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解説記事2003年06月23日 【税制改正関連解説】 平成15年度税制改正における租税特別措置法(法人税法関連)の主な改正について(下)(2003年6月23日号・№024)

実務解説

平成15年度税制改正における租税特別措置法(法人税法関連)の主な改正について(下)

和田 秀信


2 情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除(IT投資促進税制)

1 制度創設の趣旨

 一般的な投資促進税制は、企業が過剰な設備・債務を抱え、キャッシュフローを借入れの圧縮に充てる中で、設備投資の増加につながるか疑問があります。また、競争力を失う産業にも優遇措置を与えることとなるため、構造改革にも逆行しかねません。そこで、真に有効な分野に集中・重点化した投資促進税制を創設するとの観点から、いわゆるこのIT投資促進税制が創設されました。
 IT投資の促進は、短期的な需要創出効果が見込めるだけでなく、広く我が国の企業全体の事業効率化、付加価値向上につながることが期待できます。このようなIT投資に対し、集中的に政策効果を高める観点から、期限を区切り、重点的な政策税制を講じることとされたものです。

2 制度の概要
 この制度は、青色申告書を提出する法人が、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間に情報通信機器等の取得又は製作をして、これを国内にある当該法人の営む事業の用に供した場合には、平成15年4月1日以後に終了する事業年度において、その取得価額の50%の特別償却と10%の特別税額控除(当期の法人税額の20%相当額を限度とし、税額控除限度超過額については1年間の繰越しが認められます。)との選択適用を行うことができるというものです。また、資本の金額又は出資金額が3億円以下の法人については、対象となる情報通信機器等をリースにより使用する場合にも、リース費用の総額の60%相当額について、同様の特別税額控除を行うことができます(措法42の11)。
 なお、連結納税制度についても同様の措置が講じられています(措法68の15)。

3 制度の内容
(1)適用対象法人
  本制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人で、業種の限定等は特にありません(措法42の11①~④、⑥~⑨)。
  ただし、本制度のうちリースに係る特別税額控除は、青色申告書を提出する法人のうち、資本の金額又は出資金額が3億円を超える法人(農業協同組合等を除きます。)については、適用がありません(措法42の11⑦、措令27の11⑧)。また、平成15年4月1日前に終了する事業年度において平成15年1月1日からその事業年度終了の日までの間にリース情報通信機器等を事業の用に供した法人が平成15年4月1日を含む事業年度において繰越税額控除限度超過額として控除する場合も同様です(措令27の11⑫)。
(注)農業協同組合等とは、農業協同組合、農業協同組合連合会、中小企業等協同組合、出資組合である商工組合及び商工組合連合会、内航海運組合、内航海運組合連合会、出資組合である生活衛生同業組合、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、森林組合並びに森林組合連合会です。
(2)対象設備の範囲
  この制度の対象となる情報通信機器等とは、具体的には、次のとおりです(措規20の5の2①)。
① 電子計算機(計数型の電子計算機(主記憶装置にプログラムを任意に設定できる機構を有するものに限ります。)のうち、処理語長が32ビット以上で、かつ、設置時における記憶容量(検査用ビットを除きます。)が 256メガバイト(サーバー用のものにあっては、 128メガバイト)以上の主記憶装置を有するものに限るものとし、これと同時に設置する附属の入出力装置(入力用キーボード、ディジタイザー、タブレット、光学式読取装置、音声入力装置、表示装置、プリンター又はプロッターに限ります。)、補助記憶装置、伝送用装置(無線用のものを含みます。)、変復調装置又は電源装置を含みます。)
② デジタル複写機(専用電子計算機(専ら器具及び備品の動作の制御又はデータ処理を行う電子計算機で、物理的変換を行わない限り他の用途に使用できないものをいいます。)により発信される制御指令信号に基づき画像情報をデジタル信号に変換し、色の濃度補正、縦横独立変倍又は画像記憶を行う機構を有するもの及び当該専用電子計算機を同時に設置する場合のこれらのものに限るものとし、これらと同時に設置する専用の自動原稿送り装置、排紙分類装置、給紙装置、プリンター又はファクシミリを含みます。)
③ ファクシミリ(送受信データを蓄積する機構及び普通紙に受信データを印刷する機構を有するもののうち、最大伝送速度が毎秒28.8キロビット以上のものに限るものとし、これと同時に設置する専用の変復調装置、回線制御装置又は回線接続装置を含みます。)
④ ICカード利用設備(ICカードとの間における情報の交換並びに当該情報の蓄積及び加工を行うもので、これと同時に設置する専用のICカードリーダライタ、入力用キーボード、タブレット、表示装置、プリンター又はプロッターを含みます。)
⑤ デジタル放送受信設備(デジタル信号により送信される放送を受信しその信号を処理することが可能なもので、電気通信回線に接続し電気通信信号を発信する機能、瞬間的影像に併せデータの処理を行う機能及び高精細度な画像の処理を行う機能を有するものに限ります。)
⑥ インターネット電話設備(専ら音声信号の変換又は交換を行う電気通信設備のうちインターネットプロトコルに対応するためのもの及びこれらの呼制御を行う制御装置に限るものとし、これらと同時に設置する専用の端末装置又は変復調装置を含みます。)
⑦ ルーター又はスイッチ(インターネットを構成するルーター(通信プロトコルに基づき、電気通信信号を伝送し、その経路を制御する機能を有する専用の電気通信設備をいいます。)又はスイッチ(通信プロトコルに基づき、電気通信信号を伝送し、その経路を選択する機能を有する専用の電気通信設備をいいます。)のうち、毎秒45メガビット以上の伝送速度に対応するものに限るものとし、これらと同時に設置する集線装置を含みます。)
⑧ デジタル回線接続装置(光伝送の方式における電気信号と光信号との変換の機能を有する装置、デジタル加入者回線伝送方式における音響と符号とを周波数により分離する機能を有する装置、統合デジタル通信網に端末装置を接続する機能を有する加入者回線終端装置及び統合デジタル通信網にアナログ端末を接続する機能を有する信号変換装置に限ります。)
⑨ ソフトウエア(電子計算機に対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたもの及びこれに関連するシステム仕様書その他の書類に限るものとし、複写して販売するための原本及び開発研究(新たな製品の製造若しくは新たな技術の発明又は現に企業化されている技術の著しい改善を目的として特別に行われる試験研究をいいます。)の用に供されるものを除きます。)
(3)対象設備の要件
  この制度の適用を受けるためには、対象設備に関し、次の要件を満たさなければならないこととされています。
① その事業年度における取得価額の合計額が次の規模以上であること。
 <取得に係る制度の場合>
  上記(2)①から⑧までの情報通信機器等については、その適用を受けようとする事業年度(注)において取得し、又は製作し、その事業の用に供した上記(2)①から⑧までの情報通信機器等の取得価額の合計額が 600万円(その法人が特定事業者等である場合には、140万円)以上となる場合の情報通信機器等となります(措令27の11①②⑤)。つまり、その事業年度において1種類の情報通信機器等で 600万円以上の取得等をする必要はなく、ソフトウエア以外の情報通信機器等であれば種類を問わず、その事業年度において取得等をして事業の用に供したものの取得価額の合計額が 600万円以上となれば、そのソフトウエア以外の情報通信機器等は、本制度の適用対象となります。
 上記(2)⑨のソフトウエアについては、その適用を受けようとする事業年度(注)において取得し、又は製作する取得価額の合計額が 600万円(その法人が特定事業者等である場合には、70万円)以上となる場合のソフトウエアとなります(措令27の11①②⑤)。
(注)適用を受けようとする事業年度が次の場合には、次の期間となります。次のリースに係る制度の場合も同様です。
イ 平成15年1月1日前に開始し、かつ、平成15年4月1日以後に終了する事業年度 平成15年1月1日からその事業年度終了の日までの期間(措規20の5の2②③)
ロ 平成15年4月1日を含む事業年度(特例対象事業年度等の指定期間(下記(4)参照)内に取得若しくは製作又は賃借をした情報通信機器等につき適用を受ける場合のその情報通信機器等に係る部分に限ります。) 特例対象事業年度等の指定期間(措法42の11②③⑨)
ハ 平成18年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度 その事業年度開始の日から平成18年3月31日までの期間(措規20の5の2②③)
  ただし、ソフトウエア以外の情報通信機器等、ソフトウエアのいずれについても、法人税法施行令第 133条(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)又は第 133条の2(一括償却資産の損金算入)の適用を受ける場合は、その資産は情報通信機器等とはなりませんので、取得価額を合計する計算にも算入されないこととなります(措規20の5の2①)。
  なお、特定事業者等とは、資本の金額又は出資金額が3億円を超える法人(農業協同組合等を除きます。)以外の法人をいいます(措令27の11①)。
 <リースに係る制度の場合>
  上記(2)①から⑧までの情報通信機器等については、その適用を受けようとする事業年度において物品賃貸業を営む者から賃借し、事業の用に供した上記(2)①から⑧までの情報通信機器等のリース費用の総額の合計額が 200万円以上となる場合の情報通信機器等となります(措令27の11⑩⑬)。つまり、その事業年度において1種類の情報通信機器等でそのリース費用の総額が 200万円以上のリースをする必要はなく、ソフトウエア以外の情報通信機器等であれば種類を問わず、その事業年度においてリースをして事業の用に供したもののリース費用の総額の合計額が 200万円以上となれば、そのソフトウエア以外の情報通信機器等は、本制度の適用対象となります。
  上記(2)⑨のソフトウエアについては、その適用を受けようとする事業年度において物品賃貸業を営む者から賃借し、事業の用に供したリース費用の総額の合計額が 100万円以上となる場合のソフトウエアとなります(措令27の11⑩⑬)。
② その製作の後事業の用に供されたことのないものであること(措法42の11①~③⑥⑦⑨)。
③ 国内にあるその法人の事業の用に供されるものであること(措法42の11①~③⑥⑦⑨)。
 この事業の用に供されるものからは、貸付けの用に供されるものは除かれます。
④ 取得又は製作をした情報通信機器等について、他の特別償却・税額控除制度、租税特別措置法の規定による圧縮記帳等の適用を受けるものではないこと。
⑤ リースをした情報通信機器等については、次の要件を満たすものであること。
イ 物品賃貸業を営む者から契約により賃借をしたもので、当該契約が次の要件を満たすものであること(措令27の11⑨)。
・ リース契約において定められたリース契約期間が4年以上であり、かつ、そのリース契約期間が情報通信機器等の耐用年数を超えないものであること。
・ リース契約においてリース費用の総額が情報通信機器等ごと(同一の情報通信機器等が2以上ある場合には、ソフトウエア以外の情報通信機器等にあつては1台又は1基(通常1組又は1式をもつて取引の単位とされるものにあつては、1組又は1式とします。)ごととし、ソフトウエアにあつてはソフトウエアごととします。)に定められているものであること。
・ リース契約においてリース費用の総額がリース契約期間内に均等額により定期的に支払われることとされていること。
ロ 事業の用に供した日を含む事業年度終了の日まで引き続き事業の用に供しているものであること。
  ただし、平成15年4月1日前に終了する事業年度において平成15年1月1日からその事業年度終了の日までの間にリース情報通信機器等を事業の用に供した法人が平成15年4月1日を含む事業年度において繰越税額控除限度超過額として控除する場合には、平成15年4月1日を含む事業年度終了の日までとなります(措法42の11⑨二)。
(4)適用期間
  この制度は、法人が、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間(指定期間)内に、情報通信機器等の取得若しくは製作又は賃借をして事業の用に供した場合について適用することとされています(措法42の11①)。
  ただし、指定期間内の日を含む事業年度のうち平成15年4月1日前に終了した事業年度又は連結事業年度(特例対象事業年度等)の指定期間内に取得若しくは製作又は賃借をして事業の用に供した場合には、その特例対象事業年度等においては適用がなく、平成15年4月1日を含む事業年度において、特別償却、特別償却準備金の積立て又は繰越税額控除限度超過額として税額控除をすることができます(措法42の11②~④⑨)。
  なお、いずれの制度の場合についても、解散(合併よる解散を除きます。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度については、その適用がありません。
(5)措置の内容
  次のとおり、青色申告書を提出する法人が取得等又は賃借をして法人の国内にある事業の用に供する情報通信機器等について50%の特別償却又は10%の税額控除を認めるというものです。
① 特別償却
イ 平成15年4月1日以後に終了する事業年度において取得等をした情報通信機器等
  特別償却限度額は、情報通信機器等の取得価額の50%相当額です(措法42の11①~③)。
  他の特別償却制度と同様に、準備金方式による特別償却が認められるほか、特別償却不足額については1年間の繰越しが認められます(措法52の2、52の3)。
ロ 特例対象事業年度等の指定期間内に取得等をした情報通信機器等
  平成15年4月1日を含む事業年度において、情報通信機器等の取得価額の50%相当額の特別償却が認められます(措法42の11②)。この場合に、平成15年4月1日を含む事業年度の普通償却限度額は、次のとおり計算することとなります(措令27の11④)。
i そのよるべき償却の方法として定率法を採用している情報通信機器等については、その情報通信機器等に係る特別償却限度額が既に償却されたものとみなしてその情報通信機器等につき定率法により計算した場合のその事業年度の普通償却限度額
ii そのよるべき償却の方法として定率法以外の償却の方法を採用している情報通信機器等については、その情報通信機器等につきその償却の方法により計算したその事業年度の普通償却限度額
  なお、平成15年4月1日を含む事業年度において準備金方式による特別償却を行うことも認められます(措法42の11④)。
ハ 平成15年1月2日から平成15年4月1日までの適格合併若しくは適格分割型分割又は平成15年1月1日から平成15年3月31日までの適格分社型分割等により移転を受けた情報通信機器等
  上記ロと同様の計算となります(措法42の11③)。
② 取得等に係る税額控除
イ 平成15年4月1日以後に終了する事業年度において取得等をした情報通信機器等
  税額控除限度額は、情報通信機器等の取得価額の合計額の10%相当額です。ただし、控除を受ける金額は、その適用を受ける事業年度の所得に対する法人税額の20%相当額を限度とすることとされています(措法42の11⑥)。
  なお、この場合の法人税額は、本制度及び各特別税額控除制度等を適用しないで計算した場合の法人税額、すなわち、その適用を受ける事業年度の所得金額に法人税率を乗じて計算した法人税額で、附帯税を除くいわゆる算出税額となります。
ロ 特例対象事業年度等の指定期間内に取得等をした情報通信機器等
  平成15年4月1日を含む事業年度において、情報通信機器等の取得価額の合計額の10%相当額を繰越税額控除限度超過額とみなして、下記④の措置により税額控除を受けることとなります(措法42の11⑨一)。
③ リースに係る税額控除
イ 平成15年4月1日以後に終了する事業年度においてリースをした情報通信機器等
  情報通信機器等を賃借して事業の用に供した場合には、リース費用の総額の60%相当額の合計額について10%の税額控除を行うことができます(措法42の11⑦)。ただし、控除を受ける金額は、その適用を受ける事業年度の所得に対する法人税額の20%相当額を限度とすることとされています(措法42の11⑦後段)。
  なお、この場合の法人税額の計算は取得等に係る税額控除の場合と同様ですが、同一の事業年度において、上記②の取得等に係る税額控除の適用を受ける情報通信機器等があるときは、法人税額の20%相当額は、まず取得等に係る税額控除に充てられ、その残額がリースに係る税額控除に充てられることになります(措法42の11⑦後段)。
ロ 特例対象事業年度等の指定期間内にリースをした情報通信機器等
  平成15年4月1日を含む事業年度において、情報通信機器等のリース費用の総額の60%相当額の合計額の10%相当額を繰越税額控除限度超過額とみなして、下記④の措置により税額控除を受けることとなります(措法42の11⑨二)。
④ 税額控除限度超過額の繰越控除
  情報通信機器等の取得等又は賃借をして事業の用に供した事業年度又は連結事業年度(供用年度)において、法人税額の20%相当額という法人税額基準があるため控除しきれなかった金額(繰越税額控除限度超過額)がある場合には、この控除しきれなかった金額については、1年間繰り越して税額控除(繰越控除)を行うことが認められます(措法42の11⑧)。
  ただし、その繰越控除を行うことができる金額は、その事業年度の所得に対する法人税の額の20%相当額を限度とすることとされています(措法42の11⑧後段)。なお、その繰越控除を行う事業年度において上記②の取得等に係る税額控除又は上記③のリースに係る税額控除の適用により法人税の額から控除される金額があるときは、法人税額の20%相当額は、まず上記②又は③の税額控除により控除される金額に充てられ、その残額が繰越税額控除限度超過額に充てられることとなります(措法42の11⑧後段)。
  また、この措置の適用を受けるためには、繰越税額控除限度超過額が発生した事業年度から繰越控除を行おうとする事業年度まで連続して青色申告書を提出していることが必要です(措法42の11⑩)。この場合に、繰越税額控除限度超過額が発生した事業年度から繰越控除を行おうとする事業年度の前事業年度までの各事業年度が連結事業年度に該当する場合には、青色申告書の提出に代えて連結確定申告書を提出している必要があります(措法42の11⑩)。
⑤ 法人税法との調整
  上記②から④までの措置の適用がある場合の法人税法の規定との調整は、他の投資税額控除制度と同じ内容とされています(措法42の11⑰)。
(6)リース情報通信機器等を事業の用に供しなくなった場合の法人税額
  情報通信機器等の賃借をして、リースに係る特別税額控除の適用を受けた法人が、そのリース契約期間内にその情報通信機器等を事業の用に供しなくなった場合には、他の投資税額控除制度における既存のリースに係る特別税額控除の場合と同様、その事業の用に供しなくなった事業年度の法人税額に、基準リース料の10%相当額(当該金額がリース税額控除実施額を超える場合には、リース税額控除実施額)のうち事業の用に供しなくなった期間に対応する部分の金額を加算することとされています(措法42の11⑪、措令27の11⑮~⑰)。
(7)連結納税の承認を取り消された場合の法人税額
  連結子法人が法人税法第4条の5第1項の規定により連結納税の承認を取り消された場合において、その連結子法人がその取消しの日(取消日)前5年以内に開始した各連結事業年度において特別税額控除制度の適用に係る連結子法人であるときは、その連結子法人の取消日の前日を含む事業年度の所得に対する法人税額に、これらの制度により各連結事業年度の連結所得に対する法人税額から控除された金額のうちその連結子法人に帰せられる金額を加算した金額とすることとされました(措法42の11⑫)。
(8)申告要件等
  この制度の適用を受ける場合には償却限度額の計算に関する明細書の添付が必要とされるなど所要の申告要件等が、別途定められています(措法42の11⑬~⑯)。
  連結納税の場合も同様の措置が講じられています(措法68の15、措令39の45)。

4 適用関係
 上記3の制度は、法人の平成15年1月1日以後に情報通信機器等の取得若しくは製作又は賃借をする法人の平成15年4月1日以後に終了する事業年度について適用します(改正法附則95)。連結納税の場合も同様です(改正法附則115 )。


3 交際費等の損金不算入

1 改正前の制度の概要
 この制度は、法人が昭和57年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する各事業年度(清算中の各事業年度を除きます。)において支出する交際費等の額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないというものです。ただし、資本又は出資の金額が 5,000万円以下の法人については、支出交際費の年 400万円以下の部分の20%相当額と年 400万円を超える部分の金額の合計額が損金不算入とされます(措法61の4①)。
 連結納税制度の場合には、連結親法人及びその連結子法人の連結グループ全体でその適用を受けることになります。つまり、連結法人の各連結事業年度(その連結親法人事業年度が平成14年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する各連結事業年度に限ります。)において、その連結親法人及びその連結子法人が支出する交際費等の額の合計額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上、損金の額に算・入しないこととされています。ただし、連結親法人の資本又は出資の金額が5,000万円以下である場合には、支出した交際費等の額の合計額の年 400万円以下の部分の20%相当額と定額控除限度額を超える部分の金額との合計額が損金不算入とされます(措法68の66①)。

2 改正の内容
(1)定額控除の対象法人の範囲及び損金不算入割合に引下げ
  400万円の定額控除を認める対象法人の範囲が資本又は出資の金額が1億円以下の法人( 改正前:資本金5,000 万円以下の法人) に拡大されるとともに、定額控除額までの金額の損金不算入割合を20%から10%に引き下げられました。
  改正後は、資本又は出資の金額が1億円以下の法人の損金不算入額は、次のとおりとなります。
損金不算入額 = 支出交際費等の額 -(年400万円又は支出交際費等の
額のうちいずれか少ない金額)× 90%

(2)適用期限の延長
  制度の適用期限が平成18年3月31日まで3年延長されました(措法61の4①)。
  連結納税の場合も、単体制度と同様、400万円の定額控除を認める連結親法人の範囲が拡大されるとともに、定額控除額までの金額の損金不算入割合の引下げが行われています(措法68の66①)。

4 適用関係
 上記2(1)の改正は、法人の平成15年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従来どおり適用することとされています(改正所法等附則87)。連結の場合も同様です(改正所法等附則87)。


4 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度が創設され、中小企業者等については、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得等をした場合には、取得価額の全額の損金算入が認められることとなりました。
(注)法人税法施行令では、法人が取得価額10万円未満の減価償却資産を取得した場合には、取得価額の全額の損金算入が認められています(法令133)。

1 制度の内容
 中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出する法人が、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に、取得価額30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)の取得等をして事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、その取得価額の全額の損金算入が認められるというものです(措法67の8①)。
 なお、本制度は、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の添付がある場合に限り、適用することとされているほか、本制度の適用を受けた少額減価償却資産について法人税に関する法令の規定を適用する場合には、損金の額に算入された金額は、当該減価償却資産の取得価額に算入しないこととされています(措法67の8②③)。
 連結納税の場合も中小連結法人等を対象として上記と同様の制度が創設されています(措法68の103の2)。

2 適用関係
 上記の制度は、中小企業者等が平成15年4月1日以後に取得等をする減価償却資産について適用されます(措法67の8①)。連結納税の場合も同様です(措法68の103の2①)。

5 中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用(改正前:中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用等)

1 改正前の制度の概要

 この制度は、次の2つの措置で構成されています。
(1)特別税率の不適用
  青色申告書を提出する同族会社で次に掲げるもののそれぞれ次に掲げる事業年度については、同族会社の特別税率(法法67:いわゆる同族会社の留保金課税)を適用しないというものです。
① 新事業創出促進法第2条第3項に規定する中小企業者に該当する同族会社―――当該同族会社の設立の日を含む事業年度から当該設立の日以後10年を経過する日を含む事業年度までの各事業年度(平成12年4月1日から平成16年3月31日までの間に開始する各事業年度に限ります。)
② 新事業創出促進法第11条の3第2項に規定する認定事業者に該当する同族会社―――事業年度終了の時において認定計画に従って新事業分野開拓のための事業を実施している場合における当該事業年度(平成16年3月31日までの間に開始する各事業年度に限ります。)
③ 中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法第2条第1項に規定する中小企業者に該当する同族会社で前事業年度の試験研究費の額及び開発費の額の合計額の収入金額に対する割合が3%を超えるもの―――当該事業年度(平成14年4月1日から平成16年3月31日までの間に開始する各事業年度に限ります。)
(2)税額の軽減措置
  青色申告書を提出する同族会社(当該事業年度終了の日における資本又は出資の金額が1億円以下のものに限ります。)の平成14年4月1日から平成16年3月31日までの間に開始する各事業年度に係る課税留保金額に対する税額については、その5%相当額を軽減し、本則の税額の95%相当額とします(措法68の3の2②)。
 連結同族会社の留保金課税の場合も上記(1)及び(2)と同様の措置が講じられています。

2 改正の内容
(1)留保金課税が不適用となる事業年度の追加
  同族会社のうち各事業年度終了の時における資本又は出資の金額が1億円以下のもので前事業年度終了の時における自己資本比率が50%以下である法人の当該事業年度(平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する各事業年度に限ります。)については、同族会社の留保金課税の規定(法法67)を適用しないこととされました(措法68の2①四)。
(2)課税留保金額に対する税額の5%軽減措置の廃止
  上記1(2)の課税留保金額に対する税額の5%軽減措置が廃止されました(旧措法68の2②)。なお、連結同族会社の場合も上記と同様の改正が行われています(措法68の109③、旧措法68の109③)。

3 適用関係
 上記2の改正は、平成15年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前の開始した事業年度分の法人税については、従来どおり適用することとされています(改正法附則87)。連結納税の場合も同様です(改正法附則122)。




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