一般2026年02月02日 20政令市の半数で人口縮小 過去10年、少子化で流入減 制度70年、見直し課題 提供:共同通信社

全国に20ある政令指定都市(政令市)の人口を10年前と比べると、北九州など10市で減っていたことが1日、判明した。2050年の推計では、人口減少は、福岡と川崎を除く18市に拡大する見込み。周辺から若年層を呼び込み人口を増やしてきた政令市も少子化により、縮小が不可避となっていることが明らかになった。税収減などで財政運営が厳しくなり、福祉を含む行政サービスに影響する可能性がある。国が地域の拠点とみなす中核市も10年間で62市のうち52市で減少していた。
地域の核である大都市に府県並みの権限を認めた政令市制度が1956年に始まってから70年。人口増の時代の制度で現状に合わなくなったとの指摘もある。国は、人口が減っても指定は取り消さないとしているが、各種施策が滞れば、さらなる人口減を招きかねない。財源移譲など制度の見直しが課題となる。
15年と25年(1月時点)の住民基本台帳のデータを共同通信が分析。減少率が高かったのは、97万人から91万人となった北九州(6・5%減)、71万人が67万人となった静岡(6・0%減)、80万人が76万人となった新潟(5・3%減)。減った人数は、神戸の5万7千人、京都の4万5千人も目立った。
増加が著しいのは、148万人から160万人となった福岡(8・2%増)、126万人から135万人に増えたさいたま(7・1%増)、144万人から153万人の川崎(6・2%増)。
国立社会保障・人口問題研究所の50年の人口推計と25年のデータを比較すると、マイナスとなるのは18市。政令市の事実上の指定要件は70万人だが、相模原、新潟、浜松、堺、岡山、熊本は60万人台に、静岡は54万人に落ち込む。
減少規模を見ると、大阪で34万人、札幌、横浜、神戸で20万人超のマイナスが見込まれている。
政令市に関しては、社会福祉や公衆衛生など府県に代わって担う行政事務の多さに税財源が見合わないと指摘されている。財源を含めて道府県から独立させる「特別市」構想を進める動きも超党派の国会議員から出ている。政令市の在り方は、首相の諮問機関である地方制度調査会でも議論される見通しだ。
8割の中核市で住民減少 地域の拠点、衰退の恐れ
政令市ほどではないが、都道府県のさまざまな事務権限が移譲されている中核市の人口を10年前と比べると、62市のうち8割に当たる52市で減っていたことが1日分かった。住民数の落ち込みが激しかったのは広島県の呉や北海道の函館など。2050年には、指定要件の人口20万人を割り込む市は11に上る見通し。国が地域の拠点とみなす中核市が衰退すれば、周辺市町村も含めた行政の質の低下を招く恐れがある。
公衆衛生や社会福祉、都市計画などの権限を移すことで住民サービスの迅速化を狙った中核市制度は1996年、宇都宮など12市でスタート。その後、30万人以上という要件が緩和され、移行する市が続いた。
人口が20万人を下回っても指定が取り消されることはないが、首都圏への人口集中や少子化に加え、周辺市町村からの流入も減っており、発足30年の制度は曲がり角を迎えている。
住民基本台帳人口の減少率が高かったのは、23万人から20万人となった呉(14・6%減)や27万人から23万人となった函館(12・9%減)。減少した人数が多かったのは、長崎の4万6千人や横須賀(神奈川県)の3万9千人。
国立社会保障・人口問題研究所がまとめた50年の人口推計と25年を比べると、東京電力福島第1原発事故の影響で推計から除外されているいわき(福島県)と、増加が見込まれる船橋(千葉県)を除く60市で減少。現在20万人を割り込んでいる甲府、鳥取、松江に加え、青森や山形などの8市も指定要件を満たせなくなる。横須賀や東大阪(大阪府)、長崎では、10万人超の減少となる。
船橋は2千人プラスの65万人となり、その頃には静岡や新潟などの政令市を上回ると推計されている。
権限や財源選択する制度に 中央大の礒崎初仁教授 識者談話
現在の政令市は、戦前から大都市だった「五大市」(横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市)のグループと、高度経済成長期に人口が増えた札幌市や川崎市、福岡市などのグループ、そして「平成の大合併」で誕生した人口70万人規模の静岡市や岡山市、熊本市などのグループがある。少子化が進めば、第1、第2グループと第3グループの差がさらに広がる恐れがある。
そもそも政令市制度は、独立を求めた五大市と、当時反対していた府県との間で生まれた「妥協の産物」とも言える。移譲された権限の割に財源措置が中途半端なのは、その表れの一つだ。
大都市を道府県から独立させる「特別市」制度構想は、道府県の一大拠点となる大都市が抜けるため、残された地域に対する医療や環境、防災面でのデメリットは避けられない。現在の道府県と市町村という2層制を維持し、国や道府県からの権限、財源の移譲をさらに進めるべきだ。
もちろん各政令市が道府県と協議しながら、人口規模や行政能力に応じて移される権限や財源の在り方を弾力的に選択できるようにすべきだ。人口減少時代には、住民や現場により近い自治体側に権限を持たせる分権型の仕組みが求められる。
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いそざき・はつひと 1958年愛媛県出身。専門は地方自治論。神奈川県庁を経て2002年から中央大法学部教授。
日本の都市制度を巡る経過
1956年 地方自治法改正で政令指定都市制度が始まる。横浜、名古屋、京都、大阪、神戸が移行
63年 北九州が政令市に
72年 札幌、川崎、福岡が政令市に
80~92年 広島、仙台、千葉が政令市に
95年 中核市制度発足。要件は人口30万人以上
96年 宇都宮や富山など12市が中核市に移行
2003年 さいたまが政令市に
05年 人口100万人から70万人への要件緩和を初適用し、静岡が政令市に。この後、12年までに、堺、新潟、浜松、岡山、相模原、熊本が政令市に移行
15年 中核市の要件を20万人以上に引き下げる改正地方自治法が施行
政令指定都市と中核市
地方自治法に基づき、人口50万人以上の市は、一般的な市より財源や権限の多い政令指定都市に移行できる。実際には人口が100万人以上か、近い将来に100万人以上となることが要件だったが、2000年代には市町村合併を促すため、合併市の場合は「70万人以上」に緩和された。行政区を置き、区長は市長が任命する。中核市は人口20万人以上の都市が対象。政令市ほどではないが、保健所の設置や、飲食店営業の許可などに関する権限を持つ。
分析の方法
総務省が毎年1回公表する住民基本台帳人口(1月1日時点)を調べた。政令市や中核市について、昨年8月に発表された2025年のデータと、外国人住民を含むようになった15年のものを比較した。自治体別の将来推計は、国立社会保障・人口問題研究所の予測として、最も遠い未来に当たる50年を比較対象とした。
(2026/02/02)
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