会社法ニュース2012年11月26日 意見不表明で上場廃止、東証決定は妥当(2012年11月26日号・№476) 東京地裁、東証の上場廃止決定に裁量権の逸脱濫用は認められず
意見不表明で上場廃止、東証決定は妥当
東京地裁、東証の上場廃止決定に裁量権の逸脱濫用は認められず
この事案は、東京証券取引所から上場廃止の決定を受けたインターネット総合研究所(IRI社)が、東証の上場廃止決定は上場廃止基準の解釈適用を誤ったもので、上場契約に違反する旨を主張して東証に対して50億円の損害賠償を請求していたもの。上場廃止の決定は、IRI社の中間監査報告書において監査法人が意見を表明しなかったこと、かつ、その影響が重大であると東証が認めたために行われていた。
また、監査法人の意見不表明は、IRI社の連結子会社であるIXI社が行った架空循環取引を巡り、IRI社の平成19年6月期の半期報告書において、IRI社が保有するIXI株式の簿価全額(約144億)が評価損計上されたことについて、IXI社の株式評価に係る十分な監査証拠を監査法人が入手できなかったことなどにより行われていたものだ。
東京地裁民事第7部の堀内明裁判長は、東証によるIRI社に対する上場廃止決定について、①意見不表明の原因がIXIグループの中間財務諸表項目等に対して、監査法人が十分な監査手続を実施できなかったという点にあること、②上場廃止決定の前年である平成18年6月期のIRI社の中間連結財務諸表において、IXI社グループの売上等が占める割合が総資産額において約51%、売上高において約73%、当期純利益において約77%であったことを指摘。平成19年6月期のIRI社の中間連結財務諸表等において、本来であればIRI社の連結業績等について大きな影響を持つはずのIXI社グループに関する事項について、客観的な信頼性が担保された数値が示されないという結果が生じたものであることは明らかであるとした。
そのうえで堀内裁判長は、この点を重視して意見不表明の影響が重大であると認めた東証の評価が明らかに合理性を欠いたものであって、その内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認めることはできないと指摘。IRI社に対する上場廃止決定について、東証に裁量権の逸脱濫用は認められないため、上場廃止決定は誤りであるとするIRI社の主張には理由がないと結論付けた。
東京地裁、東証の上場廃止決定に裁量権の逸脱濫用は認められず
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また、監査法人の意見不表明は、IRI社の連結子会社であるIXI社が行った架空循環取引を巡り、IRI社の平成19年6月期の半期報告書において、IRI社が保有するIXI株式の簿価全額(約144億)が評価損計上されたことについて、IXI社の株式評価に係る十分な監査証拠を監査法人が入手できなかったことなどにより行われていたものだ。
東京地裁民事第7部の堀内明裁判長は、東証によるIRI社に対する上場廃止決定について、①意見不表明の原因がIXIグループの中間財務諸表項目等に対して、監査法人が十分な監査手続を実施できなかったという点にあること、②上場廃止決定の前年である平成18年6月期のIRI社の中間連結財務諸表において、IXI社グループの売上等が占める割合が総資産額において約51%、売上高において約73%、当期純利益において約77%であったことを指摘。平成19年6月期のIRI社の中間連結財務諸表等において、本来であればIRI社の連結業績等について大きな影響を持つはずのIXI社グループに関する事項について、客観的な信頼性が担保された数値が示されないという結果が生じたものであることは明らかであるとした。
そのうえで堀内裁判長は、この点を重視して意見不表明の影響が重大であると認めた東証の評価が明らかに合理性を欠いたものであって、その内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認めることはできないと指摘。IRI社に対する上場廃止決定について、東証に裁量権の逸脱濫用は認められないため、上場廃止決定は誤りであるとするIRI社の主張には理由がないと結論付けた。
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