厚生・労働2026年02月22日 私立小教諭死亡、労災認定 過重業務で精神障害発症 提供:共同通信社

私立玉川学園(東京都町田市)の小学部で勤務していた男性教諭が2018年に死亡し、八王子労働基準監督署町田支署が長時間労働などで精神障害を発症し自殺したとして労災認定していたことが21日、遺族らへの取材で分かった。教諭は勤務中休憩をほぼ取れておらず、労基署が算定した1カ月の時間外労働(残業)は最長で約98時間に上った。
遺族の代理人弁護士によると、教諭は佐藤馨一(さとう・けいいち)さん=当時(39)=で、認定は25年10月付。佐藤さんは01年に玉川学園幼稚部に教諭として採用され、17年に小学部に異動。18年7月に行方不明となり、翌年4月に自宅近くの山林で死亡しているのが見つかった。
遺族は「過重な業務や保護者からのクレーム対応などで精神障害となった」として労災申請したが、労基署は当初、1カ月の残業は最大61時間ほどだったとして、21年3月に不支給処分を決定。遺族は決定取り消しを求め東京地裁に提訴した。
遺族側は児童の見守りで休憩時間が取得できていなかったことや、行方不明前日に保護者らとトラブルになっていたと主張。労基署は再調査を行い、昼休みでも給食指導や何かあった際の対応を求められていたことや、始業時間前にも早く登校する児童の見守りがあったことを確認し、それらの時間を含め労働時間を再算定。精神障害発症前1カ月の残業は98時間34分だったとした。保護者とのトラブルと合わせて労災と認め、訴訟は取り消しとなった。
玉川学園は取材に「裁判の経過を把握していないのでコメントは控える。コンプライアンス方針やガイドラインに基づき、教職員の働く環境について検証を継続する」とコメントした。
学校現場、休憩取れず 労基署、実態くみ取り判断
八王子労働基準監督署町田支署は、遺族の訴えから死亡した男性教諭の勤務を再検証し、当初は休憩としていた時間を労働時間として扱い、労災を認定した。教員の長時間労働が高止まりする中、労基署が休憩すら取れない学校現場の実態をくみ取った形で、遺族は「つらい思いをしている教員に知ってもらい、希望を感じてもらえれば」と話した。
労基署は労災申請段階では、時間外労働(残業)は61時間ほどとしたが、再調査の結果、終日授業のない日や出張日などを除き、休憩が確保できていなかったと改めた。再調査後の残業は精神障害発症の1カ月前で約98時間、2カ月前も約90時間に達し、「恒常的長時間労働」とした。遺族代理人の篠原靖征(しのはら・やすゆき)弁護士は「経験上、休憩時間をほぼゼロと認定するのは珍しい」と話す。
休憩が取れない実態はこれまでも問題視されてきた。日教組が昨年9~10月に公立学校の教職員約1万7千人に実施した調査では、「実際に取れた1日の休憩時間」を0分と答えたのは44・3%に上った。学校種別では小学校が最も割合が高く48・1%。小学校全体で取れた休憩時間の平均は9・1分だけだった。
男性教諭の姉は取材に、「こんな悲しい形で人生を終えたことは、今でも苦しい。再発防止に向けた活動を模索したい」と語った。
(2026/02/22)
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