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コラム2007年06月11日 【SCOPE】 金融庁の処分を受けた監査法人つばきが解散(2007年6月11日号・№214)

SCOPE
上場廃止となったTTGの監査人
金融庁の処分を受けた監査法人つばきが解散

 粉飾決算で平成19年1月に上場廃止となった(株)TTGの監査を行っていた監査法人つばきが4月27日付けで総社員の同意により解散していたことが明らかとなった(5月15日付けで解散の登記)。同監査法人については、金融庁から4月27日付けで麹町監査法人とともに戒告処分が行われるとともに、監査法人つばきの3人の公認会計士が登録の抹消の処分を受けていた。金融庁の処分が直接の契機として監査法人が解散するのは、フットワークエクスプレス(株)の監査を行っていた瑞穂監査法人に続いて2例目である。なお、監査法人つばきのクライアント先であった上場会社6社については、金融庁の行政処分を受ける前に他の監査法人等に交代している(下表参照)。


麹町監査法人から独立して設立  監査法人つばき(東京都中央区)は平成17年2月10日に設立された中小規模の監査法人。もともと麹町監査法人の社員が独立して設立した監査法人だ。
 TTGの監査では、麹町監査法人が平成14年3月期から平成17年3月期まで、監査法人つばきが平成17年9月期について、完成工事の外注費を他の未成工事に付け替えるなど、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものと証明したことにより、金融庁より戒告処分を受けた。
 また、登録の抹消となった公認会計士である3人の公認会計士は麹町監査法人の出身だ。監査法人つばきのクライアント先であった上場会社の6社のうち、東計電算と丸久は麹町監査法人から監査法人つばきに監査人が交代されたものであった。

行政処分の前に6社の上場企業の監査人を辞退  TTGの監査に関して、金融庁からの行政処分は必至とみられていたようだ。実際、公認会計士・監査審査会は3月28日に麹町監査法人に対する行政処分の勧告を金融庁に行っているが、2月26日付けで丸久が一時会計監査人の選任を公表した際に、「当社の会計監査人でありました監査法人つばきから本事業年度の監査に関する会計処理上の観点からではなく、監査法人つばきの運営上の問題から辞任の申出がされましたので、平成19年2月24日付けにて当社はこれを受理することにいたしました。……」との適時開示を行っている。
 その後、3月9日付けで東計電算、3月15日付けでメデカジャパン、富士バイオメディックス、光ハイツ・ヴェラス、3月19日付けでユニオンホールディングスが同様の趣旨の適時開示を行っている。
社員が4人以下に……  監査法人の解散については、法定事由として、①定款で解散の理由として定めた理由が発生したこと、②すべての社員が解散に同意したこと、③ほかの監査法人との合併、④破産手続開始の決定、⑤解散を命じる裁判、⑥内閣総理大臣による解散命令、⑦社員である公認会計士が4人以下となり、4人以下となった日から引き続き6か月間5人以上にならなかったことが列記されている(公認会計士法34条の18第1項・2項)。
 監査法人つばきの場合、2月23日時点で社員(公認会計士)が5人しかおらず、このうちの3人が行政処分の対象となった者だ。登録の抹消が行われた場合、残る社員は2人という状況となり、監査法人としての業務を続けることが困難であったことが想定される。

麹町監査法人は上場会社の監査を辞退する方針  一方の麹町監査法人については、クライアント先である加藤製作所、セコニック、菱和ライフクリエイトの監査人をそれぞれの6月の定時総会で退任するとしている。この3社については、5月29日付けで適時開示を行っているが、後任の監査人は決まっていない状況だ。
MEMO
上場会社監査事務所登録事務所は全体の64%にとどまる
 日本公認会計士協会が自主規制ルールとして4月1日から導入した上場会社監査事務所登録制度だが、4月17日まで登録した監査事務所は160事務所(法人111件、共同事務所1件、個人事務所48件)にとどまっていることが明らかとなった。上場企業を監査している事務所の約64%となる。
 上場会社監査事務所登録制度は、監査事務所の品質管理を徹底するうえで日本公認会計士協会が自主規制ルールとして導入したもの。制度発足時の平成19年4月1日時点で上場会社の監査を行っている監査事務所は、7月15日までに登録申請を行う必要がある。登録した監査事務所については、日本公認会計士協会のホームページで公表される。
 登録後については、大規模監査法人の場合は毎年、中小規模の監査法人でも3年に2回は品質管理レビューの対象となる。品質管理レビューの結果、問題があった場合には、制裁的措置が講じられる。品質管理レビューの結果、登録が取り消された場合、あるいは、登録申請を行っていない監査事務所についても、法的には上場会社の監査を行うことが可能だが、実質的に上場会社の監査をすることはできなくなる。
 監査リスクが高まるなか、特に中小規模の監査法人等については、証券取引法や会社法以外の学校や労働組合監査などに特化する道を模索することになりそうだ。場合によっては、他の監査法人との合併が行われるなど、上場会社監査事務所登録制度を契機に、今後、業界の再編が進む可能性もありそうだ。

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