解説記事2024年01月15日 SCOPE 令和5年度末で期限切れとなる法人税関係の租税特別措置は?(2024年1月15日号・№1010)
少額減価償却資産の損金算入特例は対象縮減
令和5年度末で期限切れとなる法人税関係の租税特別措置は?
政府は昨年の12月22日に「令和6年度税制改正の大綱」を閣議決定した。令和6年3月末までに適用期限が到来する法人税関係の租税特別措置(減収措置)については、賃上げ促進税制をはじめ、カーボンニュートラル投資促進税制やオープンイノベーション税制など、軒並み適用期限の延長が行われている(表参照)。ただし、特例の拡充は中小企業事業再編投資損失準備金制度などの一部にとどまり、その多くは縮減した上でのものとなっている。例えば、中小企業に馴染みの深い少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、適用期限が2年延長されるものの、特例の対象範囲が限定されることになる。本稿では、令和5年度末までに適用期限を迎える法人税関係の主な租税特別措置の行方を紹介する。

中小企業の複数回のM&Aを後押し
中小企業事業再編投資損失準備金は、令和6年度税制改正では数少ない拡充された上で適用期限が延長された特例措置だ。同制度は、M&Aに関する経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、株式譲渡によるM&Aを行う場合に、株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、当該積立金額を損金に算入することができるというものである。
令和6年度税制改正では、成長意欲のある中堅・中小企業が、複数の中小企業を子会社化し、グループ一体となって成長していくことを後押しするため、複数回のM&Aを実施する場合には、積立率を2回目は90%、3回目以降は100%に拡充する。加えて、準備金取り崩しまでの据置期間を現行の5年から10年に延長することで、中小企業の従業員の雇用を確保しつつ、成長分野への労働移動を確保するとしている。
1億円超で従業員300人超の法人は対象外
少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、適用期限が2年延長されることになるが、出資金等が1億円超の法人等で従業員数が300人を超える場合には、特例の対象範囲から除外されることになった。留意したい点だ。また、パーシャルスピンオフ税制も適用期限は4年延長されることになるが、「完全子会社の主要な事業として新たな事業活動を行っていること」が要件に追加されることになるため、既存の事業を切り離す場合には対象外となる。
カーボンニュートラル投資促進税制については、一部対象資産の追加・除外を行い、炭素生産向上率の引き上げなどが行われる。その上で、対象法人を令和8年3月31日までに事業適応計画の認定を受けた法人とし、対象資産は認定を受けた日から3年以内に取得等し、事業の用に供する資産となる。
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