税務ニュース2026年01月30日 IHI移転価格事案、国の控訴棄却(2026年2月2日号・№1109) 高裁、「市場占有率」と「需要」に差異ありとの地裁判決支持
本件は、IHIと国外関連者(ITT社)との車両過給機(ターボチャージャ)に係る部品輸出取引等の国外関連取引について、当該取引により受けた対価の額が独立企業間価格に満たないとして更正処分等を受けたことから訴訟に発展した事案である。
処分行政庁は、2社のタイ法人を比較対象法人として選定し、取引単位営業利益法に準ずる方法と同等の方法(措令39の12⑧二)により独立企業間価格を算定したが、一審の東京地裁は、ITT社と比較対象法人の比較可能性を検討した結果、市場の状況に関する差異(「市場占有率」と「需要」の差異)が売上高営業利益率の相違に重要な影響を与えるものであるから、本件算定方法は合理的な方法ということはできないとして、更正処分等を取り消していた(本誌1034号参照)。
これを不服とした国は控訴し、ITT社の車両過給機のタイにおける市場占有率と比較対象法人の主要な自動車部品の市場占有率との間に有意な差異はないなどと主張した。これに対し東京高裁は、本件比較対象法人には、市場占有率が高い製品もあるが、自動車部品事業全体としてみると、ITT社の車両過給機と同程度の高い市場占有率を有しているとはいえないとして、その主張を排斥した。
また国は、ITT社の高い市場占有率は、専らIHIの貢献によるものであるから、比較可能性の検討においてこれを別途考慮すべきではないとも主張したが、東京高裁は、ITT社においても生産技術の改良、部品の内製化、部品の現地調達化によるコスト削減努力、現地の情報収集や分析を行っていたと指摘し、この主張も斥けた。
さらに「需要」について国は、「マイカー減税策」の影響により自動車全体の需要が増大しており、ITT社と本件比較対象法人の取引の間に需要の差異は存在しないと主張した。これに対しても東京高裁は、ITT社における車両過給機の需要の増大は、自動車メーカーにおいて厳しい排気ガス規制に適合する車両過給機に対する強い需要が生じたことがあり、それがマイカー減税策以上の売上高の増大を招来していると指摘。両者の売上高の増加は異なる要因によるものであって、需要について有意な差異があるとした。
結果、東京高裁も、ITT社と本件比較対象法人の各取引の間には比較可能性がないとして控訴を棄却し、本判決は確定した。
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