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会社法ニュース2020年11月27日 子会社役員への株式報酬で事務負担増も(2020年11月30日号・№860) 取締役会での割当決議やプレスリリースの記載が複数必要になる可能性

  • 改正会社法上の株式報酬の「無償」交付、持株会社の子会社の取締役等(かつ、上場親会社の取締役や執行役ではない者)は対象外。
  • 取締役会での割当決議やプレスリリースにおける記載が複数必要になる可能性も。

 周知の通り、2021年3月1日に施行される改正会社法の202条の2(取締役の報酬等に係る募集事項の決定の特則)により、株式報酬を「無償」で支給することが可能となる。現行会社法では、株式の発行は金銭等の「払込み」があることを前提としているため(会社法199条①二〜四)、これまでは、取締役会等が会社への役務提供により得る「報酬債権」を会社に「現物出資」し、これと引き換えに株式の交付を受けるという手法がとられてきたが、今後はこのような技巧的な手続きは不要となる。
 ただし、改正会社法202条の2第1項には「金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社は……」(すなわち上場会社)との限定があり、同一号には「取締役の報酬等」との限定がある(すなわち、執行役員や監査役は対象外)。さらに改正会社法361条1項三号には、「報酬等のうち当該株式会社の募集株式」とあるため、交付対象は「自社」の株式に限定されることになる。すなわち、株式無償交付の対象者はあくまで「上場会社」である「自社の取締役等(取締役、執行役)」に限られる一方、自社の監査役や執行役員、子会社の取締役等には株式報酬の無償支給はできないということだ。
 これにより大きな影響を受けるのは、上場持株会社の子会社だろう。持株会社グループでは子会社がグループ損益の大部分を生み出しているにもかかわらず、子会社の取締役等(かつ、上場親会社の取締役や執行役ではない者)に対して親会社の株式を無償で交付することはできない。このため、上場会社の取締役等以外への株式報酬は、従来通り、金銭報酬債権の払い込みによる有償交付という形をとらざるを得ない。
 改正会社法が無償による株式報酬の対象を限定したのは、本改正を新株発行手続規制の改正ではなく、あくまで「役員報酬手続規制」の範疇の改正と整理したかったからだと思われる。仮に前者の趣旨で例外を作ると、日本の会社法の“本丸”である資本充実原則が脅かされかねないからだ。
 無償交付、有償交付とも最終形は実質的に同じとはいえ、取締役会での割当決議やプレスリリースにおける記載が複数必要になる可能があり、企業の事務負担は増加しかねない点、留意する必要があろう。

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