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解説記事2021年12月20日 SCOPE 「部内版MDR連絡せん」でスキーム事案の情報集約(2021年12月20日号・№911)

当局、調査困難事案対応の制度改正も視野
「部内版MDR連絡せん」でスキーム事案の情報集約


 租税回避スキームのうち現行制度では課税が困難な事案の蓄積・分析を行うため、国税当局が令和3事務年度から「部内版MDR連絡せん」を作成していることがわかった。調査担当者等が作成した「部内版MDR連絡せん」は、国税局の富裕層・国際担当統括国税実査官(統実官)等を経由し、国税庁課税総括課調査困難事案対応担当に集約される。国税当局は、スキーム事案を分析することで制度改正・運用改善につなげていく考えだ。

BEPSプロジェクトとは別、国税組織内での情報集約

 国税当局は、調査、申告審理、法定監査等の際に租税回避が想定される取引等の情報を把握した場合、「調査情報連絡せん」や「国際取引連絡せん」(次頁参照)等を作成しているが、令和3事務年度から当該連絡せんに加え、「部内版MDR連絡せん」を併せて作成することとした。
 「部内版MDR連絡せん」を作成する目的は、租税回避を図っていると想定される事案のうち現行制度では課税が困難である事案(スキーム事案)を組織的に蓄積・分析し、制度改正や運用改善につなげていくというもの。内部文書で調査担当者等が把握したスキーム事案の内容を庁課税総括課調査困難事案対応担当に集約する手続を定めている。
 なお、MDR(Mandatory Disclosure Rules)は、OECD「BEPSプロジェクト」策定の「BEPS行動計画12:義務的開示制度(プロモーター及び利用者が租税回避スキームを税務当局に報告する制度)」であるが、「部内版MDR」は、国税組織内で情報集約を行うものとなる。

「調査情報連絡せん」「国際取引連絡せん」が作成されるケース
 「調査情報連絡せん」は、①同業者間・特定の納税者グループ(同業者間等)で類型的に行われていると認められる不正取引(裏取引、偽装取引)等、②同業者間等で行われている特異な取引・商習慣、③有効な資料源(国際的租税回避スキームに関するものを含む)等を把握した場合に作成されるもの。「国際取引連絡せん」は、海外取引、海外投資等を通じた租税回避等が想定される取引等に係る情報(端緒情報を含む)を把握した場合に作成される(国際取引連絡せんの詳細については、本誌844号特集参照)。

事前照会で把握、庁審理室にスキーム情報を提供

 「部内版MDR連絡せん」は、調査(企画)担当者や審理担当者等が対象事案を把握した場合に作成され、局主務課(個人・資産・法人課税課等)から局統括国税実査官(東京局の場合は富裕層担当統実官、大阪局は国際担当統実官)を経由し、庁調査困難事案対応担当に回付される。
 また、局審理課が事前照会(文書回答に係る事務を含む)で対象事案を把握した場合は庁審理室、局査察部が対象事案を把握した場合は庁査察課にスキーム情報が提供され、庁調査困難事案対応担当に連絡せんが交付される(参照)。

 なお、事前照会に対する文書回答手続については、令和3年6月の事務運営指針改正で「税の軽減を主要な目的とするもの」「通常の経済取引としては不合理と認められるもの」も照会範囲に含まれることとされた。

税制改正を要する法令、改正案の検討内容も記載

 「部内版MDR連絡せん」には、①事案の類型(10類型)、②調査対象者等(名称・業種)、③税目(該当するスキームに関係する税目)、④利用者(個人(居住者・非居住者)、内国法人等、外国法人等)、⑤非違額(見込みを含む)、⑥スキーム概要(取引の時系列に沿って付番)・想定図(複雑なスキームの場合に作成)・把握した方法・必要な税制改正の内容(税制改正を要する法令がある場合は該当する法令の内容、改正案を検討している場合は検討内容も併せて記載)等の記載欄が設けられている。ただし、「調査情報連絡せん」「国際取引連絡せん」及び調査関係書類等の記載内容と重複する記載事項については、その写しを添付することで省略可能とされている。

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