレポートする。
登記により第三者に対する対抗要件が可能
債権譲渡特例法による債権譲渡登記制度とは、法人が行う金銭債権の譲渡や金銭債権を目的とする質権の設定について、登記をすることにより、債務者以外の第三者に対する対抗要件を得ることができるというもの(下図参照)。
原則として、民法では、確定日付のある証書を債務者に対して通知するか、又は債務者の承諾を得なければ第三者に対抗することはできない。しかし、金融機関等の不良債権処理など、多数の債権を一括して譲渡するような場合には、個別に債務者の承諾等をとっていることは困難。このため、債権譲渡特例法は、民法の特例として平成10年10月から施行されている。
今回の一部改正法では、新たに登記の対象として法人が譲渡人である動産譲渡を加えるとともに、登記対象となる動産譲渡に係る動産は個別動産であるか集合動産であるかを問わないものとしている。また、債務者が特定していない将来債権の譲渡について、債権譲渡登記によって、第三者に対する対抗要件を具備することができることなどが盛り込まれている。
なお、施行日は公布の日から1年を超えない範囲で政令で定める日からとなっており、法務省では、秋頃の施行を目指している。

登録免許税の軽減措置は期限なく適用が可能
2月4日に国会に提出された所得税法等の一部を改正する法律案では、債権譲渡特例法による登記については、従来の手数料から登録免許税の対象とする改正が行われている。
具体的には、登録免許税法が改正され、①動産譲渡登記は15,000円、②債権譲渡登記及び質権設定登記は15,000円、③①又は②に係る延長登記は7,500円、④抹消登記は1,000円となる。
しかし、この点については、租税特別措置法(第84条の4関係)で軽減措置が手当てされており、実際には、①動産譲渡登記は7,500円、②債権の個数が5,000個以下の場合における債権譲渡登記及び質権設定登記は7,500円、③①又は②に係る延長登記は3,000円と本則に比べて半分以下となっている。
適用については、債権譲渡特例法の一部改正法の施行日とされているが、特に軽減措置の期限は設けられていない。
従来の手数料よりも低額
一方、現行の債権譲渡登記制度における債権譲渡登記・質権設定登記の申請手数料は、債権の個数に応じた額によって定められている。例えば、債権の個数が1,000個を超え5,000個以下であれば10,000円になっている(この額に登記の存続期間1年までごとに1,000円を加算)。
従来の登記手数料も非常に低い金額であったが、今回の登録免許税化により、さらに低い金額で登記が可能になっているので注目したい点だ(下記の比較表を参照)。
当初、登録免許税の対象になれば、今までの債権の個数ではなく、債権額に応じたものとなり、ケースによっては、莫大な登録免許税が課せられるのではないかといった危惧があった。債権額に応じたものであれば、住宅ローンの証券化やアセットバックCPなどができなくなるといったことから、金融機関等からの強い反発があったようだ。こうした事情を受け、租税特別措置法において、期限なしの軽減措置が手当てされた背景があるようだ。
登記手数料を整理
その他、平成17年度税制改正では、この債権譲渡特例法だけでなく、他の手数料等についても登録免許税の対象にしたものが多数ある(登録免許税法別表第1、附則第14条関係)。例えば、日本工業規格への適合の表示に係る登録認証機関等の登録、宅地建物取引主任者に係る登録講習機関の登録、不動産金鑑定士に係る実務修習機関の登録などだ。
今回の取扱いは、同じ登記といえども、登録免許税がかかるものや単なる手数料のものなど、統一した対応がなされていない現状を考慮したものである。

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