カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2018年08月27日 【ニュース特集】 Q&Aで読み解くIoT税制の疑問点(2018年8月27日号・№752)

ニュース特集
数値目標をクリアできない場合は?
Q&Aで読み解くIoT税制の疑問点

 平成30年度税制改正で創設されたIoT税制(コネクテッド・インダストリーズ税制)は、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携などにより、生産性を向上させるシステム等を導入した場合に特別償却30%又は税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)を講じるというもの。生産性向上特別措置法の施行日である平成30年6月6日から平成33年3月31日までの時限措置となっている。同税制の適用対象は、主務大臣により「革新的データ産業活用計画」の認定を受けた青色申告書を提出する企業等。中小企業だけでなく、大企業も適用可能である上、業種制限も設けられていないため、同税制の適用を検討している企業等も多いことだろう。本特集では、本誌に寄せられたIoT税制に関する実務上の疑問点について取材に基づいた最新情報をQ&A形式で解説する。

複数企業で計画の策定が可能も、各社で認定要件のクリアが必要
Q
 IoT税制の適用を検討しています。子会社やグループ会社も含めて計画の策定を複数の企業で行うことは可能ですか。
A  IoT税制は、必ずしも1社で計画の策定を行う必要はない。複数の会社が共同で「革新的データ産業活用計画」を策定し、主務大臣の認定を受けることにより税制措置を適用することができる。子会社やグループ会社だけでなく、他社と共同で申請することも可能だ。対象となる設備等の最低投資額は5,000万円となっているため、1社で5,000万円を投資することは難しいと考える中小企業であっても、複数の企業であれば投資が可能というケース(例えば2社で計画を策定する場合、各社2,500万円ずつ投資すれば合計5,000万円となり要件クリア)があろう。また、この設備等の最低投資額は個々の設備等の合計額ではなく、計画単位で判定されることになる。例えば、計画期間の3年間の投資額が合計で5,000万円以上であれば要件を満たすことになる。ただし、気を付けなければならないのは、それぞれの会社において、①データ連携・利活用の内容(社外データやこれまで取得したことのないデータを社内データと連携など)、②セキュリティ面(必要なセキュリティ対策が講じられていることをセキュリティ対策の専門家が担保)、③生産性向上目標(労働生産性(年平均伸率2%以上)、投資利益率(年平均15%以上))の要件を満たさなければならない点だ。仮に共同で行う企業のうち1社でも要件を満たさなければ計画の認定を受けることはできないので留意したい。

要件をクリアできる企業のみでの申請も考慮
Q
 親会社及び子会社の2社で計画の策定を行う場合、仮に要件の1つである投資利益率を子会社がクリアできなければ計画の認定を受けることができませんか。
A  前問のとおり、複数企業で計画の申請を行う場合、要件については各社ごとにクリアすることが求められるため、計画の認定は難しい。仮に1社のみしか要件をクリアできない場合であれば、要件をクリアすることができる親会社のみでの申請も検討に値しよう。

投資額が5,000万円に満たない場合は適用できず
Q
 最低投資額は5,000万円ということですが、例えば計画が予定どおりに進まず、3年目の投資でも合計で5,000万円に満たなかった場合、1年目及び2年目に受けた税制の適用分を返還する必要がありますか。
A  1年目及び2年目に受けた適用分の返還は不要だが、3年目の投資分についてはIoT税制の適用を受けることはできない。

ソフトウェアの同時取得、計画全体で判断
Q
 IoT税制については、機械装置等に加えソフトウェアも同時に取得することとされています。例えば、計画を共同申請する際、親会社はソフトウェア、子会社は機械装置を取得するといったケースについては同税制の適用対象になりますか。
A  計画全体で判断することになるため、ご質問のケースはIoT税制の適用対象となる。

労働者数は計画に携わる人が対象
Q
 要件の生産性向上目標の1つである労働生産性については、対象となる設備を取得等した年度の翌年度から3年間の伸び率の年平均が2%以上であることとされ、「(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量」で算出するとされています。この「労働投入量(労働者数又は労働者数×1人当たり年間就業時間)」の労働者数は全社員となるのでしょうか。
A  データ連携を行う計画に携わる人が全社員であれば全社員となるが、例えば、A工場のみであればA工場で働く人のみが対象となる。

発注しても取得が計画の認定後ならOK
Q
 計画の認定を受ける前に取得等した設備等はIoT税制の適用対象になりますか。
A  IoT税制は、主務大臣(経済産業局や総合通信局等)に「革新的データ産業活用計画」の申請をし、認定を受けることが適用の要件となっているが、対象設備の取得等は計画認定を受けた後でなければならないとされている。したがって、認定を受ける前に取得等した設備等については適用対象外となる。
 ただし、設備等について契約し発注していてもその取得等が計画の認定後であればIoT税制の適用を受けることができる。

データに個人情報がある場合は要注意
Q
 計画の申請から認定までにはどの程度の時間がかかりますか。
A  IoT税制の適用を受けるには、経済産業局等に対して「革新的データ産業活用計画」の申請をし、認定を受けることが必要になる。申請から認定までの期間は1か月とされている。
 この認定までの期間だが、場合によってはさらに時間がかかるケースがあるので留意したい。今回のIoT税制の大きな特徴の1つはデータ連携だが、器具備品や機械装置などの対象設備と同時にソフトウェアを同時に取得することが要件となっている。このソフトウェアのデータに個人情報が含まれている場合には、経済産業局等の審査に加え、個人情報保護委員会との協議が別途必要になっているため、認定までにはさらに1か月程度時間がかかることが想定されている。
 ここで注意しなければならないのは対象設備の取得等までには至っていないもののすでに契約し発注しているケース。前問のとおり、IoT税制の適用を受けるには、対象設備の取得等は「革新的データ産業活用計画」の認定後でなければならないとされているが、対象設備について契約し発注していてもその取得等が計画の認定後であればIoT税制の適用を受けることができるとされている。
 しかし、ソフトウェアのデータに個人情報が含まれている場合には、認定までの期間が通常よりもかかることになり、認定を受ける前に対象設備を取得等してしまうことにもなりかねないからだ。この場合にはIoT税制の適用を受けることができなくなってしまうため、余裕をもった計画の策定が必要になろう。

建物等は税制の対象外も計画に含めることは可能
Q
 IoT税制の対象設備はソフトウェア、機械装置、器具備品ということですが、計画の中に建物附属設備の設置を考えています。税制の適用対象になりますか。
A  IoT税制は、減価償却資産のうち、ソフトウェア、機械装置、器具備品に分類されるものが適用対象となる。例えば、車両運搬具や建物、建物附属設備を計画の一部として組み込むことは可能だが、減税の対象とはならない。

セット契約でもクラウドサービスは適用対象外
Q
 費用計上されるクラウドサービスの利用料はIoT税制の適用対象外ということですが、契約上、ハードウェアとクラウドサービスがセットである場合、IoT税制の適用対象になりますか。ハードウェアは買取り、クラウドサービスは利用料を支払う形となります。
A  IoT税制は、ソフトウェアと機械装置等の同時取得が要件となっている。ご質問のケースではセット契約であっても同時取得とはならないので、IoT税制の適用対象外となる。

生産性向上目標の要件を満たさなくても
Q
 認定された計画に対するフォローアップがなされるとのことですが、仮に計画で示した生産性向上目標をクリアできない場合はどうなりますか。認定が取り消されることになりますか。
A  計画の認定を受けた事業者は、計画実施期間の各事業年度終了後3か月以内に、実施状況の報告を経済産業局又は総合通信局等に提出する必要がある。ここで認定計画に対するフォローアップが行われるわけだが、目標の数値等がクリアできなかったからといってすぐに認定が取り消されるわけではない。また、事業計画の終了後、目標の数値等をクリアできなかったとしても適用した税制優遇措置がなくなるわけではない。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索