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解説記事2017年02月06日 【ニュース特集】 平成30年4月から査察調査が変わる!(2017年2月6日号・№677)

ニュース特集
プロバイダに電子メールの保存要請も
平成30年4月から査察調査が変わる!

 平成29年度税制改正では、国税犯則調査手続が見直されることになる。ICT(Information and Communication Technology)化対応のため平成23年に刑事訴訟法において措置された電磁的記録の証拠収集手続を国税犯則調査手続にも導入する。例えば、パソコン等の差押えに代えてデータをCD-R等に複写等することによる差し押さえなどが可能になる。平成30年4月1日から施行される。なお、国税犯則調査手続の規定は現代語化を図った上、国税通則法に編入されることになる。これに伴い、国税犯則取締法は廃止となる。

01 サーバのメールやクラウド保管の電子ファイルの差押えが可能に
 国税犯則調査とは、国税についての犯則が疑われる場合に国税職員が実施する調査のこと。担当の国税職員は、通常の税務調査とは異なる権限に基づき証拠を発見・収集し、刑事責任を追及すべき案件と判断した場合には検察官への告発を行うことになる。国税局査察部が所得税や法人税の脱税等に対して行う査察調査がこれに該当する。
 この国税犯則調査だが、昨今のICT化などにより、現行の国税犯則取締法では対応できない事態も生じている。例えば、パソコン上の電子メールがすべて削除されており、外部プロバイダのサーバ上のみに残されているようなケースだ。パソコンの差押えは可能だが、ウェブメールの証拠収集は不可能。外部プロバイダのサーバを差し押さえることは可能ではあるものの、新たに裁判所からの許可状が必要になるため、その間にウェブメールが削除されれば、犯意の立証が困難になる。また、脱税の証拠となる書類が破棄され、電子ファイルのみがクラウド事業者の提供するサーバ上に保管されているようなケースについても同様だ。パソコンは差押え可能だが、サーバ上のデータは差押許可状の対象外であるため、犯則金額の確定ができない。
30日間のメール等の保全要請が可能に  このため、平成29年度税制改正では、平成23年に刑事訴訟法において措置された電磁的記録の証拠収集手続と同様の整備が行われる。具体的には、パソコンの差押えに代えて、データをCD-R等に複写した上で差押えを可能にしたり、外部プロバイダのサーバに保存されているデータをパソコンに複写した上で差し押さえることができるようにする(図表1参照)。

 また、外部プロバイダ等に対し、送信元、送信先、通信日時など、通信履歴の電磁的記録を削除しないよう、30日(特に必要な場合は60日)を超えない期間で保全要請することを可能にする。

02 強制調査の夜間執行が可能
 関税法に定める犯則調査手続にならった調査手続等の整備も行われる。現行、犯則嫌疑者等が置き去った物件(遺留物)については、検査・領置(取得)することができないとされている。例えば、犯則嫌疑者等が捜索中に許可状の効力の及ばない公道などの場所に物件を投げ捨てた場合などだ。このため、遺留物についても検査・領置の対象とするように改正される(図表2参照)。

 また、強制調査の夜間執行を可能にする。現行、日没から日の出までの間は強制調査の手続を開始することができないため、強制調査に着手した際に未把握の事務所などを把握し、当日中に捜索を実施するため裁判官から新たに許可状を受けても、執行が日没に間に合わなければ翌日の日の出まで待機しなければならない。このため、これまでは待機中に証拠隠滅を図られてしまうといった事態が生じていた。
 そのほか、犯則事件を調査するために必要があるときは、所属する国税局又は税務署の管轄区域外においても職務を執行できるようにする。現行は、事前に国税庁長官等から管轄区域外職務執行命令を受ける必要があるが、複数の国税局の管轄区域にまたがる広域的な事案が増えていることが背景にある。

03 酒税や揮発油税等は重加算税の対象に
 間接国税に係る犯則調査手続も見直される。酒税、揮発油税などの申告納税方式の間接国税については、通告処分の対象から除外し、仮装隠蔽に基づく過少申告・無申告に対する重加算税の対象とするとともに質問検査の対象に取引先が加えられる(図表3参照)。

 通告処分とは、犯則事件の調査によって犯則の心証を得たときに、国税局長又は税務署長が罰金又は科料に相当する金額並びに没収品に該当する物品等を納付すべきことを犯則者に通知する処分のこと。履行するかどうかは犯則者の任意であるが、通告を履行しない場合には、告発され刑事訴追を受けることになる。もともとは酒税法違反などの間接国税の犯則事件の発生件数が多く、これらを効果的に処理するために設けられたものだが、昨今では、通告処分の発生件数が減少しているなど環境が大きく変化していることなどを背景に見直されることになった。
 なお、間接国税に係る犯則調査手続の見直しは平成30年4月1日以後にした違反行為について適用される。

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