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コラム2008年06月16日 【SCOPE】 内部統制報告制度の改善が不可欠(2008年6月16日号・№262)

自民党・国際競争力調査会の報告書を読み解く
内部統制報告制度の改善が不可欠

 自民党の国際競争力調査会(会長:尾身幸次衆議院議員)は6月4日、「力強い日本の復活に向けて」と題する報告書を取りまとめた。報告書は、同調査会が平成19年10月以来、8ヶ月にわたり検討してきたものである。①製造・科学技術・中小企業、②医薬品・医療機器、③IT、④物流インフラ、⑤金融、⑥経済安全保障、⑦人材、⑧住宅問題、⑨少子化対策の9分野について具体的提言を行っている(次頁参照)。このうち、経済安全保障関係では、内部統制報告制度の施行の再検討や企業買収ルールの整理・明確化などを明記している。

「重要な欠陥」の意味の広報を求める  今回の報告書における提言については、法律改正のほか、6月末にまとまる予定の骨太の方針2008に盛り込むことにより、早期実現を図る目的で行われているものである。
 報告書の提言のうち、注目すべき点の1つが平成20年4月1日以後開始する事業年度から導入されている内部統制報告制度の施行の再検討だ。
 報告書では、適用初年度の状況をみて、施行上の問題点を確認し、施行の改善を図っていくことが不可欠であるとしている。
 具体的には、中小規模の上場企業も対象となるほか、上場企業の非上場連結子会社なども対象となるため、規模に応じて内部統制報告制度の柔軟な適用が可能となるよう、政府は責任を持ってみるべきであるとしている。
 また、「重要な欠陥」が指摘された企業に関し、株式市場において、過剰反応が起きないようにしなければならないと指摘。米国でも適用初年度は全体の1割が「重要な欠陥」があったとの報告もある。政府は混乱を回避するため、「重要な欠陥」の意味を徹底して広報すべきとしている。
裁判所で企業実務に関する専門知識を  企業買収ルールの整理・明確化では、①買収者に金員の交付を行うことはかえって買収防衛策の発動を誘発してしまう、②形式的に株主の「数」を抑えれば、買収防衛策が安定するとの議論は、かえって買収防衛策が経営者の保身を許すことになると指摘。買収防衛策は株主・投資家の利益を守るためであり、また、経営者の保身を図ることを目的として買収防衛策が利用されることは許されないとした。
 そのほか、企業買収における適正な司法判断を確保し、ひいてはその予見可能性を高めることを目的として、裁判所において、企業実務に関する専門知識を取り入れる方策を充実させることを求めている。
複数議決権株式の発行解禁は年内に結論  種類株式の発行解禁については、証券取引所の上場規則等が制限的であるため、上場会社が発行できない状態が続いていると指摘。①無議決権株式の上場および新規上場時の複数議決権株式の発行の解禁を今夏に実施、②上場企業の複数議決権株式の発行解禁は、その条件について検討を行い、年内に結論を得る、③TOPIXなどのインデックスへの種類株式の組込みの是非について、年内に結論を得るとしている。

報告書における各分野の主な課題
1.製造・科学技術・中小企業
・第3期科学技術基本計画に掲げた25兆円の投資目標の実現
・研究開発型独立行政法人の研究費の確保 など
2.医薬品・医療機器 ・未承認医薬品・医療機器の一部保険併用 など
3.IT ・先端IT利用市場の活性化と規制改革 など
4.物流インフラ ・首都圏空港における中長期的な将来需要への対応(羽田滑走路増設)
・羽田空港の更なる国際化 など
5.金融 ・国民、特に老後世代が保有する金融資産の安心・安全な有効活用
  投資インセンティブの創出や税制、投資教育の充実等投資環境の整備を行う。
・国際競争力を持つ人材育成
  複数の大学が連携して最先端の金融工学等の講義を行う講座の創設や、金融スキルの基礎を短期かつ夜間に教える講座の設置を支援する。
・公的年金の株式等の資産への運用促進
  公的年金における株式運用比率は、現在は最大31%であるところを、40%以内まで弾力的に運用することを認める。また、トップクラスのファンドマネージャーを積極的に招聘することにより、5年間の平均収益率の目標を、5%程度とする。
・英語での上場申請等を認める金融市場の開設
  プロ向け市場の枠組みを活用し、英語による情報開示、上場申請書類を認める。
・貯蓄から投資へのインセンティブを与える税制環境の整備
  国際的に遜色のないファンド関連税制を確立する。
6.経済安全保障 ・不正な手段による重要技術の国内外への流出防止
  不正な方法により技術情報などの窃取・複製・他人への持ち出しを防止できる法制度を整備する。
・企業買収ルールの整理・明確化
  早期に買収防衛策のあり方について見直しを実施し、今夏までに結論を得る。加えて、裁判所において、企業実務に関する専門知識を取り入れる方策を充実させる。
・重要技術の外国への流出防止
  抜本的な改正を行った外為法の外資規制の厳格な運用を図る。具体的な弊害が更に生じることがあれば、見直しを検討する。
・上場会社による種類株式発行解禁
  無議決権株式の上場および新規上場時の複数議決権株式の発行を解禁する。
・財務報告内部統制制度(J-SOX)の施行の再検討
  各期末決算後などの節々において、施行上の問題点を確認し、施行の改善を図っていく。
7.人材 ・小学校2年生からの英語教育の導入 など
8.住宅問題 ・大都市圏を中心に、一人当たりの実質的な住生活空間を15年間で倍増(住宅ローン減税拡充など)
9.少子化対策 ・出生率低下を抑制したフランス並みの子育て支援を実施

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