コラム2010年10月04日 【SCOPE】 開発費の資産計上やのれんの非償却の最終決定は?(2010年10月4日号・№372)
ASBJ、プロジェクト計画表を見直し
開発費の資産計上やのれんの非償却の最終決定は?
企業会計基準委員会(ASBJ)は9月17日、更新したプロジェクト計画表を公表した。IASBとFASBの審議状況を踏まえ、検討項目についてはおおむね公開草案の公表時期などが遅れることになった。たとえば、収益認識や金融商品については、公開草案の公表時期が当初の平成23年上半期から9月頃と先送りされている。また、既存の差異である企業結合や無形資産についての最終基準化も当初の平成22年中から平成23年6月までと半年程度先送りされている。なお、基準諮問会議からの提案を受け、見直しが決まった四半期会計基準や後発事象に関する会計基準については、平成22年中に公開草案を公表し、平成23年3月までに最終基準化するとしている。
MOU関連は軒並み先送りに 今回の更新は、主にIASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計審議会)が平成22年6月に公表した「会計基準のコンバージェンス及び一組の高品質なグローバルな会計基準のコミットメントに関する進捗報告」およびこれに基づくワーク・プランの更新を踏まえたものである(平成23年6月とされているMOU項目の完了予定時期について、その一部を平成23年後半まで延期するとしている)。
このため、今回のプロジェクト計画表の更新では、たとえば、収益認識、金融商品、リース、認識の中止の公開草案の公表時期については平成23年9月頃までに、負債と資本の区分の論点整理は平成23年後半に先送りとされている(表参照)。
のれんの非償却化等の公開草案は平成22年末に 既存の差異に関する残りの項目であり、同時に公表する予定の企業結合と無形資産についても最終基準化の時期が先送りされている。当初は平成22年中に最終基準化するとしていたが、更新後は、平成22年中に公開草案、平成23年6月までに最終基準化することとなった。
会社法監査後の後発事象を財務諸表に反映させるか否かが論点 そのほか、基準諮問会議からの提言を受けた四半期会計基準等の見直しや後発事象に関する会計基準の策定については、平成22年中に公開草案を公表し、平成23年3月までに最終決定する方針を示している。
四半期報告の大幅な簡素化については、政府が6月18日に閣議決定した「新成長戦略」において、平成22年度中に実施する項目として盛り込まれているためである。
平成23年3月の基準化に向けて検討を開始 同委員会では、すでに四半期財務諸表会計基準等および後発事象に関する会計基準の検討を開始している。
四半期財務諸表に関する会計基準および同適用指針の見直しについては、注記事項を中心とした開示項目の簡素化を行う方針。タイムリーな改正を行う必要があるため、専門委員会での審議は行わず、委員会での審議のみ行うとしている。
委員会では、現状分析1回、参考人(企業、会計士、アナリスト、学者を予定)との質疑応答1回、主な論点の検討2回、公開草案の検討を3回行う予定としている。なお、主な検討項目としては、簡素化すべき事項の洗い出し、第2四半期と第1・3四半期との開示水準の分け方などが挙げられている。
後発事象の定義は国際的な会計基準に 後発事象に関しては、わが国の監査基準等における現行の取扱いとIFRS(国際財務報告基準)における取扱いを整理したうえで検討を行う予定。
たとえば、後発事象の定義については、国際的な会計基準に合わせた見直しを行う。日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会報告第76号「後発事象に関する監査上の取扱い」では、「後発事象とは、決算日後に発生した会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす会計事象をいい、このうち、監査対象となる後発事象は、監査報告書日までに発生した後発事象をいう」とされている。一方、IFRSでは、「後発事象とは、報告期間の末日と財務諸表の公表の承認日との間に発生する事象で、企業にとって有利な事象と不利な事象の双方をいう」とされている。
IFRSでは財務諸表を修正するが…… 監査上の取扱いでは、金融商品取引法に基づく監査報告書日までに発生した修正後発事象については、財務諸表を修正することとされているが、会社法における計算書類との単一性を重視する観点から、その事象が会社法監査における会計監査人の監査報告書日後に発生した場合には、当該事象は開示後発事象に準じて取り扱うこととされている。
一方、IFRSでは、報告期間の末日に存在した状況についての証拠を提供する事象(修正を要する後発事象)については、企業は、修正を要する後発事象を反映させるよう、財務諸表において認識された金額を修正しなければならないとされている。このため、わが国の取扱いを変更するかどうかが論点となる。
開発費の資産計上やのれんの非償却の最終決定は?
企業会計基準委員会(ASBJ)は9月17日、更新したプロジェクト計画表を公表した。IASBとFASBの審議状況を踏まえ、検討項目についてはおおむね公開草案の公表時期などが遅れることになった。たとえば、収益認識や金融商品については、公開草案の公表時期が当初の平成23年上半期から9月頃と先送りされている。また、既存の差異である企業結合や無形資産についての最終基準化も当初の平成22年中から平成23年6月までと半年程度先送りされている。なお、基準諮問会議からの提案を受け、見直しが決まった四半期会計基準や後発事象に関する会計基準については、平成22年中に公開草案を公表し、平成23年3月までに最終基準化するとしている。
MOU関連は軒並み先送りに 今回の更新は、主にIASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計審議会)が平成22年6月に公表した「会計基準のコンバージェンス及び一組の高品質なグローバルな会計基準のコミットメントに関する進捗報告」およびこれに基づくワーク・プランの更新を踏まえたものである(平成23年6月とされているMOU項目の完了予定時期について、その一部を平成23年後半まで延期するとしている)。
このため、今回のプロジェクト計画表の更新では、たとえば、収益認識、金融商品、リース、認識の中止の公開草案の公表時期については平成23年9月頃までに、負債と資本の区分の論点整理は平成23年後半に先送りとされている(表参照)。

のれんの非償却化等の公開草案は平成22年末に 既存の差異に関する残りの項目であり、同時に公表する予定の企業結合と無形資産についても最終基準化の時期が先送りされている。当初は平成22年中に最終基準化するとしていたが、更新後は、平成22年中に公開草案、平成23年6月までに最終基準化することとなった。
会社法監査後の後発事象を財務諸表に反映させるか否かが論点 そのほか、基準諮問会議からの提言を受けた四半期会計基準等の見直しや後発事象に関する会計基準の策定については、平成22年中に公開草案を公表し、平成23年3月までに最終決定する方針を示している。
四半期報告の大幅な簡素化については、政府が6月18日に閣議決定した「新成長戦略」において、平成22年度中に実施する項目として盛り込まれているためである。
平成23年3月の基準化に向けて検討を開始 同委員会では、すでに四半期財務諸表会計基準等および後発事象に関する会計基準の検討を開始している。
四半期財務諸表に関する会計基準および同適用指針の見直しについては、注記事項を中心とした開示項目の簡素化を行う方針。タイムリーな改正を行う必要があるため、専門委員会での審議は行わず、委員会での審議のみ行うとしている。
委員会では、現状分析1回、参考人(企業、会計士、アナリスト、学者を予定)との質疑応答1回、主な論点の検討2回、公開草案の検討を3回行う予定としている。なお、主な検討項目としては、簡素化すべき事項の洗い出し、第2四半期と第1・3四半期との開示水準の分け方などが挙げられている。
後発事象の定義は国際的な会計基準に 後発事象に関しては、わが国の監査基準等における現行の取扱いとIFRS(国際財務報告基準)における取扱いを整理したうえで検討を行う予定。
たとえば、後発事象の定義については、国際的な会計基準に合わせた見直しを行う。日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会報告第76号「後発事象に関する監査上の取扱い」では、「後発事象とは、決算日後に発生した会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす会計事象をいい、このうち、監査対象となる後発事象は、監査報告書日までに発生した後発事象をいう」とされている。一方、IFRSでは、「後発事象とは、報告期間の末日と財務諸表の公表の承認日との間に発生する事象で、企業にとって有利な事象と不利な事象の双方をいう」とされている。
IFRSでは財務諸表を修正するが…… 監査上の取扱いでは、金融商品取引法に基づく監査報告書日までに発生した修正後発事象については、財務諸表を修正することとされているが、会社法における計算書類との単一性を重視する観点から、その事象が会社法監査における会計監査人の監査報告書日後に発生した場合には、当該事象は開示後発事象に準じて取り扱うこととされている。
一方、IFRSでは、報告期間の末日に存在した状況についての証拠を提供する事象(修正を要する後発事象)については、企業は、修正を要する後発事象を反映させるよう、財務諸表において認識された金額を修正しなければならないとされている。このため、わが国の取扱いを変更するかどうかが論点となる。
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