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解説記事2018年09月24日 【税務マエストロ】 免税(5)~非居住者との取引(その2)(2018年9月24日号・№756)

税務マエストロ
税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
免税(5)~非居住者との取引(その2)

#219 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会調査研究部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学教授

マエストロの解説  非居住者との取引については、その効果が国外で生ずるものについて、輸出免税の規定を適用することとしている。ただし、非居住者に対する役務の提供であっても、国内における飲食や宿泊など、国内において直接便益を享受するものは免税とはならず、当然に消費税が課税されることになる。
 今月は、非居住者に対する役務の提供について、国税庁の質疑応答事例の内容を確認する。
 なお、【回答要旨】については、必要に応じて筆者が適宜内容をアレンジしている。

○国際航空運送に係る航空機乗務員の役務提供等の取扱い(輸出取引等の範囲4)
【照会要旨】
(問)
 航空会社が国際線の運航に際し、次の役務提供等を受けた場合の消費税の取扱いはどのようになるのでしょうか。
(1)国際線の機内サービス業務を他の内国法人に委託した場合の委託料   次の①及び②の区間の当社の定期便路線に対し、内国法人であるA社から客室乗務員の派遣を受けて、機内サービス等の客室業務を委託する場合の委託料
  なお、①・②の路線に関する対価の額は区分されていません。

(2)国際線のパイロットを外国法人に派遣依頼した場合の派遣料   当社便の次の路線(主として国際路線であるが、一部本邦国内路線を含む。)のパイロットを外国法人であるB社に派遣を依頼し、乗務させる場合の派遣料
  なお、①・②の路線に関する対価の額は区分されていません。

(3)国際線の航空機を内国法人から乗務員ごと借り受ける場合の賃借料   当社の運航路線(日本~ハワイ間)に機体(日本で登録を受けた国際線用の機体)及び乗務員ごと内国法人から借り受け、これを当社の便として運航する場合の賃借料(いわゆるウェットリース料)

【回答要旨】
番号 回 答 理  由
(1) 課税取引  資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、資産の譲渡等の内容に応じ、それぞれに定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとすると規定されており、消費税法第4条第3項第2号において、役務提供の場合は当該役務提供が行われた場所とされ、さらに、消費税法施行令第6条第2項第7号において、国内及び国外にわたって行われる役務提供の場合は当該役務提供を行う者の役務提供に係る事務所等の所在地とされています。(1)の取引は国内、国外にわたって行われる取引であり、A社は内国法人で役務提供を行う者の事務所等は日本にあります。したがって、(1)の取引は国内取引となります。
 また、当該取引は、輸出等取引に該当しないため課税取引となります。
(2) 不課税取引  (2)の取引は、(1)の取引と同様に役務提供に係る国内及び国外にわたる取引であり、(1)と同様に判断し、B社は外国法人で役務提供を行う者の事務所等は国外にあります。したがって、(2)の取引は不課税取引となります。
(3) 免税取引  (3)の取引は、乗務員付で航空機を借受け定期航空路線の運航に供しているものであり、消費税法基本通達7-2-9において定期用船契約に基づく用船は船舶の貸付けに該当するとされているところから、本件もこれと同様に解することができます。したがって、消費税法第4条第3項第1号及び消費税法施行令第6条第1項第3号により、航空機の登録をした機関の所在地をもって国内取引であるか否かを判定することとなります。
 当該航空機は内国法人が日本で登録を受けた国際線用航空機であるため国内取引となり、また、当該取引は、消費税法第7条第1項第4号及び消費税法施行令第17条第1項第2号に規定される航空機の貸付けに該当するため、輸出免税取引に該当します。

○非居住者に対する役務の提供で課税されるもの(輸出取引等の範囲5)
【照会要旨】  当ホテルでは、外国人宿泊客が多く、宿泊のほかにも種々のサービスの提供を行っています。
 非居住者に対する役務の提供については、消費税が免税になるものとならないものがありますが、具体的な取扱いはどのようになるのでしょうか。
【回答要旨】  役務の提供のうち非居住者に対するものは、一般的には輸出免税の規定の適用がありますが、国内のホテルでの宿泊のように、その役務の提供を受ける非居住者が、国内において直接便益を享受するものの提供については、輸出免税の対象とはなりません(消令172七)。
 このような非居住者に対する役務の提供であっても免税とならないものには、ホテル等における宿泊のほかに、例えば次のようなものがあります(消基通7-2-16)。
① 国内に所在する資産に係る運送や保管
② 国内に所在する建物等の管理や修繕
③ 建物の建築請負
④ 理容又は美容
⑤ 医療又は療養
⑥ 鉄道、バス等による旅客の運送
⑦ 劇場、映画館等の興行場における観劇等の役務の提供
⑧ レストラン等における飲食
⑨ 国内間の電話、郵便又は信書便
⑩ 日本語学校における語学教育(ただし、所定の要件を満たすものは非課税となります。)

○訪日旅行ツアーを主催する海外の旅行会社に対して日本国内の旅程部分に係る役務を提供する取引(輸出取引等の範囲6)
【照会要旨】  当社は、旅行業法に基づく旅行業等を目的とする日本法人であり、日本国内に支店等を有しない海外の旅行会社が主催する訪日旅行ツアーについて、当該旅行会社に対し、訪日旅行客の国内における飲食場所、宿泊先、交通手段等を確保し、これらを組み合わせて提供する取引を行っています。
 具体的には、当社は、訪日旅行ツアーのうち、国内の旅程部分の日程、訪日旅行客が受けることができる飲食、宿泊、運送等の役務の内容、海外の旅行会社が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を作成し、自己の計算において、レストラン・ホテル・交通機関等の各種サービス提供機関との間で、当該訪日旅行客に提供するために必要と見込まれる役務の提供に係る契約を締結しており、当社は、当該旅行会社から、行事終了後に、当社が企画し手配したとおりに、各種サービス提供機関により当該訪日旅行客に対して飲食、宿泊、運送等の役務が提供されたことの対価を受けています。
 このような訪日旅行ツアーを主催する海外の旅行会社に対して日本国内の旅程部分に係る役務を提供する取引は、輸出免税の対象となるのでしょうか。

【回答要旨】  照会の取引は、日本の旅行会社が、海外の旅行会社に対し、「国内における飲食、宿泊、運送等の旅行素材の組合せを企画し各種サービス提供機関を手配することによりこれを海外の旅行会社が確実に利用できるようにする」という役務を提供するものであると考えられます。
 この「国内における飲食、宿泊、運送等の旅行素材の組合せを企画し各種サービス提供機関を手配することによりこれを海外の旅行会社が確実に利用できるようにする」という役務は、国内に所在する資産に係る運送又は保管及び国内における飲食又は宿泊に類するものであり、かつ、海外の旅行会社がこの役務の提供により直接享受する便益は、国内においてでなければ享受することができないものでありますから、当該役務の提供は、消費税法施行令第17条第2項第7号イ及びロに掲げるものに準ずるもので、国内において直接便益を享受するものとして、同号ハに該当することとなります。
 したがって、照会の取引は、輸出免税の対象とはならず、消費税の課税の対象となります。

○国内に営業所を有する非居住者に対する役務の提供(輸出取引等の範囲7)
【照会要旨】  甲は、外国法人(乙)が日本の企業から商品を仕入れるに当たり、乙の要望に合致する商品の情報を乙に提供することを業務としています。なお、甲が行う当該業務は乙の本社から直接依頼を受け、甲は乙の本社に対して直接役務の提供を行っています。
 また、乙は日本国内に営業所(乙')を有していますが、乙'は甲が行う当該業務にはかかわっていません。更に、乙'は乙が生産した商品の日本国内での販売を業務としていますが、乙'が行う業務は甲が行う当該業務とは直接の関連はありません。
 この場合、甲が乙に対して行う上記の役務の提供は、輸出免税の対象となるのでしょうか。

【回答要旨】  非居住者に対する役務の提供は、①国内に所在する資産に係る運送又は保管、②国内における飲食又は宿泊、③①及び②に準ずるもので、国内において直接便益を享受するものの3項目以外のものについて、輸出免税の対象としているところです(消令17②七)。
 なお、国際運送に係る航空券等の受託販売など、国外の航空会社等の支店又は出張所等が国内にあるとき、当該委託に係る役務の提供は輸出免税の対象となる役務の提供に該当しないこととして取り扱っているところです。
 この取扱いは、外国法人に対する役務の提供であっても、当該外国法人が国内に支店、出張所等の施設を有する場合には居住者たる国内の支店、出張所等を経由して役務の提供を行ったものとして課税の対象とすることとしているものです。
 しかし、事業者が国内に支店、出張所等を有する外国法人等に対して行う役務の提供であっても、次に掲げる要件のいずれをも満たすものは「国内の支店、出張所等を経由して役務の提供を行ったもの」とは認められないことから、輸出免税の対象として取り扱って差し支えないものとしています(消基通7-2-17)。
1 事業者は外国法人等の国外の本店又は主たる事務所に対して直接役務の提供を行っているものであり、当該外国法人等の国内の支店、出張所等はこの役務提供に直接的にも間接的にも関わっていないこと。
2 役務の提供を受ける外国法人等の国内の支店、出張所等の業務は、この役務の提供と同種、あるいは関連した業務でないこと。
 したがって、照会事例において甲が乙に対して行った役務の提供は、輸出免税の対象となります。
(参考)  国内に支店、営業所等を有する外国法人等の国外の事業者に対する役務の提供であっても、上記1及び2のように、明らかに国内の支店、営業所等を経由して行った役務の提供と認められないもの以外のもの(国際輸送に係る航空券等の受託販売など)については、その役務の提供は課税の対象となります。

○AEO通関業者に通関手続を委託した場合の輸出貨物に係る役務の提供(輸出取引等の範囲8)
【照会要旨】  AEO通関業者が関与する輸出申告については、保税地域等に輸出貨物を搬入することなく、その輸出の許可を受けることが可能とされており、当社は、貨物の輸出に係る通関手続をAEO通関業者に委託して当該貨物に係る輸出申告を行っています。
 この場合、輸出の許可を受けた貨物は、外国貨物に該当することから、保税地域等以外の場所における当社の輸出貨物(外国貨物)に係る役務の提供についても、輸出免税の対象となりますか。
(注1)AEO通関業者とは、通関業務その他の輸出及び輸入に関する業務を適正かつ確実に遂行することができるものと認められる者として税関長の認定を受けた認定通関業者をいいます。
(注2)保税地域等とは、関税法に規定する指定保税地域、保税蔵置場、保税展示場及び総合保税地域のことをいいます。
【回答要旨】  貨物の輸出に係る通関手続をAEO通関業者に委託した者が行う輸出申告に係る貨物については、消費税法施行令第17条第2項第4号に規定する特例輸出貨物に該当し、保税地域等及び特例輸出貨物の輸出のための船舶又は航空機への積込みの場所における役務の提供並びに保税地域等相互間の運送に限り、輸出類似取引として消費税が免除されます。
 この場合の「特例輸出貨物の輸出のための船舶又は航空機への積込みの場所における役務の提供」とは、特例輸出貨物を輸出するための船舶又は航空機へ積み込む場所及び当該特例輸出貨物を積み込んだ船舶又は航空機における当該特例輸出貨物の荷役、検数、鑑定又は検量等の役務の提供をいいます。
(注)特例輸出貨物とは、AEO輸出者(法令を遵守する体制を整えている輸出者として、あらかじめ税関長の承認を受けた認定輸出者をいいます。)等が輸出貨物を保税地域に搬入することなく、保税地域以外の場所に蔵置したまま輸出申告(特定輸出申告等)を行い、税関長の輸出の許可を受けた貨物のことをいいます。

記事に関連するお問い合わせ先 記事に関するお問い合わせは週刊「T&Amaster」編集部にお寄せください。執筆者に質問内容をお伝えいたします。
TEL:03-5281-0020 FAX:03-5281-0030 e-mail:ta@lotus21.co.jp
※なお、内容によっては回答いたしかねる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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