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解説記事2008年07月28日 【ニュース特集】 来料加工に関する裁決で全部取消し(2008年7月28日号・№268)

来料加工に関する裁決事例を読み解く
来料加工に関する裁決で全部取消し

 「来料加工」を巡り、納税者と課税当局との間でたびたび争いが行われている。日本の親会社に対して、外国子会社合算税制に基づく追徴課税が行われるケースもあり、訴訟にまで発展しているケースがある。
 この来料加工だが、T&Amaster編集部の調べで東京国税不服審判所が納税者側の主張を全面的に認め、外国子会社合算税制の適用除外とする裁決を行っていたことが明らかとなった。来料加工を巡っては「卸売業」か否かで争われるケースが多いが、今回の裁決は所在地国基準を満たすかどうかで争われたものである。ただし、来料加工を巡っては、事例ごとに異なるため、それぞれの実体で判断されることになりそうだ。

適用可否は所在地国基準または非関連者基準  来料加工とは、香港企業等の外国企業が中国広東省の都市の中国企業の工場に対し、原材料、部材、補助材料、製造設備等を提供し、香港企業等の要求する規格やデザイン等に基づき製品を製造し、加工した製品を香港企業等が引き取る加工方式のことをいう。中国企業には加工賃のみを支払う取引である。
 香港企業等の外国企業は、実質上の経営、生産管理、財務等を行うことが可能であり、中国の工場に運び入れる材料や機械装置等に関しては、税関登録をすることにより無税となるなどのメリットがある。
 しかし、昨今では、日本企業が香港に設立した子会社について、特定外国子会社に該当するとして、外国子会社合算税制に基づく追徴課税を行うケースが散見されている。
 外国子会社合算税制とは、海外子会社を利用した租税回避行為に対応するため、海外子会社の留保所得を、その持分に応じて、親会社の所得に合算して課税する制度のこと(前頁参照)。

 ただし、海外子会社が実体のある事業を行っている等、一定の条件を満たす場合は、適用除外とされている。
 具体的には、①事業基準、②実体基準、③管理支配基準、④所在地国基準または非関連者基準のすべてを満たす場合には、外国子会社合算税制を適用しないこととしている(措置法66条の6第4項)。
 このうち、外国子会社合算税制が適用されるか否かの争点は、④の所在地国基準または非関連者基準に関するものとなっている。
製造業等なら所在地国基準を満たすかどうか
 所在地国基準は、特定外国子会社等の行う主たる事業が卸売業等の事業以外の事業である場合に適用される基準であり、その事業を主として本店所在地国等で行っていることを適用除外の要件としている。
 たとえば、製造業、小売業、サービス業等については、製造、小売、サービス提供等のその事業にとって本質的な行為の行われる物理的な場所が主として本店所在地国等であれば、経済的合理性があるとして要件を満たすことになる。
 また、非関連者基準は、特定外国子会社等の行う主たる事業が卸売業等の事業である場合に適用される基準であり、その事業を主として関連者以外の者と行っていることを要件としている。


審判所、必ずしも日本標準産業分類どおりに判定せず  ここで来料加工に関して、請求人の主張が斥けられた事例を紹介しよう。国税不服審判所で公表している裁決事例集No.74(下記参照)に掲載されている事例と内容はほぼ同様のものである。
 本裁決事例についても、請求人の香港子会社の主たる事業が「卸売業」か、原処分庁が主張する「製造業」かが争われたものである。
 この点、東京国税不服審判所は1月24日、請求人の主たる事業は「卸売業」に該当しないと判断。外国子会社合算税制の対象となるとし、請求人の主張を斥けた。外国子会社合算税制の適用除外要件を適用するために行う事業区分の判定は租税特別措置法66条の6第3項(現:同法66条の6第4項、以下同じ)の趣旨を勘案して判定すべきものであり、必ずしも日本標準産業分類に拘束されるものではないとしている(東裁(法)平19第102号)。
卸売業に該当する製造問屋と主張  具体的にみると、請求人は日本標準産業分類上、「卸売業」に該当する「製造問屋」に該当すると主張。非関連者との取引も50%超となっており、非関連者基準を満たし、外国子会社合算税制の適用除外要件のすべてを満たしているとしている。
 一方、原処分庁は、自ら製造を行い、出来上がった製品を取引先に販売していると認められるとして「製造業」に該当するとし、外国子会社合算税制を適用し、法人税の各更正処分を行ったものである。
審判所、卸売業とは全く異なる事業  租税特別措置法では、外国子会社合算税制の適用除外要件について規定し、特定外国子会社等が事業基準、実体基準、管理支配基準および所在地国基準または非関連者基準のすべてを満たす場合には、外国子会社合算税制を適用しないこととしている。
 このうち、所在地国基準については、特定外国子会社等の行う主たる事業が卸売業等の事業以外の事業である場合に適用される基準であり、その事業を主として本店所在地国等において行っていることを適用除外の要件とするものである。
 審判所は、本件についてみると、原材料を購入して、その加工等を外部に委託し、完成品を引き取って自己の名称で最終消費者以外の事業者に販売する事業は、当該完成品を販売する者によって購入された原材料について物理的または化学的変化を加えていることは明らかであり、有体的商品を販売するという事業ではあっても、「卸売業」とは全く同じ事業であるとはいえないと指摘した。
 また、本件事業が日本標準産業分類において「製造問屋」に該当し、卸売業に分類される事業であるとしても、外国子会社合算税制の適用除外を適用するために行う事業区分の判定は租税特別措置法の趣旨も勘案して判定すべきであり、必ずしも日本標準産業分類に拘束されるものではないとしている。
製造行為は工場  請求人の香港子会社の主たる事業が「卸売業」に該当しないため、外国子会社合算税制の適用除外要件を満たしているかどうかの判定は所在地国基準が適用される。しかし、本件事業は、主に製造行為の行われた工場で行われているため、所在地国基準を満たさないとしている。

国税不服審判所、来料加工に関する裁決事例を公表  国税不服審判所が7月14日にホームページに掲載した裁決事例集No.74においても、来料加工に関する裁決事例が掲載されている。
 本文で紹介した裁決事例と同様に、請求人は、「卸売業」に該当すると主張する。しかし、審判所は、香港子会社が自己の計算において原材料を仕入れ、加工等をして製品を完成させ、最終消費者以外の事業者に販売する事業を行っていたと認められる。このため、租税特別措置法第66条の6第3項1号に規定する「卸売業」とは、有体的商品を仕入れ、物理的または化学的な変化を加えずに、最終消費者以外の事業者に販売する事業をいうから、本件事業は、同号に規定する卸売業には該当しないと判断。また、外国子会社合算税制の適用除外要件を適用するために行う事業区分の判定は、租税特別措置法第66条の6第3項各号の立法趣旨・目的等も勘案して判定すべきものであり、必ずしも日本標準産業分類の分類どおりに判定するものではないとし、請求人の主張を斥けている。

所在地国基準、製造費用の額が過半を占めるかどうかで判定  一方、所在地国基準の要件を満たすとして、東京国税不服審判所は2月20日、請求人である納税者の主張を認めた裁決事例(東裁(法)平19第115号)を紹介する。
 本件事案は、請求人の子会社が特定外国子会社に該当し、主たる事業が製造業であるが、所在地国基準を満たさないとし、外国子会社合算税制が適用されたものである。
原処分庁、工場が本店所在地国にあるか  原処分庁は、製造業を営む特定外国子会社が外国子会社合算税制の所在地国基準を満たすかどうかは、製品の組立て・加工といった物を作る行為を行う場所、すなわち工場が所在する場所で判断するのが適当であると主張した。
 また、外国子会社合算税制の適用上、製造業を営む特定外国子会社が所在地国基準を満たすかどうかは、工場等が本店所在地国等にあるかどうかで判定すべきであり、その製造に必要な一連の行為が複数の国または地域にまたがって行われている場合には、いずれの国または地域に工場等が存在するかで判断するのが適当であると主張している。
 審判所によると、本店所在地国の判定は、主として製造行為を行っているかどうかについて、製造費用の額(加工製造に係る成形費、外注加工費、工場建物等の賃借料、金型その他の生産設備等の減価償却費の額等)が製造費用の総額の過半を占めているかどうかで判定することになると述べている。
 本件の場合は、本店所在地国での事業が過半を占めているため、外国子会社合算税制の適用除外要件をすべて充足していると判断した。
各事例につき、個別判断だが……  今回の事案では、納税者の主張が認められたが、内容をみると、実質的な判断が行われた結果ということがいえよう。審判所も、すべて来料加工に関する裁決事例に関しては、「卸売業」に該当するとの判断を行っているのではなく、実体で判断していると話している。
 とはいっても、来料加工の取引形態に関しては、「製造業」と該当されるケースが多いと思われ、大手企業が行っている裁判の行方が注目される。

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