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税務ニュース2013年07月08日 ESOP導入企業の現行実務に影響なし(2013年7月8日号・№506) ASBJ、退職時給付型も従業員持株会型と同様の取扱いでOK

ESOP導入企業の現行実務に影響なし
ASBJ、退職時給付型も従業員持株会型と同様の取扱いでOK

日本版ESOP制度の会計処理の取扱いを定めた実務対応報告の公開草案が公表(9月2日まで意見募集)。
適用は平成26年4月1日から。導入企業には注記を要件に任意での適用を容認。現行実務に影響はなし。
従業員持株会型スキームだけでなく、退職時給付型及び在職時給付型も含め、基本的に会計処理の取扱いは同じ。
 企業会計基準委員会(ASBJ)は7月2日、実務対応報告公開草案第39号「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い(案)」を公表した。9月2日まで意見募集する。いわゆる日本版ESOP制度の会計処理の取扱いを取りまとめたものである。
 日本版ESOP制度とは、中間法人や信託といったビークルを利用して会社からの拠出金や金融機関等の借入等を用いて、将来、従業員に付与する株式を一括して取得し、当該株式を一定期間保有した後に従業員に付与するという自社株式保有スキームのことである。日本では、従業員持株会型と呼ばれるスキームを中心に、150社を超える上場企業が利用している。現在でも利用企業が増加している状況となっており、最近では、退職時給付型や在職時給付型といった新たなスキームが登場するなど、種類も多様化している。しかし、統一的な会計処理はなく、企業の間で会計処理にバラつきがある。このため、日本公認会計士協会などから実務対応報告などの策定が求められていた。
 取りまとめられた実務対応報告案については、平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用される。実務対応報告公表後に終了する事業年度から適用することも可能だ。ただ、すでに同制度を導入している企業に配慮し、これらの企業は注記を要件に任意適用としている。現行の取扱いを継続することも可能となるため、現行実務には全く影響はないといえる。
 なお、注記は(1)取引の概要、(2)当該取引について、従来採用していた方法により会計処理を行っている旨、(3)信託が保有する自社の株式に関する次の事項、①信託における帳簿価額、②当該自社の株式を株主資本において自己株式として計上しているか否か、③期中株式数および期中平均株式数、④③の株式数を1株当たり情報の算出上、控除する自己株式に含めているか否かを記載することになる。
 会計処理に関しては、当初は前述の3類型(従業員持株会型、退職時給付型および在職時給付型)について会計処理を検討していたが、最終的には3類型ともほぼ同様の取扱いとすることで決着している。
 具体的には、従業員持株会に信託を通じて自社の株式を交付する取引および受給権を付与された従業員に信託を通じて自社の株式を交付する取引(退職時給付型および在職時給付型)で用いられる信託については、企業は期末に総額法を適用し、信託の財産を企業の個別財務諸表に計上する。総額法により個別財務諸表に計上した信託については、子会社または関連会社に該当するか否かの判定は要しないことになる。
信託による自社の株式の取得が、企業による自己株式の処分により行われる場合、企業は信託からの対価の払込期日に自己株式の処分を認識することになる。
 また、期末における総額法等の会計処理の留意点として、①企業は信託に残存する自社の株式を株主資本において自己株式として計上する、②信託の損益(信託が保有する株式に対する企業からの配当金および信託に関する諸費用)の純額が正の値となる場合には企業において負債に計上し、負の値となる場合には資産に計上する、③自己株式の処分および消却時の帳簿価額の算定上、企業が保有する自己株式と信託が保有する自社の株式の帳簿価額は通算しないとされている。
 加えて、従業員持株会型スキームでは、信託において借入金の返済原資が不足する場合、債務保証の履行により企業が不足額を負担することになるため、企業の負担の可能性がある場合には負債性の引当金の計上の要否を判断することになるとしている。
 注記としては、①取引の概要、②総額法の適用により計上された自己株式について、純資産の部に自己株式として表示している旨、帳簿価額および株式数、③総額法の適用により計上された借入金の帳簿価額を記載することになる。
 また、総額法の適用により計上された自己株式は、1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含め、1株当たり純資産の算定上、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含める。なお、総額法の適用により計上された自己株式を、控除する自己株式に含めている旨並びに期末および期中平均の自己株式の数を注記する。
 株主資本等変動計算書には、①当期首および当期末の自己株式数に含まれる信託が保有する自社の株式数、②当期に増加または減少した自己株式数に含まれる信託が取得または売却、交付した自社の株式数、③配当金の総額に含まれる信託が保有する自社の株式に対する配当金額を注記することとしている。

退職時給付型および在職時給付型スキーム  退職時給付型スキームとは、自社の株式を信託に予め取得させ、企業の規程に従って従業員にポイントを付与し、退職時には累積ポイントに対応する自社株式を信託から給付してもらう制度のことである。
 また、在職時給付型スキームとは、退職時給付型とほぼ同様の仕組みだが、5年程度の信託期間終了時に自社株式を信託から給付してもらう制度のこと。ストック・オプションと同様、自社株式を用いたインセンティブ・プランの1つである。

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