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税務ニュース2021年03月19日 裁判上の解決金巡り納税者の控訴棄却(2021年3月22日号・№875) 東京高裁も、「株式の取得対価の返金」ではなく「損害賠償金」と判断

  • 裁判上の和解に基づく解決金を「損害賠償金」として益金算入すべきか、あるいは「株式の取得対価の返金」として益金算入不要かを争点とする裁判で納税者の控訴棄却(令和3年3月11日東京高裁第24民事部)。

 M社(控訴人)は、A社の株式を公開買付けにより取得したが、A社の不適切な会計処理が判明したため、A社の筆頭株主で代表取締役であったB氏らに対し、A社株式取得のために過大な支払いをしたことによる損害が生じたとして訴訟を提起した。その後、当該訴訟は裁判上の和解が成立し、同社は、B氏らから合計1億4,000万円を解決金として受領した。
 M社は、和解条項第2項の「本件解決金の支払は、請求人によるA社の株式の取得対価が過大であったことを理由とするものであることを確認する」旨の記載などから、当該解決金を「株式の取得対価の返金」と主張。東京地裁は、和解条項第2項の記載については、本件解決金が本件B氏所有株式の売買代金の減額分であることとも整合する事情であるとしつつも、対象となる株式を本件B氏所有株式に限定していない点や、支払義務が売主であるB氏のみではなく、元取締役C氏及びD氏も含めた一つの連帯債務として構成されている点に着目、本件解決金の法的性質を損害賠償金とみるべきとした(本誌846号11頁参照)。
 これを不服としたM社は控訴したが、東京高裁も原判決を支持し、控訴人M社の補充主張はすべて排斥された。
 東京高裁は、M社の「原判決が控訴人の真意ではありえない損害賠償金と認定したのは誤りである」との補充主張に対し、「本件解決金の法的性質が当事者間で具体的に議論されたという経緯も見当たらず、B氏と控訴人との間に本件B氏所有株式の売買代金を減額するとの合意が明示又は黙示に成立したとの事情はうかがわれない。」と指摘。また、「B氏らが連帯して債務を負担することになったのは、B氏らから提案があり、控訴人が特に異議を述べる必要がなかったからそのまま本件和解条項に反映されただけにすぎない」とのM社の主張に対しては、「本件B氏所有株式の売買代金の一部返還であることに控訴人が強く固執していたのであれば、損害賠償の連帯債務と解釈される可能性が極めて高い本件和解条項第1項を法律の専門家である弁護士らがそのまま採用していたのは不可解」とするなど、M社の主張をすべて斥けた。
 東京高裁判決は、一部M社側の主張に沿う余地も見せた地裁判決よりもさらに厳しい判断を下したといえよう。

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