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解説記事2007年04月02日 【会社法関係規則による各種書類ひな型の解説】 計算書類・連結計算書類(下)、附属明細書(計算書類関係)、決算公告(2007年4月2日号・№205)

実務解説
「会社法関係規則による各種書類ひな型の解説」第4回
計算書類・連結計算書類(下)、附属明細書(計算書類関係)、決算公告

 (社)日本経済団体連合会経済第二本部 富張直樹

 今号では、計算書類・連結計算書類(下)、附属明細書(計算書類関係)、決算公告について解説する。文中、意見にわたる部分は私見である(本文の参照頁は「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」に基づく。なお、原文は日本経済団体連合会のホームページ(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/010.pdf)からダウンロードすることができる)。

7.注記表③(貸借対照表に関する注記)(承前)
(5)親会社株式

 会社法上、子会社による親会社株式の取得は、一定の場合を除き、禁止されている(会社法135条1項、2項)。また、取得した場合であっても、相当の時期に処分することが求められている(会社法135条3項)。したがって、通常は流動資産に計上されることが多いと考えられることから、ひな型の記載例は、親会社株式を流動資産に計上した場合における記載例を示している(ひな型41頁、記載例1参照)。
../../upload/ta_news/ta_image/205/p14.gif  ただし、連結配当規制適用会社の子会社の場合には、保有する親会社株式の帳簿価額が親会社の分配可能額の算定上、考慮されることとなることから、他の子会社から親会社株式を取得することが認められている(会社法施行規則23条12号)。この場合、早期に処分する必要性が乏しいと考えられ、「相当の時期」について、より柔軟な解釈が可能となることから、親会社株式を投資その他の資産の区分に計上することもありうる旨を「記載上の注意」に示している。

8.注記表④(税効果会計に関する注記)
 計算書類・連結計算書類は、有価証券報告書よりも先行して作成することが求められるため、時間の制約があることを考慮し、会社計算規則で求められている必要最小限の内容の記載例を示している(ひな型42頁、記載例2参照)。
../../upload/ta_news/ta_image/205/p15.gif  なお、有価証券報告書への記載が求められる「繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳」を記載する例も「記載上の注意」の中で、参考として示している。

9.注記表⑤(リースにより使用する固定資産に関する注記)
 税効果会計に関する注記と同様、時間の制約があることを踏まえ、会社計算規則で求められている必要最小限の内容の記載例を示している。
 なお、会社計算規則139条では、期末日における取得原価相当額ほかの記載を認めており、その場合の記載例を「記載上の注意」の中に示している(ひな型43頁、記載例3参照)。

10.注記表⑥(関連当事者との取引に関する注記)
 本注記は、計算書類・連結計算書類に関するひな型の各項目の中でも、最大のボリュームとなっている(ひな型44頁参照)。
 本注記の大きな特徴の1つとして、個別注記表にのみ記載が求められていることがあげられる。つまり、有価証券報告書では、連結財務諸表に注記した場合には、単体の財務諸表への注記は不要であるのに対し、会社計算規則では連結注記表に記載が行われることはなく、連結計算書類作成会社においても、個別注記を省略することができない。
 また、もう1つ大きな特徴は、会社計算規則140条2項3号が規定されていることである。これは会社法独自の規定であり、「当該取引に係る公正な価格等を勘案して一般の取引の条件と同様のものを決定していることが明白な場合」の取引は注記を要しないこととしている。ひな型では、本規定が定められた趣旨と本規定の考え方を「記載上の注意」に示している(次頁参照)。

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11.注記表⑦(1株当たり情報に関する注記)
 旧商法施行規則102条では、1株当たり当期純利益又は当期純損失の額の注記を求めていたが、会社計算規則141条では、これに加え、1株当たりの純資産額の注記を求めている(ひな型49頁・63頁(連結)、記載例4参照)。
../../upload/ta_news/ta_image/205/p17_1.gif  具体的な算定方法については、企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」(企業会計基準委員会)及び企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」(同)により行うことが考えられる。

12.注記表⑧(その他の注記)
 会社計算規則144条は、他に規定された注記以外で「貸借対照表等、損益計算書等及び株主資本等変動計算書等により会社(連結注記表にあっては、企業集団)の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項」の注記を求めている。
 これに対応して、ひな型では、「記載上の注意」の中で、有価証券に関する注記やデリバティブ取引に関する注記、退職給付に関する注記など、有価証券報告書で開示する事項を例示し、重要性を勘案のうえ、記載できることを示している(ひな型49頁・63頁(連結)、記載例5参照)。実務としては、一定の重要な事象があったときに注記を行うことが考えられる。

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Ⅳ附属明細書(計算書類関係)

1.有形固定資産及び無形固定資産の明細
 本明細は、旧商法施行規則107条3号に規定されていた「固定資産(投資その他の資産については、長期前払費用に限る。)の取得及び処分並びに減価償却費の明細」をおおむね引き継いだものである。
 ひな型では、帳簿価額による記載例を示している(ひな型65頁、記載例6参照)。これは、旧商法による附属明細書のひな型において、帳簿価額による記載例を示していたことから、実務負担を考慮し、基本的に従前からの様式を変更する必要はないことを示すためである。
 なお、取得価額ベースで記載することも可能であることを「記載上の注意」に示している。この場合、有価証券報告書に記載する「有形固定資産等明細表」の様式を参考に記載することが考えられる。

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2.販売費及び一般管理費の明細
 会社計算規則119条では、損益計算書における販売費及び一般管理費の項目に関し、「細分することが適当な場合には、適当な項目に細分することができる」としており、基本的に細目の記載は必要とされていないが、会社計算規則145条の規定により、販売費及び一般管理費の明細を計算書類に係る附属明細書に表示することを求めている(ひな型66頁、記載例7参照)。
../../upload/ta_news/ta_image/205/p18_2.gif  販売費及び一般管理費に含まれる科目の分類方法については、会社計算規則では規定されていない。ひな型の「記載上の注意」では、「おおむね販売費、一般管理費に順に、その内容を示す適当な科目で記載する。」としているが、例えば、財務諸表等規則ガイドライン84を参考に分類することが考えられる。

Ⅴ決算公告要旨

1.決算公告の概要
 会社法440条1項では、株式会社は、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならないことを定めている。ただし、同2項では、公告方法が官報に記載する方法又は時事に関する日刊新聞紙に掲載する方法である場合は、貸借対照表の要旨(大会社にあっては、貸借対照表の要旨及び損益計算書の要旨)を公告すればよいことを規定している。
 なお、公告方法が官報に記載する方法又は時事に関する日刊新聞紙に掲載する方法である場合において、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後5年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置(いわゆるWeb開示)をとるときは、計算書類の公告は要さない。また、同様に有価証券報告書を内閣総理大臣に提出さなければならない株式会社についても、計算書類の公告は不要である。

2.決算公告要旨
 ひな型は、上記のだだし書き(会社法440条2項)の取扱いにより、貸借対照表の要旨(大会社にあっては、貸借対照表の要旨及び損益計算書の要旨)を公告する場合の記載例を、①大会社かつ公開会社の貸借対照表の要旨及び損益計算書の要旨、②大会社かつ非公開会社の貸借対照表の要旨及び損益計算書の要旨、③大会社でない会社かつ公開会社の貸借対照表の要旨、④大会社でない会社かつ非公開会社の貸借対照表の要旨、の4つの区分に分類して示している。
 また、会計監査人設置会社が貸借対照表の要旨(大会社にあっては、貸借対照表の要旨及び損益計算書の要旨)を公告する場合において、会計監査報告に不適正意見がある場合等については、公告において明らかにしなければならない(会社計算規則176条)こととされている。このため、ひな型では「通則的事項」として、公告に記載すべき事項を示している(ひな型67頁、下記参照)。(とみはり・なおき)

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