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コラム2015年03月23日 【SCOPE】 遺留分の民法特例、兄弟姉妹・親族外承継も対象(2015年3月23日号・№587)

中小企業経営承継円滑化法改正案が国会提出へ
遺留分の民法特例、兄弟姉妹・親族外承継も対象

 政府が今通常国会に提出予定の「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案」の概要が明らかとなった(今号38頁参照)。改正法案では、事業承継税制に合わせる形で「遺留分に関する民法の特例」の対象範囲に被相続人の兄弟姉妹及び親族外承継を加えることとしている。施行は公布の日から起算して1年以内とされる。

親族外承継は4割に上昇
 現行の中小企業経営承継円滑化法では、「遺留分に関する民法の特例」が措置されている。この民法特例は、後継者を含めた現経営者の推定相続人全員の合意の上で、現経営者から後継者に贈与等された自社株式について、①遺留分算定基礎財産から除外(除外合意)、又は②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定(固定合意)をすることができることとされている。推定相続人が複数いる場合、株式が分散化するリスクを回避するためのものである。
 この民法特例の適用を受けるには、3年以上継続して事業を行っている非上場企業であることなど、一定の要件を満たす必要があるが、事業承継を受ける者は合意時点において会社の代表者であることのほか、現経営者(法律上は旧代表者)の「親族」(推定相続人)に限られており、親族外承継は認められていない。
 しかし、20年以上前は9割以上で行われていた親族内承継も最近は約6割に減少。逆に役員や従業員、社外の第三者といった親族外承継が約4割と増加傾向にある(参照)。また、事業承継税制については平成27年1月1日より親族外承継が認められており、今回、遺留分の民法特例についても親族外承継等を認めることとしたものだ。これにより、親族外の後継者についても、先代経営者の推定相続人との合意等を経て、遺留分法規の手続を単独で行うことが可能になる。

事業承継した場合の共済金を引上げ  今回の改正案では、小規模企業共済法も一部改正が予定されている。小規模企業者の事業承継の円滑化を図るため、個人事業者が親族内で事業承継した場合や65歳以上の会社役員が退任した場合の共済金が引き上げられる。例えば、個人事業主が配偶者と子に事業承継した場合の支給額については、廃業した場合と同等とする。仮に掛金4万円で20年間掛金を納付すれば改正後は1,115万円(現行は968万円)となる。
 なお、共済金については、引き続き退職所得控除及び公的年金等控除の対象となる。

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案の概要
<承継円滑化法>

 平成27年3月
 経済産業省

1.法律案の趣旨
 中小企業基本法等で掲げられた事業承継の円滑化を実現する施策を措置するため、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成20年法律第33号)」、「小規模企業共済法(昭和40年法律第102号)」、「独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年法律第147号)」の3法を改正する。
2.法律案の主な概要
(1)中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の一部改正
 ①遺留分特例制度の対象を親族外へ拡充
  対象が親族内承継に限定されている遺留分特例制度(※)について、親族外承継の際にも適用できるよう、制度を拡充する。
  (※)後継者が、経営者から贈与を受けた株式について、事前に後継者以外の親族と合意し、経済産業大臣の確認を受けることにより、遺留分放棄の法的確定に係る家庭裁判所の申請手続を単独で行うことが可能となる制度。
 ②独立行政法人中小企業基盤整備機構による事業承継サポート機能の強化
  独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」。)が、事業承継に係る計画的な取組を後押しするため、経営者、後継者等に対して必要な助言を行えるようにする。
(2)小規模企業共済法の一部改正
  個人事業者や会社等の役員が、廃業・退職後の生活の安定等を図るための資金として積み立てを行う小規模企業共済制度を見直す。(中小機構が実施)
 ①小規模企業者の事業承継の円滑化
  小規模企業者の事業承継の円滑化を図るため、個人事業者が親族内で事業承継した場合や65歳以上の会社役員が退任した場合の共済金を引き上げる。
 ②小規模企業の経営状況に応じた掛金の柔軟化
  小規模企業共済制度の利便性向上を図るため、掛金の変更を柔軟にする。
(3)独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部改正
 ①中小機構による事業承継サポート機能の強化(再掲)
 ②中小機構による「申込金」に係る金融機関への委託業務の廃止
  共済加入時の「申込金」を手続き面の簡素化の観点から廃止する。
3.施行期日
 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日

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