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コラム2005年10月03日 【ML耳より情報】 日本版LLPの特徴 ~柔軟な損益分配における合理的な理由~(2005年10月3日号・№132)

日本版LLPの特徴 ~柔軟な損益分配における合理的な理由~

日本版LLPの損益分配の柔軟性

 有限責任事業組合契約に関する法律(LLP法)が8月1日に施行され、有限責任事業組合(LLP)が注目されています。LLPの出資者は全員が有限責任で、その損益は組合員に直接課税される構成員課税(パススルー課税)です。また、LLPは内部自治が原則ですので、内部組織や損益の分配は柔軟に決めることができます。
 LLPで稼得した損益の組合員への分配は、原則として組合員の出資割合によりますが(法33条)、出資割合と異なる割合での分配も可能です。出資割合によらない場合は、①組合員全員の同意にもとづき、②「組合員の損益分配の割合に関する書面」を作成し、③出資割合と異なる損益分配割合を定める理由(組合の業務への各組合員の貢献度の差異等)及びその損益分配割合の合理性を明らかにする事由(算定事由、算定式等)を記載する必要があります(令36条)。

柔軟な損益分配はどこまで認められるか
 損益分配を自由に決めることができるとなると、たとえば、親が多額の出資をして子とLLPを作り、利益をほとんど子に分配する契約や、黒字法人が多額の出資をして個人とLLPを作り、損が出たら企業に損を、益が出たら個人に益を分配する契約も考えられます。さらに、計算期間ごとに損益の分配割合を変えたり、損と益を異なる割合で分配することもあり得ます。
 しかし、出資比率と異なる損益分配をするときは、その分配割合の根拠に合理的理由が必要ですので、その内容によっては課税上の問題を引き起こす可能性があります。

合理的な理由とは
 親子のLLPを例にとってみると、出資割合99%の親に分配される利益割合が1%であっても、LLPの業務が特殊技能を持つ子によって行われ、親は事務的なことだけをする場合が考えられます。
 また、LLPは民法上の組合と違って、貸借対照表に計上できない労務出資は認められませんから、設立時の労務出資やアイデアの提供などを考慮して損益分配割合を決定する場合もあるでしょう。あるいは、設立時の出資割合が少ない個人にノウハウの提供を受けるという理由で益の分配を多くしたが、損が出たときに個人に損を多く分配するのは酷だから損の分配は出資割合と同じとすることなども考えられます。
 このような場合でも、分配方法の根拠を何らかの方法で数値化して評価することができれば、貢献度合いに応じた分配であると主張できる可能性があり、その根拠が合理的と認められる余地があるかもしれません。
 税務上の取扱いは、今後、通達などで明らかになると思われますが、もし損益の分配割合に合理性が認められなければ、原則である出資割合をもとにして、経済的利益を受けていない組合員から経済的利益を受けた組合員への贈与や寄附金等の認定が行われると考えられます。
  taxMLグループ  税理士 佐藤善恵

距離と時間を超え、情報を共有できるインターネットツール、それがML(メーリングリスト)です。税理士、公認会計士、弁護士、司法書士、学者などが参加するtaxMLから今週の話題をとりあげました。

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