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解説記事2016年07月04日 【税制改正解説】 平成28年度における相続税法等の改正について(2016年7月4日号・№649)

税制改正解説
平成28年度における相続税法等の改正について
 國分真由美

Ⅰ 農地の納税猶予制度の見直し

1 改正前の制度の概要
(1)贈与税の納税猶予制度
 農業を営む個人が、その推定相続人のうちの1人に農地の全部及び採草放牧地の3分の2以上並びに準農地の3分の2以上の贈与をした場合には、この農地等に係る贈与税については、担保の提供を条件に贈与者の死亡等の日までその納税を猶予し、その日において猶予していた贈与税は免除することとされている(旧措法70の4① )。
 ただし、その死亡等の日までに納税猶予の適用を受ける農地等(特例適用農地等)について、譲渡、転用、地上権等の権利の設定等があった場合には、その日から2月を経過する日が納税猶予の期限とされ、納税猶予されている贈与税及び納税猶予期間に対応する利子税を納付しなければならない(旧措法70の4①一④ )。
 なお、贈与者が死亡した場合には、その贈与者の死亡による相続等に係る相続税については、その受贈者が贈与税の納税猶予を受けていた特例適用農地等は贈与者から相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となる(旧措法70の5①)。
(2)贈与税の納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例  上記(1)の適用を受ける受贈者が、贈与者の死亡の日前に特例適用農地等の全部又は一部について次に掲げる貸付け(特定貸付け)を行った場合において、その特定貸付けを行った日から2月以内に、特定貸付けを行っている旨の届出書が納税地の所轄税務署長に提出されたときは、その特定貸付けを行った農地又は採草放牧地の全部又は一部(特定貸付農地等という。)に係る地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権(賃借権等)の設定はなかったものと、農業経営は廃止していないものとして上記(1)の納税猶予の適用を継続することができる(旧措法70の4の2)。
① 賃借権等の設定による貸付けであって農地中間管理事業の推進に関する法律に規定する農地中間管理事業のために行われるもの 
② 賃借権等の設定による貸付けであって農業経営基盤強化促進法に規定する農地利用集積円滑化事業のために行われるもの 
③ 賃借権等の設定による貸付けであって農業経営基盤強化促進法に規定する農用地利用集積計画の定めるところにより行われるもの
 なお、この特例の適用を受ける受贈者は、次に掲げる区分に応じ、それぞれの要件を満たす必要がある。
① 上記①から③までに掲げる貸付けを行った日において65歳以上である受贈者 上記(1)の贈与に係る贈与税の申告書の提出期限からその貸付けを行った日までの期間(②において「適用期間」という。)が10年以上であること
② ①に掲げる受贈者以外の受贈者 適用期間が20年以上であること
(3)贈与税の納税猶予適用者が特例適用農地を農業生産法人に貸し付けた場合の特例
 ① 平成7年改正法附則
 平成7年3月31日以前に行われた特例適用農地等の贈与により贈与税の納税猶予制度の適用を受けている受贈者が、平成7年4月1日から平成14年3月31日までの間で、かつ、贈与者の死亡の日前に農地法第2条第3項に規定する農業生産法人で一定のもの(特定農業生産法人)に対し、特例適用農地等の全てにつき使用貸借による権利の設定をした場合において、当該設定をしたことについての届出書がその設定の日から2月を経過する日までに納税地の所轄税務署長に提出したときは、使用貸借による権利の設定はなかったものとして納税猶予の適用を継続することができる(旧平成7年改正法附則36③)。
 ② 平成17年改正法附則  平成17年3月31日以前に行われた特例適用農地等の贈与により贈与税の納税猶予制度の適用を受けている受贈者が、平成17年4月1日から平成23年6月30日までの間で、かつ、贈与者の死亡の日前に農地法第2条第3項に規定する農業生産法人で一定のもの(特定農業生産法人)に対し、特例適用農地等(借受代替農地を有している場合には、当該借受代替農地に係る貸付特例適用農地等を除く。)の全て及び借受代替農地の全部について使用貸借による権利の設定をした場合において、その設定をしたことについての届出書がその設定の日から2月を経過する日までに納税地の所轄税務署長に提出したときは、使用貸借による権利の設定はなかったものとして納税猶予の適用を継続することができる(旧平成17年改正法附則55③⑤)。
(4)相続税の納税猶予制度  農業相続人が農業を営んでいた被相続人から相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)により特例適用農地等を取得し、その農業相続人が農業を継続していく場合には、農地の価額のうち農業投資価格(恒久的に農業の用に供されるべき農地等として取引される場合に通常成立すると認められる価格)を超える部分に対応する相続税については、担保の提供を条件に納税猶予期限までその納税を猶予し、その農業相続人が死亡した場合等には、猶予税額の納付を免除することとされている(旧措法70の6① )。
 ただし、その死亡等の日までに特例適用農地等について、譲渡、転用、地上権等の権利の設定等があった場合には、その日から2月を経過する日が納税猶予の期限とされ、納税猶予されている相続税及び納税猶予期間に対応する利子税を納付しなければならない(旧措法70の6①一⑦ )。

2 改正の内容
(1)特例適用農地等について区分地上権が設定された場合
 納税猶予がストップする事由である特例適用農地等についての権利設定から、民法第269条の2第1項の地上権(区分地上権)の設定があった場合において受贈者等がその特例適用農地等を耕作又は養畜の用に供しているときにおけるその設定を除くこととされた(措法70の4①一、70の6①一、平成7年改正法附則36⑤一、平成17年改正法附則55④一⑥一)。
(2)贈与税の納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例の改正  この特例の特定貸付けのうち農地中間管理事業のための貸付け(上記1(2)①)については、耕作期間(納税猶予適用開始から10年(受贈者が65歳未満の場合は20年))の要件が撤廃された(措法70の4の2②)。
※ 農地利用集積円滑化事業のための貸付け(上記1(2)②)及び農用地利用集積計画による貸付け(上記1(2)③)については、耕作期間の要件は、引き続き適用される(措法70の4の2②)。
(3)贈与税の納税猶予制度の適用対象者の見直し  適用対象者の要件として、効率的かつ安定的な農業経営の基準として農林水産大臣が定めるものを満たす農業経営を行っていること(いわゆる「担い手」であること)が追加された(措令40の6⑥四、平成28年3月農林水産省告示897号)。
【参考】租税特別措置法施行令第40条の6第6項第4号の効率的かつ安定的な農業経営の基準として農林水産大臣が定めるものを定める件(平成28年3月農林水産省告示第897号)
    租税特別措置法施行令第40条の6第6項第4号の農林水産大臣が定める基準は、次のいずれかに該当することとする。
  一 農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)第12条第1項の規定による農業経営改善計画の認定(同法第13条第1項の規定による変更の認定を含む。)を受けていること。
  二 農業経営基盤強化促進法第14条の4第1項の規定による青年等就農計画の認定(同法第14条の5第1項の規定による変更の認定を含む。)を受けていること。
  三 農業経営基盤強化促進法第6条第1項に規定する基本構想に定められた同条第2項第2号に掲げる事項を満たしていること。
(4)農業生産法人の名称変更に伴う措置  農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律法律第63号)により、農地法の改正が行われ、農業生産法人の名称が農地所有適格法人と変更されたことに伴い、上記1(1)(3)の各制度における農業生産法人に係る措置について、農地所有適格法人に名称を変更する等の所要の整備が行われた(措令40の6⑪二、平成7年改正法附則36、平成17年改正法附則55)。

3 適用関係
(1)
上記2(1)の改正は、平成28年4月1日以後に民法第269条の2第1項の地上権の設定をする場合について適用され、同日前にその地上権を設定した場合については、従前どおり(改正法附則127⑥⑦⑩⑪、151、152)。
(2)上記2(2)の改正は、平成28年4月1日以後に特定貸付けを行う場合について適用され、同日前に特定貸付けを行った場合については、従前どおり(改正法附則127⑧)。
(3)上記2(3)の改正は、平成28年4月1日以後に贈与により取得する農地等に係る贈与税について適用され、同日前に贈与により取得した農地等に係る贈与税については、従前どおり(改正措令附則37①)。
(4)上記2(4)の改正は、平成28年4月1日以後に適用される(改正法附則1)。

Ⅱ 信託に関する調書の提出範囲の見直し

1 改正前の制度の概要
 国内に営業所等を有する信託の受託者は、次に掲げる事由が生じた場合には、その事由が生じた月の翌月末日までにその営業所等の所在地の所轄税務署長にその信託の受益者別又は委託者別の調書を提出しなければならない(相法59②)。
① 信託の効力が生じたこと
② 受益者等が変更されたこと
③ 信託が終了したこと
④ 信託に関する権利の内容に変更があったこと
 なお、この調書の提出は、信託財産の価額が50万円以下の信託、投資信託など一定の信託については不要とされている(旧相規30③)。
(注)一定の信託とは、以下の事由に該当するものをいう。
① 受託者の引き受けた信託について受益者別に当該信託の価額が50万円以下であること
② 受託者の引き受けた信託が投資信託であること 
③ 受託者の引き受けた貸付信託の受益権が当該貸付信託の無記名式の受益証券に係るものであること
④ 受託者の引き受けた受益証券発行信託の受益権が当該受益証券発行信託の無記名式の受益証券に係るものであること
⑤ 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める事由に該当すること
 イ 信託の効力が生じた場合 受託者の引き受けた信託が次に掲げるものであること
(イ)特定障害者扶養信託契約に基づく信託
(ロ)教育資金管理契約に基づく信託
(ハ)結婚・子育て資金管理契約に基づく信託
(ニ)委託者と受益者等とが同一である信託
 ロ 受益者等が変更された場合 次に掲げる事由
(イ)受益者等の変更が所得税法に規定する信託受益権の譲渡によるものであることから、当該信託の受託者が同法に規定する調書を提出することとなること
(ロ)受託者の引き受けた信託が顧客分別金信託等であること
(ハ)受益者等の変更が次に掲げる事由により生じたこと
 (i)受益者等の合併又は分割があったこと
 (ii)定型的信託契約に基づく信託の受益権について買取りの請求があったことにより当該信託の受託者が当該受益権を買い取ったこと
 (iii)貸付信託の受託者が当該貸付信託の受益証券を買い取ったこと
 ハ 信託が終了した場合 次に掲げる事由
(イ)受託者の引き受けた信託が教育資金管理契約に基づく信託であること
(ロ)受託者の引き受けた信託が結婚・子育て資金管理契約に基づく信託であること
(ハ)受託者の引き受けた信託が顧客分別金信託等であること
(ニ)信託の終了直前の受益者等が当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当する当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となったこと
(ホ)受託者の引き受けた信託の残余財産がないこと
(ヘ)受託者の引き受けた貸付信託又は合同運用信託の残余財産が当該受託者に帰属したこと
 ニ 信託に関する権利に変更があった場合 次に掲げる事由
(イ)受益者等が一の者であること
(ロ)受益者等がそれぞれ有する当該信託に関する権利の価額に変動がないこと

2 改正の内容  受託者が引き受けた信託が、日本版ESOP信託(受益者が取得する金銭、株式等が給与所得又は退職所得に該当するものに限る。)である場合には、信託の受益者別調書の提出は、不要とされた(相規30③五ロ(3)(4)、ハ(4))。
※ 日本版ESOP信託は、「従業員持株会型」と「株式付与型」に分けられ、それぞれ次のとおり。
① 「従業員持株会型」 受託者が銀行から借入れをし、委託者(発行会社)の株式を発行会社、市場等から一括して取得し、定期的にその株式を持株会に順次売却する。信託終了時に、受託者に蓄積された株式売却益が、受益者たる従業員に分配される。
② 「株式付与型」 委託者は金銭を信託し、受託者はそれを原資として市場等から株式を取得する。受託者は、予め定められた株式給付規程に基づき、一定の要件を満たした従業員に対し、保有する株式を交付する。

3 適用関係  上記2の改正は、平成28年4月1日以後に受益者等の変更又は信託の終了があった場合について適用される(改正相規附則5)。

Ⅲ 結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の資金使途の明確化

1 改正前の制度の概要
(1)概 要
 平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、個人(結婚・子育て資金管理契約を締結する日において20歳以上50歳未満の者に限る。)が、その直系尊属と受託者との間の結婚・子育て資金管理契約に基づき信託の受益権(以下「信託受益権」という。)を取得した場合、その直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を結婚・子育て資金管理契約に基づき銀行等の営業所、事務所その他これらに準ずるもので日本国内にあるもの(以下「営業所等」という。)において預金若しくは貯金として預入をした場合又は結婚・子育て資金管理契約に基づきその直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭若しくは公社債投資信託のうち一定のもの(以下「金銭等」という。)で金融商品取引業者の営業所等において有価証券を購入した場合には、その信託受益権、金銭又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額(既に本特例の適用を受けて贈与税の課税価格に算入しなかった金額がある場合には、その算入しなかった金額を控除した残額)に相当する部分の価額については、贈与税の課税価格に算入しないこととされている(措法70の2の3①)。
(2)結婚・子育て資金の範囲
 ① 結婚関係費用
 イ 婚礼(結婚披露を含む。)のために要する費用で、施設の提供、衣服の貸与、贈答品の販売等の対価として支払われる金銭であって、婚礼事業を行う事業者に支払われるもの(措令40の4の4⑥一、平成27年3月内閣府告示第48号第1項)
 ロ 受贈者の婚姻の日の1年前の日から婚姻の日以後1年を経過する日までの期間に締結をされた家屋の賃貸借契約に基づき、その締結の日以後3年を経過する日までに支払われる家賃等(措令40の4の4⑥二、平成27年3月内閣府告示第48号第2項)
 ハ 受贈者が、本人及びその配偶者の居住の用に供するための家屋への転居のための費用であって、運送業を営む者に支払われるもの(措令40の4の4⑥三、平成27年3月内閣府告示第48号第3項)
 ② 子育て関係費用  イ 受贈者又はその配偶者の不妊治療のために要する費用又は妊娠中に要する費用で次のもの(措令40の4の4⑦一、旧平成27年3月内閣府告示第48号第4項)
  ⅰ 人工授精その他不妊治療に要する費用であって、病院又は診療所に支払われるもの
  ⅱ 母子保健法第13条第1項の規定による妊婦に対する健康診査に要する費用であって、病院、診療所又は助産所に支払われるもの
 ロ 受贈者又はその配偶者の出産の日以後1年を経過する日までに支払われるその出産に係る分べん費その他これに類する費用で次のもの(措令40の4の4⑦二、旧平成27年3月内閣府告示第48号第5項)
  ⅰ 分べん費、入院費、検査・薬剤料及び処置・手当料その他出産のための入院から退院までの間に要する費用であって、病院、診療所、助産所又は地方公共団体に支払われるもの
  ⅱ 母子の心身の健康保持又は子育て支援のための宿泊施設の提供、相談、指導及び助言その他の便益の提供(以下「産後ケア」という。)の対価として支払われる金銭であって、産後ケアを行う病院、診療所、助産所又は地方公共団体(当該地方公共団体から委託を受けて産後ケアを行う者を含む。)に支払われるもの(6泊分又は7回分に相当する金額を限度とする。)
 ハ 受贈者の小学校への就学前の子(以下「子」という。)の医療のために要する費用で治療、予防接種、母子保健法の規定による乳幼児に対する健康診査又は医薬品(処方箋に基づき調剤されたものに限る。)の対価として支払われる金銭であって、病院、診療所、助産所又は薬局に支払われるもの(措令40の4の4⑦三、平成27年3月内閣府告示第48号第6項)
 ニ 幼稚園、保育所その他これらに類する施設を設置する者に支払う子に係る保育料等(措令40の4の4⑦四、平成27年3月内閣府告示第48号第7項)

2 改正の内容  次の費用はこの特例の対象となることが明確化された(平成28年3月内閣府告示118号)。
(1)不妊治療又は妊娠に係る費用(上記1(2)②  不妊治療に係る医薬品(処方箋に基づき調剤されたものに限る。以下2において同じ。)に要する費用及び妊娠に基因する疾患の治療に要する費用(医薬品に要する費用を含む。)並びに支払先として薬局が明記された。
(2)出産に係る費用(上記1(2)②  出産に基因する疾患の治療に要する費用(医薬品に要する費用を含む。)及び産後の健康診査に要する費用並びに支払先として薬局が明記された。

3 適用関係  上記2の改正は、平成28年4月1日以後に上記2(1)又は(2)の支払をする場合に適用される(平成28年3月内閣府告示118号)。

Ⅳ 贈与税の配偶者控除の添付書類の見直し

1 改正前の制度の概要
 婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与により居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の取得をした者が、その贈与の翌年3月15日までに居住用不動産を居住の用に供し、引き続き居住の用に供する見込みである場合又は同日までに居住用不動産を取得して居住の用に供し、引き続き居住の用に供する見込みであるには、贈与税の課税価格から最高2,000万円まで控除することができる(相法21の6)。
 なお、この特例の適用を受けるためには、申告書又は更正請求書に、以下の書類を添付しなければならない(旧相規9)。
① 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
② 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
③ 居住用不動産の登記事項証明書
(注)この特例は、同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができない。

2 改正の内容
(1)贈与税の配偶者控除の適用を受けるための添付書類
 上記1③の居住用不動産の登記事項証明書が、所有権の移転登記後の登記事項証明書や贈与契約書等、その居住用不動産を取得したことを証する書類に改められた(相規9二)。
(2)居住用不動産等の贈与が贈与者の死亡と同年中にあった場合の相続税の添付書類  (1)の見直しにあわせて、この添付書類についても同様の改正が行われた(相規1の5②)。

3 適用関係  上記2(1)の改正は、平成28年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用され、同日前に贈与により取得した財産に係る贈与税については、従前どおり(改正相規附則2②)。
 上記2(2)の改正は、平成28年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用され、同日前に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税については、従前どおり(改正相規附則2①)。

Ⅴ 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の見直しに伴う所要の措置

1 改正前の制度の概要
(1)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予の適用を受けた者に係る相続税・贈与税の納税義務
 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例又は贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の規定により所得税を課税された後、国外転出をした者又は贈与者若しくは相続人が所得税の納税猶予を適用した場合には、納税猶予期間中に納税猶予を適用している者等が死亡した場合の相続税の納税義務の判定に際しては、次のとおりとされている(旧相法1の3②)。
① 国外転出をしたことにより一定の株式等の特定の資産(以下「対象資産」という。)の含み益に対して所得税が課され、所得税法第137条の2第1項の納税猶予の適用を受け、さらに同条第2項の規定により納税猶予期間を10年に延長している個人が死亡した場合には、その個人は、相続税の納税義務の判定にあたっては、その死亡に係る相続の開始前5年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたものとみなされる。
② 非居住者に対象資産を贈与したことにより所得税が課され、所得税法第137条の3第1項(同条第3項の規定により納税猶予期間を10年に延長している場合を含む。)の納税猶予の適用を受けている者(②において「贈与者」という。)から当該贈与により財産を取得した者(②において「受贈者」という。)が死亡した場合には、その受贈者は、相続税の納税義務の判定にあたっては、その受贈者の死亡に係る相続の開始前5年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたものとみなされる。ただし、その受贈者が、所得税の課税に係る贈与の前5年以内のいずれの時においても日本国内に住所を有していたことがない場合には、この規定の適用はない。
③ 居住者(③において「被相続人」という。)が死亡し対象資産を相続(③において「一次相続」という。)した非居住者(③において「一次相続人」という。)が、被相続人に課された所得税について所得税法第137条の3第2項(同条第3項の規定により納税猶予期間を10年に延長している場合を含む。)の納税猶予の適用を受けていた場合において、その一次相続人が死亡(③において「二次相続」という。)をしたときは、その一次相続人は、二次相続に係る相続税の納税義務の判定にあたっては、二次相続の開始前5年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたものとみなされる。ただし、その一次相続人が一次相続の開始前5年以内のいずれの時においても日本国内に住所を有していたことがない場合には、この規定の適用はない。
(注)贈与税の納税義務の判定についても相続税と同様の仕組みとなっている(旧相法1の4②)。
(2)更正及び決定の特則  相続税及び贈与税は、申告納税方式により税額が確定することとなっているが、その申告がない場合やその申告の内容が法律の規定に従っていない場合には、国税通則法の規定により、課税庁は更正又は決定をすることとされている。この国税通則法の一般的な規定に対する特例として、相続税法では、次のとおり、相続税又は贈与税特有の事由のための更正又は決定の規定が置かれている(旧相法35)。
① 相続財産法人から財産の分与を受けた者に対する更正
② 申告書の提出期限前の更正又は決定
③ 相続税法の更正の請求の特則に基づき更正があった場合の更正又は決定
④ 新たに贈与税の申告書を提出すべき要件に該当することとなった場合の更正又は決定

2 改正の内容
(1)納税猶予期限の満了に係る納期限の見直しに伴う相続税・贈与税の納税義務の改正
 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等については、今般の改正において、その適用がある場合の納税猶予に係る期限の満了に伴う納期限が、国外転出の日から満了基準日(その国外転出の日から5年を経過する日又は帰国等の場合に該当することとなった日のいずれか早い日をいう。)の翌日以後4月を経過する日とされたことに併せて、上記1(1)①は、上記1(1)②③と同様に納税猶予の適用を受ける個人に改められた(相法1の3②一)。
 なお、贈与税についてもこれと同様に、贈与者について、納税猶予期間の延長を受ける個人から納税猶予の適用を受ける個人に改められている(相法1の4②一)。
(2)贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用を受けた後に遺産分割等の事由が生じた場合等の相続税の更正又は決定の特則  国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等については、所得税の確定申告時には遺産が未分割であり、その後遺産分割が行われた場合等には、非居住者が対象財産を相続するか否かにより所得税額に増減が生じる場合があるため、その調整(期限後申告書若しくは修正申告書若しくは更正請求書の提出又は更正若しくは決定)をすることとされた。
 これに併せて、相続税法においても、税務署長は、次に掲げる事由によりイ若しくはハの申告書を提出した者若しくはロの決定若しくはニ若しくはホの更正を受けた者又はこれらの者の被相続人から相続若しくは遺贈により財産を取得した他の者(当該被相続人から相続時精算課税の適用を受ける財産を贈与により取得した者を含む。)の相続税の課税価格又は相続税額が過大又は過少となった場合には、これらの者に係る相続税の課税価格又は相続税額の更正又は決定をすることとされた。ただし、次に掲げる事由が生じた日から1年を経過した日と国税通則法第70条の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りではない(相法35④)。
イ 所得税法第151条の5第1項から第3項まで(遺産分割等があった場合の期限後申告等の特例)(これらの規定を同法第166条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出があったこと
ロ 所得税法第151条の5第4項の規定による決定があったこと
ハ 所得税法第151条の6第1項(遺産分割等があった場合の修正申告の特例)(同法第166条において準用する場合を含む。)の規定による修正申告書の提出があったこと
ニ 所得税法第151条の6第2項の規定による更正があったこと
ホ 所得税法第153条の5(遺産分割等があった場合の更正の請求の特例)(同法第167条(更正の請求の特例)において準用する場合を含む。)の規定による更正の請求に基づく更正があったこと

3 適用関係  上記2(2)の改正は、平成28年1月1日以後に遺産分割等の事由が生じた場合について適用される(改正法附則31①)。

Ⅵ 国税通則法の改正に伴う所要の措置

1 改正前の制度の概要
(1)義務的修正申告書の提出
 修正申告書の提出を義務付けている相続税・贈与税の特例は、次のとおり。
① 特別縁故者に対して相続財産の分与があった場合の修正申告書の提出
② 在外財産等の価額が算定可能となった場合の修正申告書の提出
③ 相続財産の寄附(贈与)を受けた公益法人等がその財産を公益目的に使用していない場合の修正申告書の提出
④ 住宅取得等資金の贈与を受けた者がその贈与の翌年12月31日までに新築等をした住宅用家屋に居住しなかった場合の修正申告書の提出
(2)義務的修正申告書に係る国税通則法の適用  上記(1)①からまでの義務的修正申告書の提出があった場合の国税通則法の規定の適用は次のとおり。
① 上記(1)①からまでの提出期限(義務的修正期限)内に提出された義務的修正申告書については、期限内申告書とみなす。
② 義務的修正期限後に提出された義務的修正申告書については、国税通則法に規定する法定申告期限及び法定納期限については、これらを義務的修正期限に読み替えて適用すること等とされている。
③ 国税通則法第61条第1項第2号及び第66条の規定は、適用されない。

2 改正の内容
(1)国税通則法の改正
 申告をした後に減額更正がされ、その後更に増額更正又は修正申告(増額更正等)があった場合における延滞税等について、次の見直しが行われた。
① 増額更正等により納付すべき税額(その申告税額に達するまでの部分に限る。②において同じ。)について、その申告により納付すべき税額の納付日の翌日から当該増額更正等までの間(減額更正が更正の請求に基づくものである場合には、その減額更正がされた日から1年を経過する日までの期間を除く。)は、延滞税は課されない。
② 増額更正等により納付すべき税額(減額更正が更正の請求に基づくものである場合を除く。)については、過少申告加算税を課さないことが明確化された。
(2)国税通則法の改正に伴う義務的修正申告書に係る延滞税等の改正  上記(1)の国税通則法の改正に伴い、義務的修正申告書の提出により納付すべき相続税又は贈与税に係る延滞税等については、次のとおりとされた(相法50②二、措法69の3④二、70の2⑥二、70の3⑥二、震災税特法38の2⑧二)。
① 義務的修正申告をした後に減額更正がされ、その後更に義務的修正申告(再義務的修正申告)があった場合には、再義務的修正申告により納付すべき税額(当初の義務的修正申告書に係る税額に達するまでの部分に限る。②において同じ。)について、当初の義務的修正申告により納付すべき税額の納付日の翌日から再義務的修正申告までの間(減額更正が更正の請求に基づくものである場合には、その減額更正がされた日から1年を経過する日までの期間を除く。)は、延滞税は課されない。
② 再義務的修正申告により納付すべき税額(減額更正が更正の請求に基づくものである場合を除く。)については、過少申告加算税は、課されない。

3 適用関係  上記2の改正は、平成29年1月1日以後に義務的修正期限が到来する相続税又は贈与税について適用される(改正法附則31②、127①~④、149)。

Ⅶ 被災関連市町村から特定の交換により土地を取得した場合の所有権の移転登記の免税措置の創設

1 制度の内容
 復興整備事業(集団移転促進事業(復興交付金事業計画に記載されているものに限る。)によりその復興整備計画を作成した被災関連市町村が取得した移転促進区域内の土地の利用に係るものに限る。)の実施区域(東日本大震災復興特別区域法の届出対象区域として指定された区域に限る。)内の土地に関する権利を有する者が、平成28年4月1日から平成33年3月31日までの間にその復興整備事業の用に供するためその土地に関する権利をその被災関連市町村に対し交換により譲渡し、かつ、その交換によりその被災関連市町村の有する実施区域外の土地の所有権の取得をした場合には、その土地の所有権の移転の登記については、その取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さないこととされた。
 なお、この特例の適用を受けようとする者は、その登記の申請書に、被災関連市町村の長の証明書で、その者が被災関連市町村に対し交換により譲渡した土地に関する権利が復興整備事業の実施区域内に所在すること、その土地に関する権利がその復興整備事業の用に供されるものであること、その登記に係る土地の所有権が実施区域外に所在すること及びその者がその土地の所有権を取得した日の記載があるものを添付しなければならない。

2 適用関係  平成28年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

Ⅷ 認定事業再編計画等に基づき行う登記の税率の軽減措置の改正

1 改正前の制度の概要
(1)認定事業再編計画、認定特定事業再編計画又は認定中小企業承継事業再生計画に係る特例
 次に掲げる事項について登記を受ける場合において、その事項が、産業競争力強化法に規定する認定事業再編計画に係る認定、認定特定事業再編計画に係る認定又は認定中小企業承継事業再生計画に係る認定に係るものであって産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成28年3月31日までの間にされたこれらの認定に係るものであるときは、その登記に係る登録免許税の税率は、これらの認定の日から1年以内に登記を受けるものに限り、次に掲げる事項の区分に応じ、それぞれ次に定める割合とされていた(旧措法80①)。
① 株式会社の設立又は資本金の額の増加(これらの認定により増加した資本金の額のうち3,000億円を超える部分並びに②及び③に掲げるものを除く。) 1,000分の3.5
② 合併による株式会社の設立又は資本金の額の増加 イ又はロに掲げる部分の区分に応じイ又はロに定める割合
 イ 資本金の額又は合併により増加した資本金の額のうち、合併により消滅した会社のその合併の直前における資本金の額に達するまでの部分 1,000分の1
 ロ イに掲げる部分以外の部分(これらの認定により増加した資本金の額のうち3,000億円を超える部分を除く。) 1,000分の3.5
③ 分割による株式会社の設立又は資本金の額の増加(これらの認定により増加した資本金の額のうち3,000億円を超える部分を除く。) 1,000分の5
④ 法人の設立、資本金若しくは出資金の額の増加又は事業に必要な資産の譲受けの場合における不動産又は船舶の所有権の取得(⑤及び⑥に掲げるものを除く。) イ又はロに掲げる事項の区分に応じイ又はロに定める割合
 イ 不動産の所有権の取得 1,000分の16
 ロ 船舶の所有権の取得 1,000分の23
⑤ 合併による法人の設立又は資本金若しくは出資金の額の増加の場合における不動産又は船舶の所有権の取得 イ又はロに掲げる事項の区分に応じイ又はロに定める割合
 イ 不動産の所有権の取得 1,000分の2
 ロ 船舶の所有権の取得 1,000分の3
⑥ 分割による法人の設立又は資本金若しくは出資金の額の増加の場合における不動産又は船舶の所有権の取得 イ又はロに掲げる事項の区分に応じイ又はロに定める割合
 イ 不動産の所有権の取得 1,000分の4
 ロ 船舶の所有権の取得 1,000分の23
(2) 認定創業支援事業計画に係る特例  個人が、産業競争力強化法に規定する認定創業支援事業計画の認定を受けた市区町村の区域内において、その認定創業支援事業計画に記載された特定創業支援事業による支援を受けて株式会社の設立をした場合には、その株式会社の設立の登記に係る登録免許税の額は、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成28年3月31日までの間に登記を受けるものに限り、その株式会社の資本金の額に1,000分の3.5を乗じて計算した金額(その金額が75,000円に満たない場合には、75,000円)とされていた(旧措法80②)。

2 改正の内容
(1)認定事業再編計画、認定特定事業再編計画又は認定中小企業承継事業再生計画に係る特例
 認定中小企業承継事業再生計画に係る特例については、適用期限の到来をもって廃止された(措法80①)。
 なお、認定事業再編計画及び認定特定事業再編計画に係る特例については、その適用期限が平成30年3月31日まで2年間延長されている(措法80①)。
(2)認定創業支援事業計画に係る特例  以下の措置が講じられた上、その適用期限が平成30年3月31日まで2年間延長された(措法80②)。
 ① 対象となる会社の追加  次に掲げる会社の設立の登記が加えられ、その登記に対する登録免許税の税率をそれぞれ次のとおり軽減することとされた(措法80②)。
 イ 合名会社又は合資会社 申請件数1件につき3万円(本則6万円)
 ロ 合同会社 1,000分の3.5(最低税額3万円)(本則1,000分の7(最低税額6万円))
 ② 適用対象者の範囲の拡大  適用対象者に、事業を開始した日以後5年を経過していない個人が追加された(経済産業省関係産業競争力強化法施行規則8)。

3 適用関係  上記2(1)の改正は、平成28年4月1日以後に受ける認定に係る登記に対する登録免許税について適用され、同日前に受けた認定に係る登記に対する登録免許税については、従前どおり(改正法附則128①)。
 上記2(2)の改正は、平成28年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

Ⅸ 国際船舶の所有権の保存登記等の税率の軽減措置の改正

1 改正前の制度の概要
 海上運送業を営む一定の者が、平成18年4月1日から平成24年3月31日までの間に受ける次に掲げる登記に係る登録免許税の税率については、同日までに登記を受けるものに限り、1,000分の3.5(本則1,000分の4)に軽減されていた(旧措法82の2①②)。
(1)国際船舶で事業の用に供されたことのないものを建造した場合若しくは外国法人から国際船舶で建造された日から5年を経過していないものを取得した場合に受ける所有権の保存登記
(2)上記(1)の国際船舶の建造若しくは取得のための資金の貸付け若しくはその建造の対価の延払いに係る債権を担保するために受けるこれらの国際船舶を目的とする抵当権の設定登記

2 改正の内容  適用対象となる国際船舶について、以下の見直しが行われた上、その適用期限が平成30年3月31日まで2年延長された(措法82の2①)。
(1)船舶の規模の見直し  本特例の適用対象となる国際船舶の総トン数が、1万トン以上(現行2,000トン以上)とされた(措令43②)。
(2)フラッグバック船(外国籍から日本籍に変更する船舶)の要件の見直し  建造後5年未満の船舶とする要件を廃止し、運航面等で競争力のある船舶(寄港国検査(ポートステートコントロール)による拘留実績のない船舶)に限ることとされた(措令43③、平成28年国土交通省告示603号)。

3 適用関係  上記2の改正は、平成28年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

Ⅹ 株式会社商工組合中央金庫が受ける抵当権の設定登記等の税率の特例に係る適用期間の延長の特例の改正

1 改正前の制度の概要
 この特例は、以下の商工組合中央金庫の抵当権等に対する登録免許税の税率の軽減措置の廃止に伴う経過措置について、東日本大震災後の商工中金の完全民営化(政府保有株式の全部売却)の実施時期の延期といった状況等も踏まえ、被災中小企業に対するものに限り、その適用期限について3年間延長するものであった(旧震災税特法41の4)。
(1)平成20年10月1日から平成25年3月31日までの間に受ける次に掲げる財産の抵当権の設定の登記又は登
 ① 不動産等 1,000分の2(本則:1,000分の4)
 ② 上記以外 1,000分の1.5(本則:1,000分の3又は1,000分の2.5)
(2)平成25年4月1日から平成27年9月30日までの間に受ける次に掲げる財産の抵当権の設定の登記又は登録  ① 不動産等 1,000分の3(本則:1,000分の4)
 ② 機械等 1,000分の2.5(本則:1,000分の3)
 ③ 財団 1,000分の2(本則:1,000分の2.5)

2 改正の内容  上記1(1)の適用期限を平成31年3月31日まで3年延長し、上記1(2)の適用期限を平成33年3月31日まで2年6ヶ月延長することとされた(震災税特法41の4)。

3 適用関係  上記2の改正は、平成28年4月1日以後に受ける登記等に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

XI 租税特別措置等の適用期限の延長

(1)
次に掲げる租税特別措置等の適用期限が平成30年3月31日まで2年延長された。
 ① 特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減措置(措法74)
 ② 認定低炭素住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減措置(措法74の2)
 ③ 特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減措置(措法74の3)
 ④ マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等の免税措置(措法76)
 ⑤ 農地中間管理機構が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減措置(措法77の2)
 ⑥ 預金保険法に規定する第1号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定に基づく預金保険機構による金融機関の株式の引受け等に係る資本金の額の増加の登記等の税率の軽減措置(措法80③)
 ⑦ 認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等の税率の軽減措置(措法81)
 ⑧ 東日本大震災により被災した鉄道事業者が取得した鉄道施設に係る土地の所有権の保存登記等の免税措置(震災税特法40の3)
 ⑨ 独立行政法人中小企業基盤整備機構が建築した仮設建築物に係る所有権の保存登記の免税(震災税特法40の4)
(2)経営強化計画に基づき行う登記の税率の軽減措置の適用期限が平成29年3月31日まで1年延長された(措法80の2)。
(3)特定の社債的受益権に係る特定目的信託の終了に伴い信託財産を買い戻した場合の所有権の移転登記等の免税措置の適用期限が平成31年3月31日まで3年延長された(措法83の4)。
(4)鉄道事業者が取得した特定の鉄道施設に係る土地等の所有権の移転登記等の免税措置の適用期限が平成35年3月31日まで7年延長された(措法84の2)。

XII 租税特別措置等の廃止
 次に掲げる租税特別措置等は、適用期限の到来をもって廃止された。
① 特定空港運営事業に係る公共施設等運営権の設定登録の税率の軽減措置(旧措法82①)
② 信託会社等が地方公共団体との信託契約に基づき建築する特定施設に係る土地等の所有権の信託登記の免税措置(旧震災税特法40の5)

ⅩⅢ 市街地再開発事業の施行に必要な登記に係る登録免許税の非課税措置の拡充

1 改正前の制度の概要
 都市再開発法に規定する市街地再開発事業の施行のために必要な土地及び建物に関する登記については、事業の公共性及び権利変換等により従前の権利が原則として等価で新しい再開発ビルの床(権利床)に置き換えられるといったその事業手法の特殊性に鑑み、登録免許税は非課税とされている(登法5七)。
 ただし、市街地再開発組合の参加組合員又は特定事業参加者が取得する施設建築物又は施設建築敷地に関する権利に係る登記及び市街地再開発事業者の施行者が行う施設建築物又は施設建築敷地に関する権利の処分に係る登記については、従前の権利が権利床に変換されるといった事情にないことから、登録免許税は課税される(旧登令4一)。

2 改正の内容  都市再開発法に規定する市街地再開発事業の施行のために必要な土地及び建物に関する登記の登録免許税の非課税措置の適用対象に、従前の権利の個別利用区へ権利変換に係る登記が追加された。
 あわせて、市街地再開発事業者の施行者が行う個別利用区内の宅地に関する権利の処分に係る登記については、登録免許税の課税対象となるよう規定の整備が行われた(登令4一)。

3 適用関係  上記2の改正は、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律の施行の日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律附則1)。

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