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解説記事2008年03月03日 【ニュース特集】 金融商品取引法上の新課徴金制度を読み解く(2008年3月3日号・№249)

今通常国会に金融商品取引法の一部改正案を提出へ
金融商品取引法上の新課徴金制度を読み解く

 金融庁が検討している課徴金制度の見直しの概要が明らかとなった。インサイダー取引に関する金額水準については重要事実公表後2週間の最高値を基準とするほか、継続開示書類の虚偽記載については時価総額の10万分の6または600万円と2倍に引き上げる。また、新たに公開買付届出書や大量保有報告書の虚偽記載・不提出についても課徴金の対象とするなど範囲を拡大する。これらの課徴金制度の見直しに関しては、今通常国会に提出される予定の金融商品取引法等の一部を改正する法律案に盛り込まれる予定だ(今号10頁参照)。今回の特集では、新しい課徴金制度の概要について紹介する。

1 課徴金額の水準は2倍程度に引上げへ  課徴金制度の見直しに関しては、金融審議会金融分科会第一部会法制ワーキング・グループ報告が12月18日にまとめた「課徴金制度のあり方について」と題する報告書が元になっている(本誌242号参照)。報告書では、課徴金の対象範囲を拡大するとともに、金額水準を見直すべきとしている。
 今回、明らかになった課徴金制度の見直し案では、下表のとおり、現行の課徴金制度の対象となる違反行為に対する金額水準を引き上げている。
実際の利益が課徴金額よりも上回る事例が多数  まず、インサイダー取引については、重要事実公表後2週間の最高値を基準とする方向である。
 現行制度では、重要事実公表日翌日の終値が基準となるため、図1の場合を例にとると、インサイダー情報を元に株価800円で1,000株購入したものについては、重要事実公表日の翌日の終値である1,300円の差額である50万円が課徴金の額となる。しかし、仮に1,500円で売却していたとすると、実際の利益は70万円となるため、違反者の得た利益が課徴金の金額よりも多いといった事例が見受けられていた。また、たとえば、株価800円で1,000株購入したが、重要事実公表日の翌日の終値が700円と株価が800円を下回った場合には、その後株価が上昇して売却益を得たとしても課徴金は課されないという弊害が生じていた。
 見直し案では、重要事実公表後2週間の最高値を基準とすることで現行の2倍程度の課徴金額を課すことが可能になる模様だ。インサイダー取引については課徴金納付命令が27件(2月21日現在)と最も多いだけに影響が大きい改正といえそうだ。
継続開示書類の虚偽記載は2倍に  発行開示書類の虚偽記載については、期中において①重要事実を発表した会社における公表前後の株価変動と②生じていない会社(同一業種)における同じ期間の株価変動との差を基準とし、課徴金額を発行価額総額の2.25%(株式の場合4.5%)に引き上げている。また、継続開示書類の虚偽記載については、600万円を原則とし、時価総額の10万分の6に相当する額が600万円を超える場合にはその額としている。これは、社債の格付けの違いによる調達金利の差を最新のデータで集計し直し平均値を採用したものである。



2 公開買付届出書や大量保有報告書など、対象範囲が拡大に  課徴金制度の対象範囲も拡大される(下表参照)。最も注目すべきは公開買付届出書と大量保有報告書の虚偽記載・不提出だろう。
 公開買付届出書については、課徴金額を買付総額の100分の25としている。実務上、公開買付けを行うには市場価格に対してプレミアムを上乗せすることになるのが一般的だが、公開買付規制に違反する場合には買付価格の上乗せ分を払わないこととなる点に着目して課徴金額を算定したものである。100分の25という数字は近年の実績値の平均値を採用したものとしている。
テラメントのケースにあてはめると2億円  大量保有報告書については、課徴金額を対象株券等の時価総額の10万分の1としている。一般的に大量保有報告書を提出すると、追随して取引を行う者が発生し、市場価格が変動することにより、提出後も株式を買い増す場合には取引コストが上昇することになる。仮に大量保有報告書の報告義務に違反する場合には、この取引コストの上昇分を免れることになる。このため、取引コストの上昇分を近年の実績値から推計し、対象株券等の時価総額の10万分の1としたものである。
 なお、トヨタ自動車など、上場企業6社の株式(総額20兆円超)を取得したとする虚偽の大量保有報告書を提出したテラメント(株)の場合を例にとると、課徴金額は約2億円ということになる。
安定操作取引も課徴金の対象に  そのほか、相場操縦のうち仮装売買・馴合売買、違法な安定操作取引も課徴金の対象としている。安定操作取引については、違反行為中の平均額から違反行為後1ヶ月の平均価額を控除したものを課徴金算定の基準としている(図2参照)。


3 インサイダー取引や虚偽記載を調査前に報告すれば課徴金は半額  課徴金制度に関しては、金額水準の引上げや対象範囲の拡大以外の見直しも行われる。
 注目される改正は、加算・減算制度を導入する点だ。過去5年間に課徴金の対象となった者が再度違反した場合には課徴金の額を1.5倍に加算する。一方、コンプライアンス体制の構築の促進・再発防止の観点から当局の調査前に、①自己株式売買におけるインサイダー取引、②発行開示書類・継続開示書類の虚偽記載、③大量保有報告書の不提出の違反行為を報告した場合には課徴金を半額に減算する。
除斥期間は3年から5年に  除斥期間については現行の3年から5年に延長する。また、審判制度の見直しについては、①民事訴訟法の制度にならい被審人は審判手続に係る書類の送達場所を届出、②事件記録の閲覧について、正当な理由がある場合を除き利害関係人が閲覧できることを明確化する。

課徴金制度とは?  課徴金制度については、平成16年6月の証券取引法改正により、金融・資本市場における違反行為を的確に抑止し、規制の実効性を確保する観点から金銭的な負担を課す行政上の措置として、平成17年4月1日より導入されたものである。
 現行、対象となる違反行為は、インサイダー取引、相場操縦、風説の流布・偽計、有価証券届出書等の虚偽記載、有価証券報告書等の虚偽記載となっている。課徴金納付命令は、平成20年2月21日現在、37件となっており、その内訳はインサイダー取引27件、有価証券報告書虚偽記載6件、半期報告書等虚偽記載2件、有価証券届出書等虚偽記載1件、発行登録追補書類虚偽記載1件となっている。なお、これまでの課徴金額の最高は5億円、最低は4万円である。

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