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解説記事2025年09月15日 SCOPE 四半期特有の会計処理など、期中会計基準でも適用可能に(2025年9月15日号・№1090)

公開草案からの内容面での大きな変更はなし
四半期特有の会計処理など、期中会計基準でも適用可能に


 企業会計基準委員会(ASBJ)は、6月30日まで意見募集を行っていた期中会計基準の公開草案に寄せられたコメントについて検討を開始したが、公開草案からの内容面での変更はなく、取り扱いの明確化などを図った上で決定する。適用は、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の最初の期中会計期間からになる方向だ(早期適用の適用はなし)。

2026年4月1日以後開始する連結会計年度等から適用の方向

 企業会計基準委員会が4月23日に公表した期中会計基準(案)では、基本的に従来の取扱いを踏襲することとしており、四半期会計基準等で認められていた四半期の簡便的な会計処理や、四半期特有の会計処理についても継続して適用することを認めるとしている。例えば、四半期会計基準等で認められていた一般債権の貸倒見積高の算定及び未実現損益の消去についても、引き続き認められることになる。また、有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げに係る方法については、原則として洗替え法を原則とするが、従来から切放し法を採用していた企業においてはその旨の注記を行うことで継続して切放し法の適用を認める。
 企業会計基準委員会は、期中会計基準(案)について、6月30日まで意見募集を行っていたが、寄せられたコメントについては大きな反対はないことから、取り扱いの明確化などを図った上で決定する方向だ。
 この場合、適用は、最終化した期中会計基準等を公表した日から最初に到来する4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の最初の期中会計期間からとされているため、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の最初の期中会計期間からということになる(早期適用の適用はなし)。

「期中洗替え法」及び「期中切放し法」に用語を変更

 公開草案からは、例えば、会社法上の臨時決算との関係について補足的な説明が必要であるとのコメントを踏まえ、会計基準案BC22項において、「なお、臨時計算書類については、年度の途中において行った決算で把握された一定の金額を分配可能額に加算することを目的とするなど会社法上の目的に従い作成されるものであるため、本会計基準の適用対象とする期中財務諸表には含まれないと考えられる。」旨を追加する。また、年度決算における会計方針との違いを明確にするため、適用指針案第4項及び第7項の「洗替え法」及び「切放し法」を「期中洗替え法」及び「期中切放し法」に用語を変更する。
 有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げに係る方法について洗替え法が原則とされたことを契機に、固定資産の減損会計の取扱いを結論の背景などで明示すべきではないかとのコメントに対しては、減損適用指針案第145項では、「年度決算では、第二種中間財務諸表を作成する場合の中間会計期間を含む事業年度全体を対象として改めて会計処理が行われる(中間財務諸表作成基準注解(注1))」とした上で、中間会計期間において減損処理を行った場合でも、年度決算までに資産又は資産グループに新たな減損の兆候があり追加的に減損損失を認識すべきであると判定されるときを除いて、年度決算において、中間会計期間を含む事業年度全体を対象として改めて会計処理を行わないものとされているが、この点、有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げに係る方法が洗替え法を原則とした場合とは異なることから、減損適用指針案第145−2項に「なお、期中会計基準において有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げに係る方法について洗替え法を原則とすることとしたが、固定資産の減損会計について洗替え法の採用を求めるものではない。」旨を追記するとしている。
 また、切放し法を採用した場合には期中財務諸表においてその旨を注記することとなっているが、年度の財務諸表においても会計方針として注記されるべきではないかとのコメントについては、注記の要否は重要な会計方針に該当するか否かにより判断するものと考えられるため、期中において切放し法を採用している旨の注記を年度の財務諸表の注記事項として求めないとしている。
注記事項の一覧を補足文書として公表へ
 そのほか、実務対応報告や移管指針において定められる注記事項で、期中財務諸表に明示がされていないものの取扱いを明確化すべきとのコメントに対しては、新たに注記を求めるものではないため、特段の対応は行わないとしている。
 なお、実務対応報告及び移管指針に定めている注記事項で期中財務諸表における取扱いが明示されているものについては、補足文書として公表し、一覧性を高め実務で参考となるように対応する方針を明らかにしている。

洗替え法へ変更しても遡及適用を求めず
 有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げに係る方法は、洗替え法が原則となることに伴い、従来切放し法を選択していた会社が期中会計基準等の適用時に洗替え法に変更する場合は、会計方針の変更に該当することになる(なお、有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げに係る方法として期中会計基準等の適用前から中間会計基準等及び四半期会計基準等に基づき切放し法を適用していた場合は、継続して切放し法を適用することが可能)。
 新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する場合には、過去の期中会計期間に行った切放し法による計算を洗替え法により再計算することになるが、過去の期中会計期間において有価証券の銘柄ごと、又は棚卸資産の品目ごとに再計算する場合には多大な事務負担が生じることになる。このため、期中会計基準等の適用の際には遡及適用を求めず、適用初年度の期首から将来にわたって適用することを認めることとしている。

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