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解説記事2019年04月01日 【SCOPE】 IFRS等を踏まえてリース会計基準を開発へ(2019年4月1日号・№781)

オペレーティング・リースもオンバランスに
IFRS等を踏まえてリース会計基準を開発へ

 企業会計基準委員会(ASBJ)は3月22日、国際的な会計基準を踏まえ、日本においてもすべてのリースについて資産及び負債を認識するリース会計基準の開発(改正)に着手することを決めた。コストや適用上の懸念はあるものの、仮にオペレーティング・リースについて賃貸借処理に準じた会計処理を継続した場合には、重要な負債がオフバランスになっているとの指摘を国際的に受ける可能性があり、日本の資本市場及び企業の財務報告に対する信頼性に関するリスクが大きいとしている。

オフバランス継続なら財務報告の信頼性にリスク
 企業会計基準委員会では、2016年8月に公表した中期運用方針を踏まえ、日本におけるリース会計基準の開発に着手するか否かについて検討を行ってきた。IASB(国際会計基準審議会)は、2016年1月にIFRS第16号「リース」を公表(2019年1月から適用)。また、FASB(米国財務会計基準審議会)は2016年2月に会計基準更新書「リース」(Topic842)を公表(2018年12月15日から適用)しており、これらの会計基準は、借手の会計処理について、費用の計上パターンが異なるものの、すべてのリース取引を原則としてオンバランスする点では同様となっており、日本基準と大きく異なっているからだ(表1参照)。

 これまでの議論では、自動車リースなどのサービスとしての性格が強い契約について資産及び負債を認識することに対する懸念や延長オプションについてリース負債を認識することに対する懸念などが寄せられていた。
 しかし、①日本の会計基準において、重要なオペレーティング・リースについて賃貸借処理に準じた会計処理を継続することは、重要な負債がオフバランスになっているとの指摘を国際的に受ける可能性があり、日本の資本市場及び企業の財務報告に対する信頼性に関するリスクが大きい、②国際的な会計基準と整合性を図ることは、財務諸表間の比較可能性につながる、③格付機関などの財務諸表利用者の資産及び負債の計上に関するニーズがあることなどの理由から、日本においてもリース会計基準の開発に着手することとなった。
連単同一の会計処理なら税法にも影響  ただし、リース会計基準の開発に着手するといってもその前途は多難だ。従来どおりであれば、連結財務諸表と個別財務諸表において同一の会計処理が求められるが、個別財務諸表においては、税法などの関連諸法規等の利害調整に関係するものも多く、強い反対も予想される。
 なお、リース会計基準の開発に着手した場合に想定される論点は表2のとおりとなっている。

【表2】想定される主な論点
(1)費用配分のあり方  IFRS第16号における単一モデルと米国会計基準(Topic842)における2区分モデルとでは費用配分のパターンが異なるため、どのように費用配分するのか検討する。
(2)仮にIFRS第16号との整合性を図る場合その整合性の程度  仮にIFRS第16号との整合性を図る場合、文言レベルで整合性を図ることを基礎とするか、基本的なアプローチのみを取り入れる方法とするか検討する。また、現行のリース会計基準を改正するか、現行のリース会計基準を廃止して新たに会計基準を開発するかも含めて検討する。
(3)サービスに関してリースの対象とする取引の範囲  IFRS第16号及びTopic842では、特定された資産の使用により経済的便益を得る権利及び当該資産の使用を指図する権利を有しているかによりリースを識別することとされているが、その判断に従った場合、経済実態を表さない場合があるとの懸念が寄せられており、リースの対象とする取引の範囲を検討する。
(4)延長オプションがある場合の比較可能性を担保する方策  IFRS第16号及びTopic842では、延長オプションの行使可能性を「合理的に確実である(reasonably certain)」の閾値で評価することとされているが、適用上の判断の困難さが指摘されており、当該評価を行うにあたって比較可能性を担保する方策について検討する。
(5)重要性に関する定め  IFRS第16号及びTopic842においては重要性の閾値を明示的に定めていないが、重要性について比較可能性を害しない範囲で採りうる方策を検討する。
(6)連結財務諸表と単体財務諸表の関係  単体財務諸表への適用においては、周辺制度に与える影響や中小規模の連結子会社等におけるコスト等を踏まえ、連結財務諸表と同一の扱いとすべきかどうかについて検討する。
 (出典:企業会計基準委員会)

在外子会社等のリース取引は修正せず、ASBJが公開草案を公表
 企業会計基準委員会は3月25日、実務対応報告公開草案第57号(実務対応報告第18号の改正案)「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い(案)」を公表した(本誌775号40頁参照)。
 IFRS第16号「リース」が2019年1月から適用されているが、連結決算上、リースの取扱いについて在外子会社等の会計処理を修正する必要があるか否か定かではない。このため、今回の公開草案ではリースの取扱いについて修正しない旨を明らかにしている。5月27日まで意見募集し、正式決定する。なお、今回の改正実務対応報告は、新たな会計上の取扱いを定めるものではないため、公表日以後適用することとしている。

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