解説記事2006年02月13日 【会社法解説】 図解でわかる法務省令講座―会社法関係法務省令の全体像―(2006年2月13日号・№150)
図解でわかる法務省令講座
―会社法関係法務省令の全体像―
法務省民事局付 郡谷大輔
今年5月1日の会社法施行を控え、会社法関係の法務省令が公布された。パブリック・コメントに付された省令案は9本であったが、寄せられた意見を大幅に反映させた結果、公布されたのは3本となっている。そこで、どのような整理がなされたかとともに、確定した法務省令の内容を担当官に明らかにしていただくこととした。難解な規定も編集部特約ガイドのマミちゃんとカナちゃんが懇切丁寧にポイント紹介! 今号より全11回を予定する連載解説にご期待ください。
人物紹介
マミ
霞が関の監査法人に勤める公認会計士。経済産業省・法務省において政策立案・立法作業に携わる。そのビボウに加え、ポンチ絵や図表の作成でも非凡な才能を発揮することから、同僚は「ビジュアル・クィーン」と呼ぶ。
カナ
赤坂の法律事務所に勤める弁護士。法務省において立法作業に携わる。各方面からの問合せや同僚の不適切な発言をときに厳しく、ときに平然とさばく姿勢には定評がある。マミの指導のもと、会計の勉強中。
Ⅰ はじめに
平成18年2月7日、会社法関係の法務省令として、「会社法施行規則」(平成18年法務省令第12号)、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)および「電子公告規則」(平成18年法務省令第14号)が公布された。
会社法関係の法務省令については、平成17年11月29日、会社法(平成17年法律第86号)関係の法務省令案として9本の省令案を公表し、同日から12月28日までの1か月間、パブリック・コメント手続に付していた。経済界や大学関係から寄せられた意見は150件を超える。
公布された会社法施行規則、会社計算規則および電子公告規則と、パブリック・コメントに付された9本の法務省令案(以下「パブコメ版」という)を比較すると、構成面・内容面ともに大幅な変更が加えられている。
本稿では、公布された3本の省令(以下「公布版」という)の内容に加えて、パブコメ版からの変更点にも必要に応じて触れていきたいと考えているが、連載の初回となる今号では、このような状況を踏まえて、公布版とパブコメ版の構成面での変更について概観する。
Ⅱ 公布版・パブコメ版の構成比較
公布版の会社法施行規則(以下「公布版施行規則」という)は、会社法関係省令の目次的な役割を与えられている点は、パブコメ版と変わるところはない。しかし、公布版施行規則は、パブコメ版では他の省令案に設けられていた実質的な規律の多くを吸収して規律されている。

また、公布版施行規則の附則10条では、現行の商法施行規則(平成14年法務省令第22号)の改正も行われている。
公布版の会社計算規則(以下「公布版計算規則」という)は、会社の計算に関する省令委任事項を規定するものとなっている。パブコメ版では複数の省令案に分かれて規律されていたものが1本にまとめられている。
公布版の電子公告規則は、パブコメ版から省令名を変更した以外、構成面での変更はない。もとより現行の電子公告規則(平成17年法務省令第3号)と実質的には同じ内容が規定されている。
パブコメ版で9本の省令に規律されていた事項が、公布版において、どのような移動・整理がされているかについては、図表1のとおりである。
point
会社法施行規則
~多くの省令案の規律を吸収した。
会社計算規則
~会社の計算に関する規律を1本にまとめた。
電子公告規則
~パブコメ版から構成面での変更はない。
Ⅲ パブコメ版の移動・整理状況
以下では、公布版における構成面の変更のうち、公布版では存在しなくなっている省令案の規定の移動・整理状況について、その主なものを紹介する。
1 株式会社の業務の適正を確保する体制に関する法務省令案
パブコメ版では、いわゆる「内部統制システム」に関する規律は、株式会社の業務の適正を確保する体制に関する法務省令案(以下「内部統制省令案」という)として、独立した省令において規定されていた。
しかし、公布版では、公布版施行規則に吸収され、それぞれの委任根拠規定ごとに分割して規定されている。
また、パブコメ版の内部統制省令案1条(目的)および3条(取締役の責務)といった、いわゆる内部統制システムに関する基本的な考え方や心構え的な意味合いを有していた規定は、公布版では設けられていない。
内部統制省令案の移動・整理状況は、図表2のとおりである。
2 株式会社の監査に関する法務省令案
パブコメ版では、監査に関する規律は、株式会社の監査に関する法務省令案(以下「監査省令案」という)として、独立した省令において規定されていた。
公布版における監査関係の規定の移動・整理状況は、次のとおりとなっている。
(1)基本姿勢
パブコメ版の監査省令案第2章で規定されていた監査の基本姿勢に関する規律は、独立性(監査省令案5条1項)と意思疎通(監査省令案6条)のみが、監査役・会計監査人に関して、公布版施行規則に設けられている。
(2)計算関係書類・事業報告等の監査
計算関係書類の監査、事業報告の監査、清算株式会社の監査については、監査省令案第4章・第5章・第7章で規定されていたが、公布版では、公布版計算規則・公布版施行規則にそれぞれ分かれている。
監査省令案の規定の移動・整理状況は、図表3のとおりである。
3 組織再編行為に関する法務省令案
パブコメ版では、組織再編行為に関する規律は、組織再編行為に関する法務省令案(以下「組織再編省令案」という)として、独立した省令において規定されていた。
公布版では、組織再編行為に係る会社の計算については公布版計算規則に移動し、組織再編行為に係る開示その他の手続等については公布版施行規則第5編に移動している。
組織再編省令案の規定の移動・整理状況は、図表4のとおりである。
point
内部統制省令案
~内部統制システムに関する規律は会社法施行規則に吸収されている。
~内部統制システムの基本的な考え方等に関する規定は設けられていない。
監査省令案
~監査の基本姿勢については大幅に規定が整理・縮減されている。
~事業報告の監査は会社法施行規則に、計算関係書類の監査は会社計算規則に規定されている。
組織再編省令案
~組織再編行為の計算は会社計算規則に、組織再編行為の手続は会社法施行規則にそれぞれ整理・移動されている。
Ⅳ 公布版計算規則への移動・整理状況
1 パブコメ版からの集約
公布版の会社計算規則に集約されることとなったパブコメ版の規律の内容は、図表5のとおりである。
これに伴い、会計帳簿・計算関係書類は株式・持分両会社の共通規定となり、組織再編行為に係るのれん等と株主資本は規定が分離された。
2 株主資本関係の規定の移動・整理
株主資本関係の規定の移動・整理状況は、図表6のとおりである。

今週のおさらい
会社法関係の法務省令は3本が公布
①会社法施行規則~計算・電子公告を除く省令委任事項全般を定め、目次的役割を果たす。附則には現行商法施行規則の改正規定が置かれている。
②会社計算規則~会社の計算に関する事項全般を定める。
③電子公告規則~電子公告に関する事項を定める。
パブリック・コメントからは相当程度の変更
実質的な内容は、公布版の条文の確認が必要である。
―会社法関係法務省令の全体像―
法務省民事局付 郡谷大輔
今年5月1日の会社法施行を控え、会社法関係の法務省令が公布された。パブリック・コメントに付された省令案は9本であったが、寄せられた意見を大幅に反映させた結果、公布されたのは3本となっている。そこで、どのような整理がなされたかとともに、確定した法務省令の内容を担当官に明らかにしていただくこととした。難解な規定も編集部特約ガイドのマミちゃんとカナちゃんが懇切丁寧にポイント紹介! 今号より全11回を予定する連載解説にご期待ください。
人物紹介
マミ
霞が関の監査法人に勤める公認会計士。経済産業省・法務省において政策立案・立法作業に携わる。そのビボウに加え、ポンチ絵や図表の作成でも非凡な才能を発揮することから、同僚は「ビジュアル・クィーン」と呼ぶ。
カナ
赤坂の法律事務所に勤める弁護士。法務省において立法作業に携わる。各方面からの問合せや同僚の不適切な発言をときに厳しく、ときに平然とさばく姿勢には定評がある。マミの指導のもと、会計の勉強中。
Ⅰ はじめに
平成18年2月7日、会社法関係の法務省令として、「会社法施行規則」(平成18年法務省令第12号)、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)および「電子公告規則」(平成18年法務省令第14号)が公布された。
会社法関係の法務省令については、平成17年11月29日、会社法(平成17年法律第86号)関係の法務省令案として9本の省令案を公表し、同日から12月28日までの1か月間、パブリック・コメント手続に付していた。経済界や大学関係から寄せられた意見は150件を超える。
公布された会社法施行規則、会社計算規則および電子公告規則と、パブリック・コメントに付された9本の法務省令案(以下「パブコメ版」という)を比較すると、構成面・内容面ともに大幅な変更が加えられている。
本稿では、公布された3本の省令(以下「公布版」という)の内容に加えて、パブコメ版からの変更点にも必要に応じて触れていきたいと考えているが、連載の初回となる今号では、このような状況を踏まえて、公布版とパブコメ版の構成面での変更について概観する。
Ⅱ 公布版・パブコメ版の構成比較
公布版の会社法施行規則(以下「公布版施行規則」という)は、会社法関係省令の目次的な役割を与えられている点は、パブコメ版と変わるところはない。しかし、公布版施行規則は、パブコメ版では他の省令案に設けられていた実質的な規律の多くを吸収して規律されている。

また、公布版施行規則の附則10条では、現行の商法施行規則(平成14年法務省令第22号)の改正も行われている。
公布版の会社計算規則(以下「公布版計算規則」という)は、会社の計算に関する省令委任事項を規定するものとなっている。パブコメ版では複数の省令案に分かれて規律されていたものが1本にまとめられている。
公布版の電子公告規則は、パブコメ版から省令名を変更した以外、構成面での変更はない。もとより現行の電子公告規則(平成17年法務省令第3号)と実質的には同じ内容が規定されている。
パブコメ版で9本の省令に規律されていた事項が、公布版において、どのような移動・整理がされているかについては、図表1のとおりである。
point
会社法施行規則
~多くの省令案の規律を吸収した。
会社計算規則
~会社の計算に関する規律を1本にまとめた。
電子公告規則
~パブコメ版から構成面での変更はない。
Ⅲ パブコメ版の移動・整理状況
以下では、公布版における構成面の変更のうち、公布版では存在しなくなっている省令案の規定の移動・整理状況について、その主なものを紹介する。
1 株式会社の業務の適正を確保する体制に関する法務省令案
パブコメ版では、いわゆる「内部統制システム」に関する規律は、株式会社の業務の適正を確保する体制に関する法務省令案(以下「内部統制省令案」という)として、独立した省令において規定されていた。
しかし、公布版では、公布版施行規則に吸収され、それぞれの委任根拠規定ごとに分割して規定されている。
また、パブコメ版の内部統制省令案1条(目的)および3条(取締役の責務)といった、いわゆる内部統制システムに関する基本的な考え方や心構え的な意味合いを有していた規定は、公布版では設けられていない。
内部統制省令案の移動・整理状況は、図表2のとおりである。
2 株式会社の監査に関する法務省令案
パブコメ版では、監査に関する規律は、株式会社の監査に関する法務省令案(以下「監査省令案」という)として、独立した省令において規定されていた。
公布版における監査関係の規定の移動・整理状況は、次のとおりとなっている。
(1)基本姿勢
パブコメ版の監査省令案第2章で規定されていた監査の基本姿勢に関する規律は、独立性(監査省令案5条1項)と意思疎通(監査省令案6条)のみが、監査役・会計監査人に関して、公布版施行規則に設けられている。
(2)計算関係書類・事業報告等の監査
計算関係書類の監査、事業報告の監査、清算株式会社の監査については、監査省令案第4章・第5章・第7章で規定されていたが、公布版では、公布版計算規則・公布版施行規則にそれぞれ分かれている。
監査省令案の規定の移動・整理状況は、図表3のとおりである。
3 組織再編行為に関する法務省令案
パブコメ版では、組織再編行為に関する規律は、組織再編行為に関する法務省令案(以下「組織再編省令案」という)として、独立した省令において規定されていた。
公布版では、組織再編行為に係る会社の計算については公布版計算規則に移動し、組織再編行為に係る開示その他の手続等については公布版施行規則第5編に移動している。
組織再編省令案の規定の移動・整理状況は、図表4のとおりである。
point
内部統制省令案
~内部統制システムに関する規律は会社法施行規則に吸収されている。
~内部統制システムの基本的な考え方等に関する規定は設けられていない。
監査省令案
~監査の基本姿勢については大幅に規定が整理・縮減されている。
~事業報告の監査は会社法施行規則に、計算関係書類の監査は会社計算規則に規定されている。
組織再編省令案
~組織再編行為の計算は会社計算規則に、組織再編行為の手続は会社法施行規則にそれぞれ整理・移動されている。
Ⅳ 公布版計算規則への移動・整理状況
1 パブコメ版からの集約
公布版の会社計算規則に集約されることとなったパブコメ版の規律の内容は、図表5のとおりである。
これに伴い、会計帳簿・計算関係書類は株式・持分両会社の共通規定となり、組織再編行為に係るのれん等と株主資本は規定が分離された。
2 株主資本関係の規定の移動・整理
株主資本関係の規定の移動・整理状況は、図表6のとおりである。

今週のおさらい
会社法関係の法務省令は3本が公布
①会社法施行規則~計算・電子公告を除く省令委任事項全般を定め、目次的役割を果たす。附則には現行商法施行規則の改正規定が置かれている。
②会社計算規則~会社の計算に関する事項全般を定める。
③電子公告規則~電子公告に関する事項を定める。
パブリック・コメントからは相当程度の変更
実質的な内容は、公布版の条文の確認が必要である。
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