カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2020年10月05日 税務マエストロ 令和2年度消費税改正(法人に係る消費税の申告期限の特例の創設)(2020年10月5日号・№852)

税務マエストロ
令和2年度消費税改正(法人に係る消費税の申告期限の特例の創設)
#253
熊王征秀(税理士)


略歴
学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会調査研究部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学教授

マエストロの解説

 税制改正法案は、毎年2月中旬頃に国会に上程され、衆参両院の審議を経た上で年度内に可決成立する。これを受けて年度末である3月31日の夜に改正法施行令と施行規則が官報掲載により公布され、7月頃に改正通達が国税庁より発表されるのであるが、令和2年度の税制改正法案は、3月27日に成立後、同31日に公布され、同日の午前中に早々と改正法施行令と施行規則が官報掲載により公布された。さらに驚くことに、例年であれば早くても7月頃でなければ公表されない消費税法改正通達が、その翌日の4月1日付で国税庁から発表されたのである。本年度の消費税改正は、令和2年4月1日以後の取引に適用されるものが多いことがその理由ではないかと思われる。
 今月は、令和2年度の消費税改正のうち、「法人に係る消費税の申告期限の特例の創設」について確認する。なお、令和2年度の消費税改正の概要は図表1のとおりである。

1 改正の経緯

 法人税においては確定した決算に基づいて法人所得を計算する必要があることから、会計監査などの理由により決算が確定しない場合には、税務署長の承認を受けることにより、その申告期限を3か月以内に限り、延長することが認められている。
 これに対し、消費税には確定決算主義の概念はなく、課税期間中の売上げ及び仕入れに基づいて確定消費税額を計算することから、あえて申告期限の延長は認められていなかった。決算が確定しなければ売上高や仕入高も確定しないため、実務上は見積金額で消費税の申告をし、売上高や仕入高が確定した時点で修正申告をしているのが実情である(図表2参照)。

 こういった実態に配慮して、経済産業省と経団連が消費税の申告期限を延長するよう財務省に要望したことにより、本年度の改正で、消費税についても申告期限の延長を認めることとしたものである。

2 消費税の申告期限の延長制度

 消費税申告書(消費税の確定申告書)の提出期限の延長は、法人税の確定申告書の提出期限を延長している法人に限り認められる。法人税の確定申告書の提出期限を延長している法人が、「消費税申告期限延長届出書」を提出することにより、消費税についても申告書の提出期限を延長することとしているのである(改消法45の2①)。
 「消費税申告期限延長届出書」は、法人税の申告期限の延長申請をする事業年度で提出することもできる(消基通15−2−8)。
 ただし、被合併法人や分割法人が提出した「消費税申告期限延長届出書」の効力は、合併法人や分割承継法人には及ばない。よって、合併法人や分割承継法人はあらためて「消費税申告期限延長届出書」を提出する必要があることに注意する必要がある(消基通15−2−9)。

3 改正法の適用時期と届出書の効力発生時期

 消費税申告書の提出期限は、「消費税申告期限延長届出書」を提出した日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間に係る確定申告期限が1か月延長されることになる(改消法45の2①)。
 また、改正法は、令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用することとされているので、1年決算法人であれば、令和3年3月決算期から申告期限が延長されることになる(令和2年改正法附則45)。

4 期間短縮をしている場合

 令和3年3月決算法人が課税期間を3か月に短縮している場合には、届出書の提出日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間(令和3年1月1日〜令和3年12月31日)に係る確定申告期限が1か月延長となるので、右上図の①・②・③の課税期間はそれぞれ課税期間の末日の翌日から2か月以内となり、④の課税期間だけが1か月延長されて令和3年6月30日となる。

5 中間申告書の提出期限の特例

 一月中間申告の適用対象法人が消費税の確定申告期限を延長している場合には、直前期の確定申告書の提出期限を考慮して、1回目と2回目の中間申告書の提出期限を当課税期間開始の日から5か月以内とすることにした(消法45の2⑦、消令63の2①)。
 よって、令和3年3月決算法人が消費税の確定申告期限を延長している場合には、令和4年3月期に係る1回目と2回目の中間申告期限は、3回目の申告期限と同じ日(令和3年8月31日)になる。

記事に関連するお問い合わせ先
記事に関するお問い合わせは週刊「T&Amaster」編集部にお寄せください。執筆者に質問内容をお伝えいたします。
TEL:03-5281-0020 FAX:03-5281-0030 e-mail:ta@lotus21.co.jp
※なお、内容によっては回答いたしかねる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索