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解説記事2017年11月13日 【ニュース特集】 課税調査でチェックされる税理士法違反のポイント(2017年11月13日号・№715)

ニュース特集
税理士関係特留も全文掲載!
課税調査でチェックされる税理士法違反のポイント

 税務調査の際、調査担当者がチェックする税理士法違反行為のポイントが判明した。本特集では、税理士専門官が課税調査担当者用に作成した資料で取り上げられている税理士法違反事例(不真正税務書類の作成、税理士本人の脱税・申告漏れ、業務け怠、使用人等に対する監督義務)からその内容を確認する。
 また、国税庁が本年6月に発遣した「平成29事務年度における税理士関係事務の運営に当たり特に留意すべき事項について(指示)」の全文も掲載する。

課税調査担当者に税理士法違反行為に係る情報提供を依頼
 税理士法違反行為が認められる税理士等に対する調査など、税理士の指導監督事務を担当しているのが税理士監理官・専門官等だ。税理士監理官等は、税理士等の指導監督を的確に行うためには情報の収集・蓄積が重要と認識しており、課税調査担当者に税理士法違反事例(次頁以降参照)を示すことで、税理士法違反行為に関する情報提供を依頼している。

事例1 不真正税務書類の作成(税理士法45条違反)
 関与先の代表者から納税額を少なくしたいので期末棚卸を調整したことを告げられて、税理士は、その事実を知っていたにもかかわらず、期末棚卸を正すことなく、真正の事実に反する申告書を作成した。
ポイント
・不正所得を把握した際には、当該不正における税理士の関わりについて確認をする。
・税理士が直接、不正に関与している場合は当然だが、そこまではやっていなくても「事実に反する」または「事実に反するおそれがある」と認識しつつ、正しくない申告書を作成していた場合にも税理士の「故意」となることがポイント。
・違反事実を把握した際には、調査を終了する前に当該事実に関するメール・メモ等の物証の保全、税理士からの聴取書の作成をする。
・税理士事務所事務員の行為であっても、当該行為(事実)を税理士が知っていた場合等には、税理士自身の違反行為となる。
事例2 税理士本人の脱税(税理士法37条違反)
 税理士本人に対する課税調査において、収入の一部を元帳に計上しないことにより所得金額を不正に圧縮していた事実を把握した。
ポイント
・税理士が代表者である法人または実質的に支配している法人の行為も税理士の違反行為となる。
事例3 税理士本人の申告漏れ(税理士法37条違反)
〇税理士本人に対する課税調査において、売上の計上漏れによる多額の申告漏れを把握した。
〇税理士本人の申告について、業務多忙であったことや還付申告となると見込まれたことなどを理由に無申告としていた。
ポイント
・税理士が代表者である法人または実質的に支配している法人の行為も税理士の違反行為となる。
・消費税のみの非違についても申告漏れ額が多額であれば、同法違反となる。
事例4 業務け怠(税理士法37条違反)
 顧客から確定申告書の作成を依頼されていたにもかかわらず、作成作業の遅延や提出の失念などにより、正当な理由なく、法定申告期限までの提出を怠った。
ポイント
・原因が税理士事務所の事務員にあっても、監督者である税理士の違反行為となる。
事例5 使用人等に対する監督義務(税理士法41条の2違反)
 税理士事務所の事務員が、担当する法人の代表者からの依頼で、代表者の個人的費用を捻出するために架空経費を計上するなどの不正経理に加担した。
ポイント
・税理士事務所事務員からも、当該事実に係る聴取書の作成をする。

平成29事務年度における税理士関係特留の内容は
 また、国税庁は本年6月、「平成29事務年度における税理士関係事務の運営に当たり特に留意すべき事項について(指示)」を発遣している(7頁参照)。この「税理士関係特留」には、税理士法違反行為に関する情報収集の留意事項が明記されている。具体的には、課税調査担当者が課税調査により税理士法違反行為が疑われる事実を把握した場合は、「関係各部課及び税務署から税理士監理官への情報提供要領」(本誌683号16頁参照)に基づき、「税理士等情報せん」を確実に作成し、速やかに税理士監理官に提出するとしている。さらに、税理士監理官は、国税局や税務署の幹部に対し、課税調査担当者が課税調査の過程で多額の不正や調査妨害等の事実を把握した場合などには、必ず税理士等の不正関与の有無を確認し、不正関与の疑いがある場合には速やかに連絡するよう依頼している。

「税理士等情報せん」が多数ある者は実態確認の対象に
 税理士関係特留では、実態確認対象者の的確な選定も指示されている。例えば、懲戒処分により業務停止期間中の者や過去の指導事項について改善状況を確認する必要がある者、「税理士等情報せん」が多数ある者、使用人や関与先の概況が不明な者、使用人や関与先の概況等からみて業務が適正に運営されているかどうかの確認を要する者、内部管理体制の整備状況の確認が必要な者などを的確に選定するとしている。
 また、懲戒処分等を視野に入れた税理士法上の調査については、課税調査担当部署と税理士事務担当者との連携も指示されている。具体的には、課税調査の結果から税理士等に税理士法違反行為の疑いがあることを把握した場合は、課税調査担当部署と連絡を密にして確実に証拠資料の収集・保全を行うとともに、特に税理士法違反行為が課税調査の結果と密接に関係するときには、調査担当部署と税理士事務担当者の間で、課税調査および税理士法違反行為に係る調査の処理方針について意識共有を図るとしている。この処理方針の意識共有に係る記述は、調査を的確に実施することを目的として、平成28事務年度の税理士関係特留で新たに追加されたものだ。
 なお、平成28年度の懲戒処分等の件数は39件(業務禁止11件、業務停止28件)となっている。

「税理士等情報せん」には何が記載されるのか?
 「税理士等情報せん」には、①情報対象者、②収集先、③想定される違反行為等、④情報の内容及び参考事項を記載する欄が設けられている。
 「情報対象者」欄には、情報提供の対象となる行為等を行った者が税理士の場合、氏名、税理士番号、事務所の所在地または住所が記載される。情報対象者が税理士法人の場合で所在地を記載した事務所が従たる事務所である場合は、併せて主たる事務所の所在地も記載される。「収集先」欄には、収集端緒(調査等、投書等、税理士会、行手法36条の3、その他)および収集年月日が記載される。
 「想定される違反行為等」欄には、脱税相談等、不真正税務代理・書類の作成、自己脱税、自己申告漏れ(無申告含む)、調査妨害、名義貸し、業務け怠、使用人等の監督義務違反、添付書面への虚偽記載、詐欺・業務上横領、税務職員への不適正な接触等、守秘義務違反等が列挙されており、該当する項目にレ点が付される。「情報の内容及び参考事項」欄には、税理士法違反行為に該当するおそれのある行為または事実の内容が具体的に記載され、証拠資料を含む参考資料等がある場合は添付される。

重要資料

 平成29年6月21日

各 国 税 局 長 
沖縄国税事務所長 殿

 国 税 庁 長 官
 (官 印 省 略)

平成29事務年度における税理士関係事務の運営に当たり特に留意すべき事項について(指示)
 標題のことについては、別紙のとおり定めたから、平成29年6月21日付官総1-19ほか30課共同「平成29事務年度における事務運営に当たり特に留意すべき各事務系統に共通する事項について」(指示)によるほか、これにより適切な運営を図られたい。

 別紙

1 基本的な考え方 
 国税庁の使命である「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことを達成するため、税理士及び税理士法人(以下「税理士等」という。)がその公共的使命を踏まえ、申告納税制度の適正かつ円滑な運営に重要な役割を果たすよう、税理士業務の適正な運営の確保に努める。

2 税理士会等との連絡協調  申告納税制度の適正かつ円滑な運営を図る上で、公共的使命を担う税理士が果たすべき役割は極めて大きなものがあることから、税務行政に対する税理士の理解を得ることが重要であり、そのためには、税理士会及び税理士会支部(以下「税理士会等」という。)との連絡協調を推進することが必要不可欠である。
 このため、国税局(沖縄国税事務所を含む。以下「局」という。)及び税務署(以下「署」といい、局と合わせて「局署」という。)の幹部は、税理士会等との協議会等の開催を通じ、幅広い課題について協議・意見交換を行うなど、税理士会等との円滑な関係の維持・発展に努める。
 なお、改正消費税法への対応や社会保障・税番号制度、書面添付制度、e-Taxの一層の普及・定着など税務行政上の施策の実施に当たっては、税理士等の要望を的確に把握するよう努める。
 特に、平成31年10月の消費税率の引上げと同時に実施される消費税の軽減税率制度は、多数の事業者に影響を与えるものであることから、事業者が制度内容等を十分に理解して必要な準備を進めることができるよう、事業者等への制度の周知等について、税理士会等との連絡協調を図ることに配意する。
 また、税理士は、税理士会等が行う研修を受け、その資質の向上を図るよう努めなければならないとされている(税理士法第39条の2)ことを踏まえ、税理士会等が開催する説明会や研修会(以下「研修会等」という。)への局署職員の講師派遣等を積極的に行うよう努める。
 なお、研修会等に講師として派遣される局署職員は、その開催趣旨や税理士会等の要望を踏まえるとともに、過去の評価等を分析し説明内容等の見直しを行うなど、説明内容の充実を図ることに留意する。

3 税理士等に対する指導監督 
 税理士業務の適正な運営を確保するため、税理士等に対する指導監督を的確に実施することが求められており、このため、局署は、以下の項目について重点的に取り組む。
 各取組に当たっては、局署の実情を踏まえ、十分な事務量の確保及び各取組へのバランスのとれた事務量配分に配意して事務計画を策定し、適切な進行管理及び弾力的な運営を通じて実施する。また、その評価に当たっては、取組状況等を十分に分析・検証し、検証結果をその後の事務運営に的確に反映させるなど、PDCAサイクルに基づく効果的・効率的な事務運営に努める。
 なお、指導監督の実施に当たり疑義が生じた場合には、必ず、署税理士事務担当者は局税理士事務担当者に、局税理士事務担当者は庁税理士事務担当者に確認することに留意する。
(1)税理士等による税理士法違反行為の未然防止 
 税理士制度に対する国民の信頼を確保するためには、税理士等による税理士法違反行為(故意による不真正な税務書類の作成や税理士法に規定する各種義務違反行為など税理士法第45条、第46条及び第48条の20に規定する懲戒処分の対象となる行為をいう。)が行われることがないよう、未然防止を図ることが肝要である。
 このため、局署幹部は、税理士等による税理士法違反行為の未然防止の重要性を十分に認識し、税理士会等の会合及び協議会・研修会並びに(3)の実態確認等のあらゆる機会を活用して、積極的・効果的な注意喚起を行う。
 なお、説明に当たっては、平成28年7月1日付国税庁総務課情報第1号「税理士法違反行為Q&A」(以下「税理士法違反行為Q&A」という。)や「税理士・税理士法人に対する懲戒処分等の考え方」(平成20年財務省告示第104号)を効果的に活用する。
 また、局署幹部は、税理士会等に対して、綱紀監察に関する協議会・研修会等が毎年効果的な時期、内容により確実に開催されるよう依頼するとともに、綱紀監察に関する研修会等の受講率向上のための取組等、効果のある税理士法違反行為の未然防止への自主的・積極的な取組を要請する。
(2)税理士等情報せんの的確な収集・管理及び効果的な活用  税理士等に対する指導監督を的確に行うためには、税理士法違反行為(税理士等によるもののほか、この項においては税理士等でない者による税理士法第52条及び第53条の規定に違反する行為を含む。)に関する情報の収集が不可欠であり、このため、特に、次の点に留意する。
イ 「税理士等情報せん」の確実な作成等 
  課税調査担当者や徴収担当者等(以下「課税調査等担当者」という。)が、課税調査若しくは滞納整理、電話、投書又は風聞等により税理士法違反行為が疑われる事実等を把握した場合は、平成14年6月28日付官総6-106ほか12課共同「関係各部課及び税務署から税理士監理官への情報提供要領の制定について」(事務運営指針)に基づき、「税理士等情報せん」を確実に作成し、速やかに税理士監理官に提出する。
  税理士監理官は、事務年度首における各種会議・研修等や署への臨場時において、局署幹部に対し、「税理士等情報せん」の確実な作成について周知等を行うとともに、課税調査等担当者が課税調査等の過程で多額の不正や調査妨害等の事実を把握した場合などには、必ず税理士等の不正関与等の有無を確認し、不正関与等の疑いがある場合には、税理士監理官への速やかな連絡と、課税調査等担当者への「税理士等情報せん」の作成指示を行うよう依頼する。
  なお、税理士監理官は、署から税理士法違反行為に関する連絡を受けた場合には、必要に応じ、署税理士事務担当者に対して、迅速に税理士法違反行為に係る証拠資料の収集及び保全を行うよう指示する。
ロ 税理士法等に関する職員研修等の実施
  局署職員が「税理士等情報せん」を的確に作成できるよう、局署幹部は、事務年度首に各事務系統で開催する全体研修等に税理士法に関する基礎的知識を盛り込むなど、適切な研修の機会を設けることに配意する。
  なお、当該研修等の際には「税理士法違反行為Q&A」等を効果的に活用する。 
ハ 「税理士等情報せん」の的確な管理及び効果的な活用 
  税理士監理官は、作成された「税理士等情報せん」の処理方針を的確に判断して署に教示する。特に、実態確認、税理士法上の調査又は確認調査が必要と判断したものについては、局署税理士事務担当者に対し、確実に実施するよう指示するとともに、当該「税理士等情報せん」の活用状況について的確に進捗管理を行う。
(3)実態確認の計画的かつ的確な実施 
 税理士等に対する実態確認は、税理士法違反行為は明らかでないものの各種の情報がある場合など、当該税理士等の業務の執行状況を個別に接触して確認する必要があると認められる場合に、当該税理士等の協力を得て実施する。
 なお、実態確認は、署税理士事務担当者が主体となって実施することに留意する。 
イ 実態確認対象者の的確な選定等 
  署税理士事務担当者は、各種情報や部内簿書等に基づき実態確認対象者を選定する。その際、懲戒処分により業務停止期間中の者や懲戒処分後業務を再開した者、過去の指導事項について改善状況を確認する必要がある者(以下「業務停止期間中の者等」という。)をはじめ、「税理士等情報せん」が多数ある者、使用人や関与先の概況が不明な者、使用人や関与先の概況等からみて業務が適正に運営されているかどうかの確認を要する者、内部管理体制の整備状況の確認が必要な者、長期末接触者等を的確に選定する。
  なお、税理士監理官から、業務停止期間中の者等として選定するよう連絡を受けた場合は、優先的に選定することに留意する。
  選定する対象者数(計画件数)は、税理士会支部の会員数や署の規模又は優先的に実施する必要がある事案の多寡など、署の実情を考慮して定める。
  なお、税理士監理官は、署幹部に対して署税理士事務担当者が計画的で的確な実態確認を実施できるよう、実態確認のための事務量を確実に確保するよう依頼する。
  また、署税理士事務担当者は、事務年度首より実態確認を効率的に実施できるようにするため、事務年度末までに実態確認対象者の選定を行い、確実に翌事務年度に引き継ぐとともに、選定した実態確認対象者及び確保した事務量については、署幹部へ報告することに留意する。 
ロ 実態確認の的確な実施と進捗管理の徹底 
  実態確認は計画的に実施し、その実施に当たっては、「税理士等実態確認表」を活用し、あらかじめ確認項目を抽出するほか、当該税理士等の課税調査を担当する関係各部門等と事前に協議し必要な情報を入手するなど、事前準備を確実に行い、税理士等の業務内容等の的確な把握に努める。
  なお、使用人その他の従業者がいる税理士又は税理士法人に対する実態確認の実施に当たっては、内部管理体制の整備状況を確実に確認する。特に、税理士法人については、税理士法人特有の確認項目である、社員税理士間の相互チェック等に関する内部管理体制の整備状況を確実に確認することに留意する。
  税理士監理官は、署税理士事務担当者に対する研修の充実を図った上で、各署における実態確認の実施状況を把握し、的確な進捗管理を行う。さらに、選定した対象者の関与先数・事務所の規模等や署税理士事務担当者の経験等を勘案し、必要に応じて税理士専門官等による支援・指導を行う。
  また、税理士監理官は、税理士法違反行為のおそれがあると認められる事案を把握した場合には、随時、実態確認の対象に選定し、署の計画を変更して時機を失することなく実態確認を実施するよう局署税理士事務担当者に指示するなど、適時的確な対応を行う。
ハ 実態確認の実施後の処理   実態確認を実施したものについては、「税理士等実態確認表」に確認内容等を記載し、その写しを速やかに税理士監理官へ送付する。
  税理士監理官は、実態確認の結果、重大な税理士法違反行為が認められる場合には、税理士法上の調査に移行する等の対応を確実に行うよう指示する。
(4)税理士法上の調査の的確な実施 
 税理士法上の調査(以下「調査」という。)は、税理士等に関する情報等から税理士法違反行為があると認められる場合に、税理士に対する懲戒処分や税理士法人に対する処分(以下「懲戒処分等」という。)を視野に入れて実施する。 
イ 調査対象者の的確な選定等 
  税理士監理官は、税理士法違反行為があると認められる事案を把握した場合には、随時、調査対象に選定し、優先順位を付けて効率的・効果的にかつ迅速に調査を実施するよう局署税理士事務担当者に指示する。
  なお、局署課税調査等担当者との連絡を密にし、故意による不真正税務書類の作成等(税理士法第45条第1項該当)、税理士自身(税理士が代表者である法人又は実質的に支配していると認められる法人を含む。)の所得税等の脱税(税理士法第37条違反、第46条該当)のような税理士法違反行為が放置されることのないようにするほか、複雑・困難事案についても調査対象として的確に選定を行う。
  また、税理士監理官は、事務年度首より調査を効率的に実施できるよう、事務年度末までに調査対象者の選定を行い、確実に翌事務年度に引き継ぐ。 
ロ 調査の的確な実施と進捗管理の徹底   調査に当たっては、想定される税理士法違反行為の態様に応じた証拠書類の収集や効率的な調査が実施できるよう、収集すべき証拠資料や臨場時に調査すべき項目等を十分検討するなど、事前準備を確実に行う。
  また、課税調査等の結果等から、税理士等に税理士法違反行為の疑いがあることを把握した場合には、当該課税調査等の担当部署と連絡を密にし、適時的確に調査を実施することにより確実に証拠資料の収集及び保全を行うとともに、特に税理士法違反行為が課税調査等の結果と密接に関係するときには、当該担当部署と税理士事務担当者の間で、課税調査等及び税理士法違反行為に係る調査の処理方針等について意識共有を図る。
  なお、調査事案の内容に応じ、複数の税理士事務担当者による調査を実施するなど、局の実情に応じて効果的な調査体制を確保することに留意する。また、調査事案の困難性等に応じ、他局の税理士専門官の支援を要請することも考慮する。
  調査の実施に当たっては、税理士法違反行為やその動機が明確となるよう調査対象者及び関係者から聴き取りを行い、事実関係を把握するとともに、確実に証拠資料の収集及び保全を行い、争訟が見込まれる事案については、争点整理表を作成するなどにより、処分の適法性の確保に努める。
  税理士監理官は、局署税理士事務担当者に対し、調査事務が計画的に実施されるよう指導を行うとともに、調査展開に応じた調査日数の適切な付与・見極めを行うなど、調査事案の進行管理を含めた調査事務全体の進捗管理を的確に行う。ただし、事務年度中に争訟事案が提起された場合には、調査計画を変更するなどして争訟事案に迅速に対応するための事務量を優先的に確保することに留意する。
ハ 調査後の処理 
  調査終了時には、調査内容を記載した調査事績書を作成する。調査事績書の処理方針案は、必ず税理士監理官と協議の上、決定するものとする。
  なお、調査事績書の決裁等を了したものについては、じ後の確認調査や実態確認の要否について判定し、その旨を調査事績書に記載するなどして、その後の適切な管理に努める。
(5)適正かつ迅速な懲戒処分の実施等 
 税理士等の公共的使命や税理士業務が税理士法上無償独占とされていることを踏まえ、税理士法違反行為に対しては、法令等に定める手続に従い、懲戒処分等を厳正に実施する必要がある。
 調査によって税理士法違反行為が把握された場合には、税理士監理官は、迅速・円滑に処理を進める観点から、調査過程の早い段階で庁税理士監理室長に相談し、処理方針の調整を行うことに留意する。
(6)懲戒処分等又は行政指導を受けた者に対するフォローアップの実施  税理士監理官は、懲戒処分等を受けた者について、業務禁止・停止期間中の状況及び業務再開時における改善状況を確認するため、該当者を確実に管理するとともに、これらの者に対して確認調査や実態確認等により的確なフォローアップを実施する。 
 また、行政指導等を受けた者のうち、特に確認が必要と認められる者についても同様とする。

4 退職職員による税理士法違反行為の未然防止 
 局署幹部は、税務職員を退職して税理士となる者に対し、退職予定職員に対する説明会などの機会を利用し、税理士法違反行為の未然防止を図る。
(1)税理士法第42条の周知徹底  
 税務職員の離職後1年間について税理士業務を制限している税理士法第42条の規定に違反する行為を防止するため、以下の内容等を周知徹底する。
・税理士法第42条により税理士業務が制限されていることの趣旨 
・同条に規定する「事件」(税理士業務制限の対象となる調査等案件)の基本的な範囲(平成22年6月9日付「総務課情報第2号(退職職員に対する税理士業務の制限について)」の「9 法第42条の業務制限の基本的な範囲」を必ず配付する。) 
・同条の制限は「離職前1年内に占めていた職」が対象であり、離職前1年内の期間に異動により勤務地に変更があった場合には、その異動前の勤務地における「事件」も税理士業務の制限の対象となること。
・同条について疑問点や不明点がある場合には、局署税理士事務担当者に必ず確認すること。
(2)その他税理士法違反行為の周知 
 「税理士法違反行為Q&A」や今後発遣予定であるリーフレットを活用するなど、税理士法違反行為となる事例を周知することにより、退職予定職員による税理士法違反行為の未然防止に努める。

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