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解説記事2022年03月14日 ニュース特集 インボイス登録申請に関する実務家からの疑問点(2022年3月14日号・№922)

ニュース特集
国税庁への取材で確認
インボイス登録申請に関する実務家からの疑問点


 適格請求書発行事業者の登録申請が令和3年10月1日より開始されているが、国税庁は2月4日、申請の際の誤りやすい事項を公表するとともに、登録申請書の記載例を公表している(今号8頁参照)。登録申請書に関しては、実務家から記載要領が不明確といった疑問の声(熊王征秀「登録申請書の雛形に関する疑問点」本誌917号参照)が上がっている。国税庁にも多くの質問が寄せられているようだ。本特集では、今回の記載例のほか、いまだ解決していない実務家からの疑問に対して取材で判明した事項について解説する。

国税庁が誤りやすい事項を記載例で注意喚起

 適格請求書発行事業者の登録申請が令和3年10月1日より開始されている。複数税率に対応した仕入税額控除の方式である適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)が導入される令和5年10月1日から登録を受けようとする場合には、令和5年3月31日までに納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申請書」)を提出する必要がある。
 また、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、消費税課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者になる必要があるが、登録日が令和5年10月1日の属する課税期間中である場合は、課税選択届出書を提出しなくても登録できる経過措置が設けられている。なお、この免税事業者の経過措置は、令和4年度税制改正により令和11年9月30日まで6年間延長される予定である。
 この適格請求書発行事業者の登録申請書に関しては、国税庁が2月4日に、申請の際の誤りやすい事項(表1参照)を公表するとともに、「適格請求書発行事業者の登録申請書」の記載例を公表している。誤りやすい事項及び記載例では、例えば、登録申請書(次葉)の「登録要件の確認」の「課税事業者です。」欄は全ての事業者において記載が必要であるとし、免税事業者であっても適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、「はい」をチェックする必要があるとしている。

疑問点1〜免税事業者が令和5年から課税事業者になるケース

 記載例が改めて公表されたわけだが、まだすべての疑問点が解消したわけではない。登録申請書を記載する上で実務家から寄せられた主な疑問点をみてみることにしよう。
提出時点で「事業者区分」欄にチェック
 まず、登録申請書(初葉)の「事業者区分」欄(表2参照)には「課税事業者」又は「免税事業者」のいずれかに必ずチェックすることになるが、提出時点で該当する区分にチェックすることになる。したがって、免税事業者に該当する場合には、「免税事業者」にチェックするとともに、次葉の「免税事業者の確認」欄を記載することになる。

 ここで1つ目の疑問点は、免税事業者が令和4年中に登録申請を行う場合で、令和3年中の課税売上高が1,000万円を超えることになり、令和5年は課税事業者になることが決まっている場合だ。次葉の「免税事業者の確認」欄(表3参照)の上部は、「令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受ける場合」とされており、下部は「課税事業者(選択)届出書を提出しており、課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受ける場合」とされているため、どちらのケースにも該当しない。このため、課税事業者になることが分かっていても次葉の「免税事業者の確認」欄の□にチェックをすることになるのかといった疑問である。

「免税事業者の確認」欄の下部にチェック
 この点、国税庁は、「免税事業者の確認」欄の下部の「課税事業者(選択)届出書を提出しており、課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受ける場合」にチェックすればよいこととしている。適格請求書等保存方式については法令の規定が細部にわたっており、1枚の申請書に齟齬なく記載することは難しいというのが実情のようだ。
 なお、登録申請書の提出時点で免税事業者であるものの、令和5年9月30日までに課税事業者となる場合には、登録日以降ではなく、課税事業者となった日以降の取引について消費税の申告が必要になる。

疑問点2〜課税事業者が令和5年に免税事業者になるケース

 2つ目の疑問は、課税事業者が令和4年中に登録申請を行う場合で、令和5年は免税事業者になる場合だ。経過措置の適用により、令和5年10月1日より適格請求書発行事業者になるわけだが、登録申請書(初葉)の「事業者区分」欄(表2参照)には「課税事業者」にチェックしているにもかかわらず、「免税事業者の確認」欄(表3参照)の上部の□にチェックすることになるのかという疑問である。
 この点、国税庁によると、登録申請時は課税事業者であるため、「免税事業者の確認」欄には何も記載せず、次葉の「登録要件の確認」欄(表4参照)の「課税事業者です。」の「はい」の□にチェックすることになるとしている。

 なお、登録申請書の提出時点で課税事業者であった者が、令和5年9月30日までに免税事業者となった場合でも、適格請求書発行事業者として登録された日以降は、再び課税事業者となり、登録がされた日以降の取引について消費税の申告が必要になる。

疑問点3〜免税事業者が令和5年9月30日以前に課税事業者になるケース

 3つ目の疑問は「免税事業者の確認」欄(表3参照)の下部の記載についてである。登録申請書の記載要領では、「消費税課税事業者届出書」又は「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、納税義務の免除の規定の適用を受けないこととなる課税期間の初日から登録を受けようとする事業者に該当する場合、「消費税課税事業者届出書」又は「消費税課税事業者選択届出書」の「適用開始課税期間(自)」欄に記載した年月日を「課税期間の初日」欄に記載するとされているが、ただし書きとして、課税期間の初日が令和5年10月1日から令和6年3月31日の場合に限るとされている。このため、①令和3年中の課税売上高が1,000万円を超えたことにより、令和5年が課税事業者となる個人事業者、②令和4年中に「課税事業者選択届出書」を提出したことにより、令和5年が課税事業者となる個人事業者、③令和4年1月1日から6月30日の課税売上高が1,000万円を超えたことにより、令和5年が課税事業者となる個人事業者になる場合については、「免税事業者の確認」欄の下部への記載ができないことになる。
 国税庁が公表した記載例では、申請書の提出時点は免税事業者でも、令和5年9月30日以前に課税事業者となる場合は、令和5年9月30日以前の日を記載して差し支えない旨を明らかにしている。ただし、この場合も、登録年月日は令和5年10月1日となる。

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