会社法ニュース2022年06月03日 買収防衛策廃止を巡り監査役に解任請求(2022年6月6日号・№933) 監査役の判断と異なる裁判所の招集許可決定も善管注意義務違反なし
 本件は、現在、東証スタンダード市場に上場する乾汽船(被告)の総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主である原告のアルファレオホールディングス合同会社が、被告会社の監査役ら(被告)において、被告会社の取締役会が買収防衛策の廃止を株主総会の目的事項としないことに異議を述べなかったことなどから、被告監査役らの解任を請求した事件である。
 原告は、会社法297条1項に基づき、株主総会の目的事項として、買収防衛策の廃止を含む5事項を挙げて臨時株主総会招集の請求を行ったが、被告会社は、定款上、買収防衛策の廃止は取締役会決議によることができるため、臨時株主総会の議案として取り上げなかった。その後、東京地裁は原告の申立てを受け、会社法297条4項に基づき買収防衛策の廃止を目的事項として臨時株主総会招集許可決定を行った。招集許可決定に基づき臨時株主総会が開催されたものの、買収防衛策の廃止は否決された。
 原告は、裁判所による招集許可決定がなされているため、被告監査役らが買収防衛策の廃止を議案として取り上げないことに異議を申し立てなかったことは会社法違反などに該当すると主張した。
 東京地方裁判所(内林尚久裁判官)は、結果的には監査役らの判断とは異なる内容の招集許可決定がなされているものの、被告監査役らは、被告会社の代表取締役から①会社法上、取締役会設置会社の株主総会では、会社法及び定款所定の事項に限り決議できる旨が定められていること、②会社法及び定款には、買収防衛策の廃止が株主総会決議事項として定められていないこと、③買収防衛策の廃止に係る株主提案権の行使を認めない裁判例(ヨロズ事件決定(東京高等裁判所令和元年5月27日決定))が存在していることから、買収防衛策の廃止議案は、被告会社の株主総会の権限の範囲に属する事項とはいえないと考えられることについて説明を受けた上で、弁護士の意見を確認し、監査役間で協議し判断したものであると指摘。裁判所は、判断過程に照らせば、被告監査役らに重大な善管注意義務違反があったということはできないなどとして原告の請求を棄却した。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
- 
						 
- 
						 団体向け研修会開催を 
 ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。 研修会開催支援サービス
- 
						 

 
							 
							 
							 
							 
							









 
					 
					


