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解説記事2022年12月26日 SCOPE スマホなども調査の対象、滞納処分の質問検査権等を整備(2022年12月26日号・№960)

令和6年1月1日以後から適用へ
スマホなども調査の対象、滞納処分の質問検査権等を整備


 令和5年度税制改正では、滞納処分に関する整備・適正化が実施される。滞納処分免脱罪については、差押財産を直接壊す行為だけでなく、価値を減損する行為なども適用対象にする。また、帳簿の電子化を踏まえ、滞納処分に関する調査に係る質問検査権に電子データを加えるほか、滞納処分に関する調査に係る協力を求める措置の対象に官公署・政府関係機関だけでなく、事業者を追加する。これらの改正は、令和6年1月1日以後から適用される。

差押財産の価値を毀損した場合も滞納処分免脱罪の適用対象

 令和5年度税制改正では、課税関係の整備・適正化の1つとして滞納処分関係の見直しが行われる。1つ目は、滞納処分免脱罪の適用対象の整備だ。国税徴収法では、納税者が滞納処分の執行等を免れる目的で財産を隠ぺいし、損壊し、国の不利益に処分し、又はその財産に係る負担を偽って増加する行為をした者に対しては、滞納処分免脱罪の適用があり、3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金(併科あり)に処する旨が規定されている(徴収法187条)。
 しかし、差押財産を直接損壊する行為については滞納処分免脱罪の適用対象になるものの、差押不動産の上に廃棄物を持ち込む等の行為は、差押財産自体に損傷を与える行為とはいえないため、財産の「損壊」には該当せず、滞納処分の執行等を免れる目的で行われたとしても、滞納処分免脱罪の適用がないとされる。このため、今回の改正では、「その現状を改変して、差押財産の価値を減損し、又はその対象分に係る滞納処分費等を増大させる行為をした」場合についても滞納処分免脱罪の適用対象にする(図1参照)。

現行では電子データの調査が得られないことがネック

 帳簿書類の電子化に対応するため、滞納処分に関する調査に係る質問検査権等の整備が行われる。現行、課税調査に係る質問検査権については、「帳簿書類」に加えて、「その他の物件」も調査対象であることが明確化されている。一方、滞納処分に関する調査に係る質問検査権については、帳簿書類を提示・提出を求めることができる権限がないため、電子帳簿書類のダウンロードを求めることができないほか、対象が帳簿書類に限定されていることから、電子データの調査について協力を得られないケースがあるという。
 このため、滞納処分に関する調査の相手方に対して、帳簿書類その他の物件の提示又は提出を求めることができるようにするとともに、質問検査権の対象に帳簿書類以外の物件を加える(図2参照)。「その他の物件」とは、パソコン、スマートフォン、監視カメラの映像などが該当。また、提示・提出の対象となるものとしては、「電子帳簿のデータ」「メールでの取引記録」「有価証券・暗号資産の取引明細等」が該当する。

 そのほか、滞納処分の調査に係る質問検査権の行使先について、滞納者に「現に債権・債務がある者」に加えて、「過去に債権・債務があった者」が含まれることを明確化する。
滞納処分に関する調査協力者に事業者も
 滞納処分の調査協力を求める措置の整備では、その対象に「事業者」を追加する。現行、徴収職員は、滞納処分に関する調査について必要があるときは、官公署又は政府関係機関に、その調査に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができるとされているが、事業者に対しては協力を求める税法上の明文規定がなく、任意の照会について、対象者とのトラブルを懸念して、協力を得られないケースがあるとの弊害が生じているためである。

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