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解説記事2021年02月22日 SCOPE 日産自動車、再保険に係るCFC税制の非関連者基準巡り訴訟(2021年2月22日号・№871)

海外保険子会社への課税処分が相次ぎ紛争化
日産自動車、再保険に係るCFC税制の非関連者基準巡り訴訟


 本誌844号では、外国子会社合算税制(CFC税制)の非関連者基準の適否を巡り、元受保険契約に係る保険が同税制上の「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険に係るもの」に該当するかが争われた裁決についてお伝えしたが、裁決を不服とした日産自動車(株)が訴訟を提起し、現在、東京地裁で係争中であることがわかった。
 保険業に対するCFC税制の適用という論点では、米国に設立されたキャプティブ保険子会社に適用された事例もあり(本誌787号)、こちらも東京地裁で係争中である。近年、CFC税制を巡る課税当局の対応が厳しさを増す中、東京地裁の判断が注目される。

「保険の目的」は関連者の債権回収か、非関連者の身体等に係る保険危険か

 本件は、原告の子会社で保険業を営むバミューダ法人(NGRE社)が、外国子会社合算税制の適用除外要件である非関連者基準を満たすかどうかが争われているもの。保険業についての非関連者基準は、各事業年度の収入保険料の合計額のうち、非関連者との取引に係るものが50%以上であることとされ(措令39条の117⑧五(平成28年政令第159号による改正前のもの))、保険料収入が再保険に係るものである場合には、非関連者取引は「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険に係る収入保険料に限る」(同括弧書)とされている(ただし再保険については現行法令上も同様)。本件の論点は、NGRE社が非関連者との間で締結した再保険契約の対象となった元受保険契約に係る保険が、この括弧書(本件括弧書)に規定する保険に該当するか否かという点だ。
 原告の関連者であるNRFM社は、自動車を購入する顧客との間で、その購入資金を貸し付ける旨の契約を締結したが、その際、顧客は所定の条件を満たす生命保険等への加入を義務付けられていた。顧客は、他の保険に加入しない場合は、NRFM社がAVM社(非関連者)との間で締結した元受保険(本件元受保険)契約に加入することとなっており、さらに、AVM社は、本件元受保険契約上引き受ける全保険リスクの70%をNGRE社に出再する内容の再保険契約をNGRE社との間で締結した(参照)。

 処分行政庁は、本件元受保険は、関連者であるNRFM社が各顧客(本件各顧客)に対して有する債権(本件各債権)を保険の目的とする保険であるから、本件括弧書に規定する保険には該当せず非関連者基準を満たさないとして更正処分等を行ったが、原告は審査請求において、本件元受保険は、非関連者である本件各顧客の死亡や身体の障害など、本件各顧客に帰属する保険危険を担保する保険であるから本件括弧書に規定する保険に該当すると主張した。
 これに対し国税不服審判所は、「本件元受保険契約は、本件各顧客の死亡又は失業又は全身の障害という保険事故に関し一定の保険給付を行うことを約する内容のものであり、少なくとも、保険事故が発生した場合に、保険金がNRFM社に支払われることによりNRFM社が有する本件各債権の回収を確実にし、本件各債権の回収不能の危険を排除することが本件元受保険契約上予定されていることは明らかである。」として、本件元受保険契約は「本件各顧客が有する資産に生ずる損害又は本件各顧客が損害賠償責任を負うことによって被る損害の補填を約する内容のものではない」と判断し、原告の主張を斥けた。
原告、「保険の目的」は税法固有の概念と主張
 原告は、訴訟においても審査請求時と同様に、「本件括弧書における『保険の目的』とは、保険法の『保険の目的物』からの借用概念ではなく、租税法令固有の概念であり、その趣旨に従って解釈されるものである」「そうである以上、非関連者基準における再保険契約についての『保険の目的』は元受保険によって担保される保険危険が、非関連者又は関連者のいずれに帰属するのかが問われるものである」「本件における『保険の目的』とは、被保険者である本件各顧客の死亡、恒久的な全身の障害、一時的な全身の障害又は非自発的失業、ひいては生活を維持する能力や所得を稼得する能力の喪失という保険危険を意味する」「保険金の支払手続及び保険料の出捐者が本件顧客であることもまた、保険危険が被保険者に帰属することを端的に示している」などと主張している。
 近年、CFC税制を巡る課税当局の対応が厳しさを増す中、東京地裁の判断か注目される。

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