会計ニュース2016年01月18日 監査契約の更新は新規契約に該当せず(2016年1月18日号・№626) 新規契約締結の業務停止での被監査会社への影響は軽微
監査契約の更新は新規契約に該当せず
新規契約締結の業務停止での被監査会社への影響は軽微
金融庁は昨年の12月22日、東芝の監査を行っていた新日本有限責任監査法人(東京都千代田区)に対して、3か月間の契約の新規の締結に関する業務の停止処分及び業務改善命令を行った。併せて21億1,100万円の課徴金納付命令に係る審判手続を開始した。監査法人に対する課徴金納付命令は初めてのケースだ。
なかでも新日本有限責任監査法人の被監査会社にとって注目されるのは、平成28年1月1日から同年3月31日までの3か月間にわたる「契約の新規の締結に関する業務の停止」処分である。今回の処分により、新たな監査契約を締結できないだけでなく、監査以外の業務についても新規契約を締結することができなくなるわけだが、既存の監査契約の更新が対象になるのか不明だからだ。
例えば、新規契約の業務の停止期間中には10・11・12月決算会社の株主総会が控えている。会計監査人に関しては株主総会で選任されることになるわけだが、監査契約の更新が前述の「契約の新規の締結に関する業務の停止」に該当するかが論点になる。
この点、金融庁によると、「契約の新規の締結に関する業務の停止」とは、一定期間、監査法人の業容の拡大を禁止することを目的としたものであるため、既存の監査契約の更新など、業務の拡大につながらないものについては、禁止の対象にはならないとしている。善意の第三者である被監査会社に対して影響を与えるものではないということだ。
このほか、個別判断にはなるものの、①既存契約に密接に関係した契約の新規締結(既存の関与先の会社が分割した場合など)、②新規上場クライアントに対し既存の任意契約を金融商品取引法上の監査契約に切り替える場合、③既存の契約締結先が過年度財務諸表を遡及修正する際に所要の監査を実施する場合については、基本的に「契約の新規の締結に関する業務の停止」の業務には該当しないことになる。
なお、既存の契約が、今回の処分を見据えて直前に急きょ締結されたものである場合には、既存契約に関連する業務とはみなされないケースもあり得るので注意したい。
新規契約締結の業務停止での被監査会社への影響は軽微
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なかでも新日本有限責任監査法人の被監査会社にとって注目されるのは、平成28年1月1日から同年3月31日までの3か月間にわたる「契約の新規の締結に関する業務の停止」処分である。今回の処分により、新たな監査契約を締結できないだけでなく、監査以外の業務についても新規契約を締結することができなくなるわけだが、既存の監査契約の更新が対象になるのか不明だからだ。
例えば、新規契約の業務の停止期間中には10・11・12月決算会社の株主総会が控えている。会計監査人に関しては株主総会で選任されることになるわけだが、監査契約の更新が前述の「契約の新規の締結に関する業務の停止」に該当するかが論点になる。
この点、金融庁によると、「契約の新規の締結に関する業務の停止」とは、一定期間、監査法人の業容の拡大を禁止することを目的としたものであるため、既存の監査契約の更新など、業務の拡大につながらないものについては、禁止の対象にはならないとしている。善意の第三者である被監査会社に対して影響を与えるものではないということだ。
このほか、個別判断にはなるものの、①既存契約に密接に関係した契約の新規締結(既存の関与先の会社が分割した場合など)、②新規上場クライアントに対し既存の任意契約を金融商品取引法上の監査契約に切り替える場合、③既存の契約締結先が過年度財務諸表を遡及修正する際に所要の監査を実施する場合については、基本的に「契約の新規の締結に関する業務の停止」の業務には該当しないことになる。
なお、既存の契約が、今回の処分を見据えて直前に急きょ締結されたものである場合には、既存契約に関連する業務とはみなされないケースもあり得るので注意したい。
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