カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

税務ニュース2017年01月16日 有利発行事件確定なら再び課税拡大も(2017年1月16日号・№674) IBM判決の適用事例は既に発生

有利発行事件確定なら再び課税拡大も
IBM判決の適用事例は既に発生

近年、大型税務訴訟の判決を根拠に課税が行われるケースが散見。既にIBM事件判決を踏まえた法人税法132条に係る裁決事例も発生。
同様のことは、有利発行事件でも起こる可能性。本年中にも最高裁の判断が示される可能性がある神鋼商事事件の行方次第では、再び有利発行に対する課税が活発化する恐れも。
 近年、税額が巨額に上るうえに、実務への影響も大きい大型税務訴訟が相次いで確定したが、これらの判決を根拠に課税が行われるケースが発生している。
 昨年にはIBM事件(2016年2月18日上告不受理決定)、ヤフー・IDCF事件(同年2月29日上告棄却)が相次いで確定したところだが、このうちIBM事件判決を適用したと思われる裁決事例が既に発生している。それが本誌668号(4頁~)で紹介した“グループ法人税制外し”の事例だ。
 IBM事件高裁判決では、それまでの行為計算否認規定の適用に係る通説(42頁参照)の「租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しないと認められること」という部分は不要とし、「行為又は計算が、純粋経済人として不合理、不自然なもの、すなわち、経済的合理性を欠く」ことだけが法人税法132条の適用要件である旨判示された。
 IBM事件高裁判決後に裁決が出たグループ法人税制外しの事例で、請求人の「132条1項に規定する『不当』とは『異常ないし変則的で租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しないと認められることをいう』」との主張を、審判所が「文理上、否認対象となる同族会社の行為又は計算が専ら租税回避目的でされたことを必要としていない」と一蹴したのも、明らかにIBM事件判決を念頭に置いてのことだろう。今後同様の事案が発生した場合、税務当局もIBM事件判決を踏まえて納税者に対峙してくるはずであり、132条による課税を納税者が跳ね返すのは至難の業となっている。
 同様のことは、有利発行事件においても起こり得る。ある大手商社の有利発行事件が平成24年に最高裁の上告不受理で確定(納税者敗訴)したことによって全国一斉に同様の課税が行われたところだが、その際に課税を受けた神鋼商事による税務訴訟が発生、本訴訟が裁判所や課税当局による法令の解釈と通達の理解の誤りを指摘したものであったことから(本誌626号8頁参照)、現在のところ課税は収まっている。しかし、本年中にも最高裁の判断が示される可能性がある神鋼商事事件の行方次第では、再び有利発行に対する課税が活発化する恐れがあろう。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索