解説記事2010年08月30日 【ニュース特集】 税制抜本改革議論で鍵となる附則104条(2010年8月30日号・№368)
23年度までの法制措置を義務付けているが……
税制抜本改革議論で鍵となる附則104条
平成21年度税制改正法(本稿では所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)をいう)の附則104条(税制の抜本的な改革に係る措置)の存在が、国会での議論等を通じて浮上してきた。同条では、消費税を含む税制の抜本改革に係る具体的な改正内容を定める法案を、平成23年度までに提出するとしている。平成23年度までの法制上の措置については、先の臨時国会で自民党の谷垣総裁が「財政事情が緊迫化するなか、この条項の修正によるスケジュール変更は当然認められない」と発言。一方、菅首相は「期限を切っての議論ではない」と答弁している。国会がねじれ状況のもと、附則104条を巡る今後の展開が注目される。
附則104条1項は「必要な法制上の措置」について規定
経済状況の好転は「実施」の前提 平成21年度税制改正法附則104条の内容を確認しておきたい。
同条のなかで、特に重要と思われるのは、同条1項における「遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」と規定している点だ。
この「必要な法制上の措置」については、「平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として」とされている。これは、3年間(平成20年度から22年度まで)の景気回復に向けた取組みの結果、経済状況が好転することが、税制抜本改革の「実施」の前提ということになる。
つまり、税制抜本改革の具体的な改正内容を定める法案(必要な法制上の措置)は、経済状況の好転や経済状況にかかわらず講ずべきとされているものだ。
基礎年金の国庫負担割合引上げに係る費用等を踏まえて また、同条1項では、「基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げのための財源措置、医療・介護の社会保障給付、少子化に対処するための施策に要する費用」に言及しており、税制抜本改革にあたっては、基礎年金の国庫負担割合引上げの道筋や所要財源を踏まえるとしている。
そして、平成16年年金改正法附則16条1項では、基礎年金の国庫負担割合引上げに係る特定年度について、平成21年度税制改正法附則104条により安定財源の確保が図られる年度を定めるとされている(下掲参照)。
実施期日等は改正内容、経済状況により異なり得るもの 同条2項は、前述の「必要な税制上の措置を講ずる」に関する解釈を前提に、税制抜本改革の実施期日等について規定している。
具体的には、税制抜本改革を具体的に実施するための施行期日等は、景気回復過程の状況等を見極め、予期せざる経済変動に柔軟に対応できる仕組みとし、その改革は、行政改革の不断の推進、歳出の無駄排除を徹底することに注力して行われるものとされている。
「実施期日等」の範囲、定め方について、平成21年度改正に関する財務省の「税制改正の解説」において、「改正法案における具体的な改正内容、その時々の経済状況等により異なり得るもの」であるとされている。
なお、同条3項においては、消費税を含む税制抜本改革に向けた検討の基本的方向性が示されている。
特に、個人所得課税では、各種控除・税率構造を見直し、最高税率・給与所得控除の上限の調整が、法人課税においては、課税ベースの拡大とともに、法人の実効税率の引下げの検討が掲げられている点が注目される。
また、消費課税では、消費税の目的税化を前提とした税率の検討、資産課税において、相続税の課税ベース・税率構造等を見直しによる負担の適正化の検討が掲げられている。
「法案通りに推し進めるとすればどういうやり方があり得るのか」 附則104条は、自民党政権下で策定されたものであるが、昨夏の衆議院議員選挙により、現在は民主党を中心とした政権となっている。
そして今夏の参議院議員選挙後の臨時国会においては、8月2日の衆議院予算委員会で附則104条が議論となった。
そこで、自民党の谷垣総裁は「この条項の修正によるスケジュール変更は認められない」と発言。菅首相は、「期限を切っての議論ではないということを含めて、いつまでに解散云々ということは、現在まったく考えていない」と発言している(次頁・議事要旨参照)。
税制改革に関しては、民主党が税制改革PTを設置し、議論を進めている。
一方、自民党も税制調査会・安心社会研究会合同会議等で議論を行っている。そして、秋以降には、政府税制調査会の議論も本格化する見込みだ。
国会のねじれ状況のもと、平成23年度税制改正、附則104条に規定する消費税を含む税制の抜本的な改革について、今後の議論の行方が注目される。
Column
附則104条を巡る今後の展開を予測すると…… 菅首相は、上記のように附則104条について、「23年度は暦でいえば24年3月末なので、その適当な時期に何らかの対応をしなければならないだろう」と発言している。しかし、秋の臨時国会に自民党が「財政健全化責任法案」を再提出した場合、附則104条が議論となることも考えられる。同法案には、附則104条に関する規定(2条・9条)が含まれているからだ。
また、平成21年度・平成22年度の基礎年金国庫負担割合引上げ(2分の1)については、財政投融資特別会計からの繰入れにより、その財源が手当てされている。しかし、平成23年度の当該財源については、次期通常国会で議論されることになろう。そこでは、平成16年年金改正法附則16条との関係(4頁参照)で附則104条が議論となることも予想される。
税制抜本改革議論で鍵となる附則104条
平成21年度税制改正法(本稿では所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)をいう)の附則104条(税制の抜本的な改革に係る措置)の存在が、国会での議論等を通じて浮上してきた。同条では、消費税を含む税制の抜本改革に係る具体的な改正内容を定める法案を、平成23年度までに提出するとしている。平成23年度までの法制上の措置については、先の臨時国会で自民党の谷垣総裁が「財政事情が緊迫化するなか、この条項の修正によるスケジュール変更は当然認められない」と発言。一方、菅首相は「期限を切っての議論ではない」と答弁している。国会がねじれ状況のもと、附則104条を巡る今後の展開が注目される。
附則104条1項は「必要な法制上の措置」について規定
経済状況の好転は「実施」の前提 平成21年度税制改正法附則104条の内容を確認しておきたい。
同条のなかで、特に重要と思われるのは、同条1項における「遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」と規定している点だ。
この「必要な法制上の措置」については、「平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として」とされている。これは、3年間(平成20年度から22年度まで)の景気回復に向けた取組みの結果、経済状況が好転することが、税制抜本改革の「実施」の前提ということになる。
つまり、税制抜本改革の具体的な改正内容を定める法案(必要な法制上の措置)は、経済状況の好転や経済状況にかかわらず講ずべきとされているものだ。
基礎年金の国庫負担割合引上げに係る費用等を踏まえて また、同条1項では、「基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げのための財源措置、医療・介護の社会保障給付、少子化に対処するための施策に要する費用」に言及しており、税制抜本改革にあたっては、基礎年金の国庫負担割合引上げの道筋や所要財源を踏まえるとしている。
そして、平成16年年金改正法附則16条1項では、基礎年金の国庫負担割合引上げに係る特定年度について、平成21年度税制改正法附則104条により安定財源の確保が図られる年度を定めるとされている(下掲参照)。
実施期日等は改正内容、経済状況により異なり得るもの 同条2項は、前述の「必要な税制上の措置を講ずる」に関する解釈を前提に、税制抜本改革の実施期日等について規定している。
具体的には、税制抜本改革を具体的に実施するための施行期日等は、景気回復過程の状況等を見極め、予期せざる経済変動に柔軟に対応できる仕組みとし、その改革は、行政改革の不断の推進、歳出の無駄排除を徹底することに注力して行われるものとされている。
「実施期日等」の範囲、定め方について、平成21年度改正に関する財務省の「税制改正の解説」において、「改正法案における具体的な改正内容、その時々の経済状況等により異なり得るもの」であるとされている。
なお、同条3項においては、消費税を含む税制抜本改革に向けた検討の基本的方向性が示されている。
特に、個人所得課税では、各種控除・税率構造を見直し、最高税率・給与所得控除の上限の調整が、法人課税においては、課税ベースの拡大とともに、法人の実効税率の引下げの検討が掲げられている点が注目される。
また、消費課税では、消費税の目的税化を前提とした税率の検討、資産課税において、相続税の課税ベース・税率構造等を見直しによる負担の適正化の検討が掲げられている。
「法案通りに推し進めるとすればどういうやり方があり得るのか」 附則104条は、自民党政権下で策定されたものであるが、昨夏の衆議院議員選挙により、現在は民主党を中心とした政権となっている。
そして今夏の参議院議員選挙後の臨時国会においては、8月2日の衆議院予算委員会で附則104条が議論となった。
そこで、自民党の谷垣総裁は「この条項の修正によるスケジュール変更は認められない」と発言。菅首相は、「期限を切っての議論ではないということを含めて、いつまでに解散云々ということは、現在まったく考えていない」と発言している(次頁・議事要旨参照)。
税制改革に関しては、民主党が税制改革PTを設置し、議論を進めている。
一方、自民党も税制調査会・安心社会研究会合同会議等で議論を行っている。そして、秋以降には、政府税制調査会の議論も本格化する見込みだ。
国会のねじれ状況のもと、平成23年度税制改正、附則104条に規定する消費税を含む税制の抜本的な改革について、今後の議論の行方が注目される。
Column
附則104条を巡る今後の展開を予測すると…… 菅首相は、上記のように附則104条について、「23年度は暦でいえば24年3月末なので、その適当な時期に何らかの対応をしなければならないだろう」と発言している。しかし、秋の臨時国会に自民党が「財政健全化責任法案」を再提出した場合、附則104条が議論となることも考えられる。同法案には、附則104条に関する規定(2条・9条)が含まれているからだ。
また、平成21年度・平成22年度の基礎年金国庫負担割合引上げ(2分の1)については、財政投融資特別会計からの繰入れにより、その財源が手当てされている。しかし、平成23年度の当該財源については、次期通常国会で議論されることになろう。そこでは、平成16年年金改正法附則16条との関係(4頁参照)で附則104条が議論となることも予想される。
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