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解説記事2005年10月03日 【実務解説】 ケース別 相続手続 添付書類チェックリスト(3)(2005年10月3日号・№132)

実 務 解 説
ケース別
相続手続 添付書類チェックリスト(3)
 税理士 掛川雅仁


銀行預金の名義変更をするとき(「第6章 遺産の名義変更等に関する手続」より抜粋)

 遺産分割後に相続預金の名義変更をする場合、銀行所定の「名義変更依頼書」に必要事項を記載し、添付書類と共に提出します。
 <ケース①>相続人が名義変更をする場合
 <ケース②>被相続人が家族名義で行った預金の場合
 <ケース③>遺言により指定された遺言執行者が申し出る場合
 <ケース④>家庭裁判所の調停による遺産分割決定後に申し出る場合
 <ケース⑤>裁判上の和解による和解調書がある場合
 <ケース⑥>遺言による特定受遺者が申し出る場合
 <ケース⑦>相続財産管理人が申し出る場合


概説

■前提としての遺産分割協議の確定

 預金を相続するには、銀行口座の名義変更が必要になります。銀行口座の名義変更を行うには、まず、遺産分割協議が確定していることが前提となります。
 これは、被相続人の名義である預貯金を一部の相続人が勝手に名義変更することを防止するために、被相続人の死亡を金融機関が確認すると預金の凍結をするからです。
 凍結された預貯金の名義変更を受けるためには、遺産分割が確定し、所定の手続を踏まなければなりません。
■名義書換手続
 預入先である各銀行所定の「名義書換請求書」に必要事項と代表相続人、代表相続人以外の相続人の署名をし実印を押印し、添付書類と共にその銀行に提出します。その際、代表相続人は名義を書き換えるか、解約して支払を受けるかを選択して記入します。名義書換請求書および相続確認書は各銀行で所定の用紙をもらいます。
■提出書類等
 請求用紙や添付書類は、銀行預金の相続に関する遺言書、遺産分割協議書、家庭裁判所の審判書がある場合など、個別の事情に応じて必要書類が異なる場合がありますので、最終的には各銀行窓口にご相談ください。
 以下、ケースごとにポイントを概説します。
<ケース①>相続人が名義変更をする場合
 相続預金の解約ではなく、名義変更を行う場合には、新しい名義人の印鑑および「新印鑑届」が必要です。
 また、非課税貯蓄預金(マル優)の相続がある場合には、「非課税貯蓄者死亡届」の提出が必要となりますので、各銀行にお問い合わせください。
 (以上の点は、以下「ケース③」以降のすべてのケースにも該当します。)
<ケース②>被相続人が家族名義で行った預金の場合
 家族名義である理由や受入れの状況などを聴取され、銀行が所持している入金票・印鑑届出印の照合がなされた上で、預金者の認定が行われます。また預金名義人の念書が求められます。
 念書は各銀行所定の用紙か、ない場合は作成した上で、預金が預金名義人のものでない旨を記載し、署名押印します。
 なお、預金を生前に贈与し、課税当局から家族名義預金と認定されないように「贈与の証拠」を残すためには、以下の手順を踏むと良いでしょう。
① 贈与者銀行口座から受贈者が開設した銀行口座へ預金を振り込む。
② 届出印鑑は贈与者の印鑑とは別にし、本人の印鑑を押印する。また、受贈者またはその親権者が通帳、印鑑、証書などを保管する。
③ 年額110万円超の贈与をし、贈与税の申告・納付を行い、贈与税の申告書・納付書は、しっかり保存しておく。
④ 贈与時に贈与契約書を作成し、確実性を高める場合に、公証人役場等で確定日付をとっておく。
<ケース③>遺言により指定された遺言執行者が申し出る場合
 遺言執行者は、法律上、相続人の代理人とみなされます。相続財産の管理その他遺言の執行に関する一切の行為をし、遺言の内容の実現を行います。
 遺言執行者は、財産目録などを作成した上で、預金の名義変更など、相続手続の一切を単独で行うことができます。
 遺言執行者には相続人がなっても構いませんが、未成年者と破産者はなることができません。
 遺言執行者は、遺言によって指定される場合と、利害関係人(相続人、遺言者の債権者、受贈者など)の申立てにより家庭裁判所で選任される場合とがあります。
 遺言により指定された遺言執行者が申し出る場合は、遺言執行者が誰であるかを証明する書類が必要となります。自筆証書遺言書の場合はその原本を、遺言書が公正証書遺言の場合は公正証書の謄本が必要書類となります。
 家庭裁判所で選任された遺言執行者が申し出る場合には、遺言執行選任に関する家庭裁判所の審判書謄本が必要となります。
 ただし、遺言執行者が預金の払戻しを請求した場合において、遺言執行者の本人確認が行われれば、共同相続人全員の印鑑証明書を提出しなくても払戻しができるなど、金融機関によって多少の取扱いの相違がありますので、各取引銀行にお問い合わせください。
<ケース④>家庭裁判所の調停による遺産分割決定後に申し出る場合
 共同相続人間の協議が調わないとき、または行方不明者などがあって遺産分割協議ができないときは、共同相続人は共同してまたは1人で、家庭裁判所に遺産の分割を申し立てることができます。
 家庭裁判所は、まず調停委員の立会いのもとで「調停」にかけ、相続人全員の合意が成立すれば、合意のとおりの調停調書が作成され確定判決が下されます。
 調停が成立しないときは「審判」による分割を行うことになります。
審判は、裁判所が当事者・利害関係者の言い分や調査により、具体的な分割の決定をします。
 家庭裁判所の調停等による遺産分割決定等の後に預金の名義変更をする場合は、調停に関する家庭裁判所の確定判決を証明する書類が必要となります。調停で確定した場合は家庭裁判所の調停調書謄本、審判で決定された場合は、家庭裁判所の審判調書謄本となります。
<ケース⑤>裁判上の和解による和解調書がある場合
 裁判上の和解とは、民事裁判の手続の中で、当事者がお互いにその主張を譲り合って紛争の解決に向けた合意を形成することにより、判決によらず裁判を終わらせることです。
 裁判上の和解は、紛争解決に向けた当事者同士の任意の合意ですが、最終的に裁判所書記官がその和解を調書に記載することにより、裁判所の言い渡す判決と同じ効力が与えられます。この調書を「和解調書」および「確定証明書」といいます。
 裁判上の和解による和解調書がある場合に預金の名義変更をするときは、裁判所の確定判決を証明する書類である和解調書謄本および確定証明書が必要となります。
<ケース⑥>遺言による特定受遺者が申し出る場合
 遺言による特定受遺者が申し出る場合、特定受遺者であることを証明するために遺言書またはその写しが必要となります。銀行によっては、遺言書の原本を確認することもありますので、預入先の各銀行へご確認ください。
 遺言書が自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認証明書が必要となります。また銀行では、遺言書の全文があり、日付が記載されていることおよび遺言者の署名押印がしていることを確認します。
<ケース⑦>相続財産管理人が申し出る場合
 相続財産管理人は、相続人の存在、不存在が明らかでない場合や相続人全員が相続を放棄し相続する者がいない場合に、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所により選任されます。相続財産管理人は相続財産を清算して国庫に帰属させることになります。
 また相続人全員で、相続財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ「限定承認」を選択した場合、相続人のうち1名を相続財産管理人として選任してもらいその者が以後の手続を行います。
 相続財産管理人が申し出る場合において預金の名義変更を行うときは、相続財産管理人を証明するために相続財産管理人選任の審判書謄本や限定承認申述書謄本が必要です。

書式
 次頁参照


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