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解説記事2018年07月02日 【SCOPE】 MD&Aやガバナンス情報充実でプリンシプルベースガイダンス(2018年7月2日号・№745)

ディスクロWGが報告案を了承
MD&Aやガバナンス情報充実でプリンシプルベースガイダンス

 金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループ(座長:神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)は6月22日、企業情報の開示を充実させるための報告案を了承した。「財務情報」及び「記述情報(非財務情報)」に関しては法令改正だけでなく、今後、開示の考え方・内容・取り組み方をまとめたプリンシプルベースのガイダンスを策定すべき旨が明記された。そのほか、役員報酬については報酬プログラムに基づく報酬実績について開示を促すなどとしている。

政策保有株式、買い増した場合に限り理由を開示
 今回の報告書案は麻生太郎金融担当大臣より、企業情報の開示及び提供のあり方について検討する旨の諮問を受け、昨年12月から検討を行ってきたもの。報告書案の主な内容は表のとおりだが、このうち「財務情報」及び「記述情報(非財務情報)」に関しては開示の充実を実現しておくことが重要であるとした上で、開示府令で整備を行うとともに、開示の考え方・内容・取り組み方をまとめたプリンシプルベースのガイダンスを策定すべきとしている。ガイダンスを策定する際には、企業が実際に行っているベストプラクティスを収集することになる。
報酬プログラムの具体的内容を開示  建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供の1つとして挙げられているのが役員報酬に係る情報だが、業績連動報酬の額の決定要因や報酬プログラムの基本的内容が分かりづらいなどの指摘が寄せられている。このため報酬プログラムに基づく報酬実績について、当期の報酬額に決定した理由、当期のKPIの目標値と実際の達成度、固定報酬と業績連動報酬の支給割合を定めていない場合には当期の支給割合の実績、役職ごとに支給された報酬の状況等を開示すべきとしている。
 また、政策保有株式に関しては、開示基準に満たない銘柄も含め、売却したり、買い増した政策保有株式について、減少・増加の銘柄数、売却・買い増した株式それぞれの合計金額、買い増しの理由等の記載を求める。当初は政策保有株式を売却した場合の理由も求めることが提案されていたが見送られた。
 会計監査に関する情報に関しては、監査役会等による監査人の選任・再任の方針及び理由並びに監査人監査の評価、監査人の継続監査期間、監査業務と非監査業務に区分したネットワークベースの報酬額・業務内容について開示されるべきとされた。
 ただし、監査業務と非監査業務に区分したネットワークベースの報酬額・業務内容については、企業側の負担も勘案し、重要性も考慮しながら記載すべきであるとされた。したがって、現行の実務から大きく異なることはなさそうだ。
四半期開示制度の見直しは行わず  そのほか、四半期開示については、仮に任意化した場合には開示の後退と受け取られ資本市場の競争力に影響を及ぼしかねないなどと指摘。現時点で四半期開示制度を見直すことは行わず、今後、四半期決算短信の開示の自由度を高めるための取組みを進めるとともに、海外動向などを注視し必要に応じて検討していくことにとどまった。

【表】報告案の主な内容
Ⅰ.「財務情報」及び「記述情報(非財務情報)」
・日本企業における経営戦略・ビジネスモデル、MD&A、リスク情報、重要な契約、ガバナンスに関する情報等の記述情報の開示の充実を実現していくことが重要。
・開示内容について具体的に定めるルールを整備するとともに、開示内容や開示への取組み方についての実務上のベストプラクティス等から導き出される望ましい開示の考え方・内容・取り組み方をまとめたプリンシプルベースのガイダンスを策定すべき。

Ⅱ.建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供
(役員報酬)
・役員の報酬プログラムの開示において、固定報酬、短期の業績連動報酬(賞与)、中長期の業績連動報酬(ストックオプション等)それぞれの算定方法や固定報酬と短期・中長期の業績連動報酬の支給割合、役職ごとの支給額についての考え方を定めている場合にはその内容など、報酬の決定・支給の方法やこれらに関する考え方を具体的に分かりやすく記載する。また、役員報酬の算定方法にKPI等の指標が関連付けられている場合には、その指標と指標の選定理由、業績連動報酬への反映方法や、報酬総額等を決議した株主総会の年月日等についても記載されるべき。
・報酬プログラムに基づく報酬実績について、当期の報酬額に決定した理由、当期のKPIの目標値と実際の達成度、固定報酬と業績連動報酬の支給割合を定めていない場合には当期の支給割合の実績、役職ごとに支給された報酬の状況等が開示されるべき。
・報酬決定プロセスの客観性・透明性のチェックを可能とするため、算定方法の決定権者、その権限や裁量の範囲、報酬委員会がある場合にはその位置付け・構成メンバー等の情報とともに、その実効性を確認できるよう、取締役会・報酬委員会の具体的活動内容などについても開示を求めるべき。
(政策保有株式)
・開示基準に満たない銘柄も含め、売却したり、買い増した政策保有株式について、減少・増加の銘柄数、売却・買い増した株式それぞれの合計金額、買い増しの理由等の記載を求める。
・開示対象となる銘柄数を拡大する。
・純投資と政策投資の区分の基準や考え方の明確な説明を求める。
・提出会社が政策保有株式として株式を保有している相手方が、当該提出会社の株主となっている場合には、実務にも配慮しながら、当該相手方に保有されている株式について記載を求める。

Ⅲ.提供情報の信頼性・適時性の確保
・監査役会等による監査人の選任・再任の方針及び理由並びに監査人監査の評価、監査人の継続監査期間、監査業務と非監査業務に区分したネットワークベースの報酬額・業務内容が開示されるべき(ただし、監査業務と非監査業務に区分したネットワークベースの報酬額・業務内容については企業側の負担を勘案)。
・監査人の解任・不再任の方針、監査役会等が監査報酬額に同意した理由、監査人の業務停止処分に係る事項について、有価証券報告書でも開示されるべき。

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