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解説記事2004年09月27日 【編集部レポート】 豊島区『放置自転車税』の違法性の有無と地方税法(2004年9月27日号・№084)

レポート
地方税法の「規定の不備」指摘される可能性も!?
豊島区『放置自転車税』の違法性の有無と地方税法


 総務省は9月13日、東京都豊島区の法定外目的税「放置自転車等対策推進税」(以下、「同税」)に正式に同意した。豊島区は昨年の12月に議会で条例案を可決、総務省に対し同意を得るための協議書を提出していた。総務省は、同税への同意判断に当たって、通常の3倍(約9ヶ月間)の時間をかけた。同税が総務省の同意を得るまでの軌跡からみえるものは何か。
4月に開催された公開ヒアリング

課税根拠は「自転車法でなく地方税法」
 豊島区は、総務省の同意判断について、当初から、「3ヶ月を超える可能性がある」と予想していた。この予想どおり、総務省は3月末、「課税者と納税義務者の主張が真っ向から対立、違法性の有無も問題になっている。」などとして、年度内の判断を先送り。4月9日、鉄道5社と区の担当者を呼び、異例の「公開ヒアリング」を開催した。この中で豊島区は、「これまでも協議してきたが思うような協力が得られなかった。自転車法の協力義務は費用負担も予定している。協議の上、それらが行われない場合、地方税法を根拠として課税できる。」と主張。鉄道5社は、「税ありきではなく、放置自転車をどうすればなくせるのかという議論をしたい。」と主張していた。なお、総務省は、「自転車法の協力義務を超えることが「違法」といえるかどうかは疑問。協力義務がなくても課税されるケースもある。同税は、自転車法ではなく、地方税法に基づいているのではないか。」との認識を示していた。

中里実東大教授の「違憲」論文に、豊島区長は「政治的圧力」
 こんな中、5月12日の日本経済新聞朝刊の「経済教室」に、東京大学教授 中里実氏の「法定外税の狙い撃ち懸念」という論文が掲載された。この中で、中里教授は、「最近の法定外税の中で特に問題と思われる東京都豊島区の放置自転車税」と指摘し、同税を厳しく批判した。具体的には、①当該地方自治体の構成員全体で広く薄く負担する方式こそ課税自主権行使のあり方としてまっとうな道である、②特定の鉄道事業者のみを狙い撃ちにするような、政治的意図に基づく「選別的課税」をするべきではない、③自転車法の協力義務を超えて課税することは、憲法94条に違反する疑いが濃厚である、などという主張だ。しかし、この論文に対して豊島区長は、「政治的な圧力があるのではないか。」との認識を示し、特別な反応を示さなかった。

税を取り下げないなら同意するしかない
 総務省は5月末、豊島区に対し、鉄道5社と協議を継続するよう通知。自転車法に基づく協力義務(話し合い)で、税以外の道を模索してもらうことが目的だった。これに対し豊島区は6月、協議会を設置した上で、協議することと、同意・不同意判断することは別次元の問題であるとし、速やかに結論を出すよう総務省に求めた。この豊島区の対応が、総務省を同意へと動かすこととなる。総務省は、協議継続通知から一転、同意へと動き出した背景について、「豊島区の「議会で決めたことなので、変更の余地はない」という姿勢から、判断を先送りしても豊島区が税を取り下げる方向は見えないと判断した。これ以上の判断の先送りは、総務省の「不作為」を問われる可能性もあり、早急に結論を出すしかないと決断した。」などと語っている。

総務省・訴訟での勝敗は「知るところではない」
 総務省は同意判断の際、違法性の有無についてどこまで検討したのだろうか?このことについて豊島区側は、「総務省が、訴訟で負ける可能性のある税に同意するはずがない。そのことを検証するために、同意に時間を要したものと考えている。」としている。一方、総務省側は、「訴訟に勝つかどうかは、われわれの知るところではない。ただ、明らかに違法性があるのなら、3要件以外でも検討する必要があるのではないか、という議論があった。ただ、今回は、それを検討するまでもなく、違法性がないと判断した。」と語っている。総務省は、違法性はないと判断したが、訴訟での勝敗や、今後の豊島区と鉄道事業者の問題に関しては、一切関与しないという姿勢を強調している。なお、「裁判で同税が違法とされたら、地方税法自体が違法ということにならないか?」という問いに対しては、「「地方税法の規定に不備がある」という判断はあるかもしれない。」と答えている。
 法定外税の改正については、①同意制から届出制へ改正する、②非課税の範囲など課税要件を厳しくして総務省の同意の必要をなくすといった意見があるが、反対に参政権のない法人への「選別的課税」を誘発するものとして法人の立場からの憂慮の声も上がっている。
 麻生総務相は、同意後の記者会見で「違法ではないが、政策のあり方としては疑問が残る。」とコメントした。地方税法に則った手順で施行されようとする法定外目的税も、課税する立場と課税される立場の溝は容易に埋まらないのが現状だ。
 
 

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