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解説記事2019年09月23日 レポート 平成31年3月期における会計方針の変更(2019年9月23日号・№804)

レポート
平成31年3月期における会計方針の変更
出荷基準から収益認識基準を変更する企業も


 東京証券取引所などに上場している企業の平成31年3月期決算会社では15社の監査報告書において、会計方針の変更に関する強調事項が付されたことが本誌の調査でわかった(次頁以降参照)。強調事項のうち、11社が固定資産の減価償却方法を定率法から定額法に変更するものとなっている。また、収益認識に関する会計基準の適用前に収益認識基準を変更する企業も見られた。

11社が定率法から定額法に変更
 強調事項に付された15社のうち、最も多かったのは減価償却方法を定率法から定額法に変更した11社である(下記参照)。

フタバ産業、PALTAC、亀田製菓、キョーリン製薬ホールディングス、キッツ、尾張精機、日東紡績、メディパルホールディングス、村田製作所、中村屋、ニチレキ

 例えば、フタバ産業では、「過去のプロジェクトにおいては、金型の専用性が高いことから耐用年数の前半は稼働が高く、後半は相対的に低かったことから、新しい資産ほど償却が多い定率法が合理的と判断しておりました。一方で、近年のプロジェクトにおいては、部品共通化を進めていることにより、耐用年数にわたり安定的・平準的に使用するように変わってきていることから、定額法を採用することがより適切であると判断しました」としている。
 収益認識に関する会計基準(令和3年4月1日以後開始する事業年度等から適用)の適用前に収益認識基準を変更する企業も見られた。本多通信工業は、国内向けの物品販売について出荷基準により収益を認識していたが、顧客への着荷日に収益を認識する方法に変更している。同社では「当社の新基幹情報システム導入に伴い管理体制を見直した結果、重要なリスクと経済価値の移転の客観性および確実性を考慮し、着荷基準を採用することにより、実態をより適切に反映させることができると判断したためです。」としている。
 なお、収益認識に関する会計基準では、従来の実務に配慮し、商品又は製品の国内の販売において、出荷時から当該商品又は製品の支配が顧客に移転される時(例えば顧客による検収時)までの期間が通常の期間である場合には、出荷時から当該商品又は製品の支配が顧客に移転される時までの間の一時点(例えば、出荷時や着荷時)に収益を認識することができることとしている。
 また、名古屋電機工業では、研究開発活動における一部費用について、従来は製造原価として売上原価に計上していたが、販売費および一般管理費として計上する方法に変更している。近年、他社との新製品開発競争で高い技術力が求められており、研究開発としての要素が強まり原価性が乏しくなってきたことを理由に挙げている。

【全国証券取引所における平成31年3月期決算会社に係る会計方針の変更に関する注記の強調事項の記載状況】

会社名 業種
(上場区分)
強調事項の内容(一部抜粋) 監査法人等
近鉄グループホールディングス 陸運(東証1部) 会計方針の変更に記載されているとおり、会社は「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号 平成30年2月16日)を当事業年度の期首から適用している。(※個別財務諸表) 有限責任あずさ監査法人
フタバ産業 輸送用機器(東証1部) 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、会社は当連結会計年度より金型の減価償却方法について定率法から定額法に変更している。 PwCあらた有限責任監査法人
PALTAC 卸売(東証1部) 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、会社は、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、従来、定率法(ただし、1998年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)並びに2016年4月1日以降に取得した建物附属設備及び構築物については定額法)を採用していたが、当事業年度より定額法に変更している。 有限責任あずさ監査法人
亀田製菓 食料品(東証1部) 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、会社及び一部の連結子会社は、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、従来、主として定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 有限責任監査法人トーマツ
キョーリン製薬ホールディングス 医薬品(東証1部) 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、有形固定資産の減価償却方法について、従来、会社及び国内連結子会社は主として定率法を採用していたが、当連結会計年度より、定額法に変更している。 EY新日本有限責任監査法人
キッツ 機械(東証1部) 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、伸銅品事業を営む連結子会社は、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、従来、主として定率法を採用していたが、当連結会計期間より定額法に変更している。 EY新日本有限責任監査法人
本多通信工業 電気機器(東証1部) 会計方針の変更に記載されているとおり、会社は、第2四半期連結会計期間より、収益認識基準を変更している。 東陽監査法人
尾張精機 輸送用機器(名証2部) 会計上の見積りの変更と区分することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、有形固定資産の減価償却方法について、従来、会社及び国内連結子会社は主として定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 監査法人コスモス
日東紡績 ガラス・土石製品(東証1部) 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、会社及び国内連結子会社は、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、従来、主として定率法を採用していたが、当連結会計期間より、定額法へ変更している。 有限責任監査法人トーマツ
メディパルホールディングス 卸売(東証1部) 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、会社は、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、従来、定率法(ただし、1998年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)並びに2016年4月1日以降に取得した建物附属設備及び構築物については定額法)を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 有限責任あずさ監査法人
名古屋電機工業 電気機器(東証2部) 会計方針の変更に記載されているとおり、会社は研究開発活動における一部費用について、従来、製造原価として売上原価に計上していたが、当事業年度より販売費及び一般管理費として計上する方法に変更している。(※個別財務諸表) 監査法人東海会計社
村田製作所 電気機器(東証1部) 注記事項「会計方針の変更」の「有形固定資産の減価償却方法の変更」に記載されているとおり、会社は、有形固定資産の減価償却方法について、従来、定率法を採用していたが、2018年4月1日より定額法に変更している。(※個別財務諸表) 有限責任監査法人トーマツ
中村屋 食料品(東証1部) 会計方針の変更に記載されているとおり、会社は、当事業年度より有形固定資産の減価償却方法を変更している。 至誠清新監査法人
エムスリー サービス(東証1部) 連結財務諸表注記「4 会計方針の変更」に記載されているとおり、会社は当連結会計年度より、IFRS第9号「金融商品」を適用し、比較情報の修正再表示を行い、影響額を注記している。 PwCあらた有限責任監査法人
ニチレキ 石油・石炭製品
(東証1部)
会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、会社及び国内連結子会社は、当連結会計年度より有形固定資産の減価償却方法を変更している。 監査法人日本橋事務所

(EDINETに基づき編集部が作成)

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