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税務ニュース2026年04月10日 役員主宰法人への業務委託料否認の可否(2026年4月13号・№1118) 判例上、登記を備えた法人の収益帰属は容易に否定されず

  • 会社役員が主宰する法人に支払う業務委託料について役員給与認定を受けた場合には、受託法人への収益帰属を否定し得る具体的事情の有無を踏まえた反論が有効。

 会社の役員が主宰する法人に業務委託料を支払った場合、税務調査で、これが役員個人への給与に該当するとの指摘を受けることがある。この場合、委託側の法人においては、定期同額給与等の要件を満たさない限りその全額が損金不算入となり、仕入税額控除も否認される。加えて、源泉税の追加納付が生じるとともに、役員個人に対する所得課税も行われることになる。
 この指摘は、業務委託料に係る収益が受託側の法人に帰属すること自体を否定し、これを役員個人に帰属させることを前提としている。すなわち、役員給与認定を受け入れるか否かという論点は、受託側の法人への収益の帰属までも否定されるべき事情が存するか否かという問題に帰着することになる。この点に関連して、広島高裁昭和52年2月22日判決(法人税法違反被告事件)は、「設立登記によって法律上の存在が認められる以上、会社の形態が全く形式的なものに過ぎず、専ら租税回避の目的で設立され、その実体が明らかに個人の営業と認められる場合でない限り、……税法上は法人の営業として取扱うのが相当と解すべきである」と判示している。この判決は、法人の主宰者が会社設立後も個人として営業活動を行い、会社の営業と個人の営業とを截然と区別できない事案においても、会社の帳簿を通じて把握される所得は法人の所得として処理すべきとしたもの。法人成りに係る刑事事件であり、別法人への業務委託事案とは事実関係を異にするものの、法人の帳簿上その収益として処理されている所得の法人帰属を容易には否定すべきでないという法理は、業務委託料の帰属が争われる場面にも妥当し得る。
 したがって、法人格が形骸化しており、専ら租税回避の目的で利用されているような例外を除き、法人の帳簿上、明確に収益として会計処理がなされている業務委託料について、法人への収益の帰属を否定し、役員個人に帰属すべきとすることは本来困難と言える。法人は設立登記により法律上独立した権利義務の主体として存在が認められる以上、その法人格を税務上否認し得るのは、法人としての実体を全く欠く極めて限定的な場合に限られるべきであろう。
 したがって、税務調査で受託法人への業務委託料が役員給与に該当するとの指摘を受けた場合には、受託法人への収益の帰属を否定し得るまでの「具体的事情」が存するかという視点からの反論が有効であろう。

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