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解説記事2017年10月23日 【第2特集】 Q&Aから見る空き家特例のポイント(2017年10月23日号・№712)

第2特集
譲渡の日前2年以内の耐震証明が必要
Q&Aから見る空き家特例のポイント

 相続により発生する空き家対策として、平成28年度税制改正で創設された空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度は、家屋を相続した相続人が家屋又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、その譲渡所得から3,000万円を特別控除するもの。耐震リフォーム、あるいは更地にする必要があるなどの適用までの要件は高いが、自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除などと併用が可能であるなど、メリットは大きい。
 本特集では、課税当局が譲渡所得の審理上の留意点として取り上げている「空き家特例の添付書類である耐震基準適合証明書等の適用時期について」及び「共有者とともに譲渡した場合における空き家特例の譲渡価額の要件」の2つのQ&Aを紹介する。

空き家特例の添付書類である耐震基準適合証明書等の適用時期について
Q
 甲は、父(以下「本件被相続人」という。)から平成28年4月、本件被相続人が1人で居住していたA家屋及びその敷地を相続により取得した。
 甲は、平成29年4月1日、A家屋及びその敷地を譲渡したことから、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第3項に規定する被相続人の居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例(以下「空き家特例」という。)を適用したいと考えているところ、A家屋が、譲渡の時において耐震基準を満たしていたことを証明する書類として、本件被相続人が平成24年に取得した「耐震基準適合証明書」(平成23年6月16日に証明のための調査が終了したもの)を添付する予定であるが、この場合、甲は空き家特例を適用することはできるか。
 なお、他の空き家特例の適用要件は全て満たしており、他の添付書類もそろっている。
A
甲は、空き家特例を適用することはできません。
理由
1 空き家特例の適用要件
 租税特別措置法第35条第3項は、相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に、当該家屋及び当該敷地等について一定の要件を満たす譲渡をした場合には、同条第1項に規定する居住用財産を譲渡したものとみなして、譲渡所得金額から3,000万円を限度として控除する旨規定しています。
 上記「一定の要件」には、当該譲渡の時において、建築基準法施行令第3章及び第5章の4の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることが掲げられています(措法35③一ロ、措令23⑤)。
 また、租税特別措置法第35条第11項及び租税特別措置法施行規則第18条の2《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第2項第2号イ(4)は、空き家特例の適用を受けようとする年分の確定申告書に、空き家特例を適用する被相続人居住用家屋が、国土交通大臣が財務大臣と協議して定める租税特別措置法第35条第3項第1号ロに規定する地震に対する安全性に係る規定又は基準に適合する家屋である旨を証する書類である耐震基準適合証明書の添付がある場合に限り、空き家特例を適用することができる旨規定しています。
 そして、この耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写しは、被相続人居住用家屋の譲渡の日前2年以内に当該証明のための家屋の調査が終了したもの又は評価されたものに限られる旨規定しています(平成21年6月26日号外国土交通省告示第685号)。
2 当てはめ  空き家特例の適用に当たり、確定申告書に添付する耐震基準適合証明書は、被相続人居住用家屋の譲渡の日前2年以内に当該証明のための家屋の調査が終了したものに限られるところ、本件被相続人が取得した耐震基準適合証明書は、平成23年中に証明のための調査が終了したものですので、譲渡した日である平成29年4月1日から2年以内に証明のための調査が終了したものには当たらないことになります。
 したがって、甲は、空き家特例を適用することはできません。

共有者とともに譲渡した場合における空き家特例の譲渡価額の要件
Q
 甲及び乙は、父(以下「本件被相続人」という。)から、平成28年4月、本件被相続人が1人で居住していたA家屋(昭和55年築)及びその敷地の各持分2分の1を相続により取得した。
 甲及び乙は、A家屋の耐震改修工事を行った後、平成29年6月に上記敷地とともに1億1,000万円で譲渡した(各人の譲渡対価の額は5,500万円。)。
 この場合、甲及び乙は、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第3項に規定する被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例(以下「空き家特例」という。)を適用することができるか。
A
甲及び乙は、空き家特例を適用することはできません。
理由
1 空き家特例の譲渡価額の要件
 空き家特例は、次の場合に該当する者は適用することができないとされています(措法35③⑤⑥、措通35-20)。
(1)空き家特例を適用しようとする者(相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及びその敷地の両方を取得した者に限る。)が行った対象譲渡の価額が1億円を超える場合。
(2)居住用家屋取得相続人が対象譲渡資産一体家屋等の適用前譲渡及び適用後譲渡をしている場合においては、対象譲渡の価額と当該適用前譲渡の価額及び適用後譲渡の価額との合計額が1億円を超えるとき。
2 当てはめ (1)甲の空き家特例の適用の可否について
 乙は、本件被相続人からの相続により被相続人居住用家屋であるA家屋及びその敷地を取得していることから、居住用家屋取得相続人に該当します。
 そして、乙(居住用家屋取得相続人)のA家屋及びその敷地の各持分2分の1は対象譲渡資産一体家屋等に当たるところ、当該持分の譲渡(適用前譲渡)に係る対価の額5,500万円(=1億1,000万円×1/2)と甲自身が本件被相続人から相続したA家屋及びその敷地の各持分2分の1の譲渡(対象譲渡)に係る対価の額5,500万円(=1億1,000万円×1/2)との合計額1億1,000万円が1億円を超えることから、甲は、空き家特例を適用することができません。
(2)乙の空き家特例の適用の可否について
 乙は、上記(1)と同じ理由により、上記1の要件を充足しないため、空き家特例を適用することができません。

【参考】
1 対象譲渡(措法35③)
 ①相続又は遺贈(死因贈与を含む。)により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得した個人が、②平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間であり、かつ、当該相続の開始のあった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に行った、③租税特別措置法第35条第3項各号に掲げる譲渡で、かつ、④同法第39条《相続財産に係る譲渡所得の課税の特例》の適用を受けないもの及び⑤その譲渡の対価の額が1億円を超えないものをいう。
2 適用前譲渡(措法35⑤、措令23⑨、措通35-23)  居住用家屋取得相続人(下記4)が、相続の時から空き家特例を受ける者の対象譲渡をした日の属する年の12月31日までの間に行う、対象譲渡資産一体家屋等(下記5)の譲渡をいう。
3 適用後譲渡(措法35⑥、措令23⑨、措通35-23)  居住用家屋取得相続人(下記4)が、空き家特例を受ける者が対象譲渡をした年の翌年1月1日から当該対象譲渡をした日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に行う、対象譲渡資産一体家屋等(下記5)の譲渡をいう。
4 居住用家屋取得相続人(措法35⑤、措通35-21)  相続又は遺贈(死因贈与を含む。)により、次の(1)から(3)までのいずれかの資産を取得した相続人(包括受遺者を含む。)をいう。
(1)被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等
(2)被相続人居住用家屋
(3)被相続人居住用家屋の敷地等
5 対象譲渡資産一体家屋等(措法35⑤、措令23⑥⑦⑧、措通35-22)  対象譲渡をした資産と相続の開始の直前において一体として被相続人の居住の用に供されていた家屋で当該被相続人が主として居住の用に供していたと認められる一の建築物又は当該家屋の敷地の用に供されていた土地若しくは当該土地の上に存する権利をいう。

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