解説記事2023年03月13日 最新判決研究 親子間の土地使用貸借契約に係る駐車場収入の帰属(実質所得課税の原則)(2023年3月13日号・№970)
最新判決研究
親子間の土地使用貸借契約に係る駐車場収入の帰属(実質所得課税の原則)
大阪高裁令和4年7月20日判決(令和3年(行コ)第64号)
大阪地裁令和3年4月22日判決(平成31年(行ウ)第51号)
筑波大学名誉教授・弁護士 品川芳宣
一、事実
(1)X(原告、昭和6年5月6日生まれ)は、平成25年頃、H市内で農業に従事し、同市内に多量の不動産を所有し、賃料収入等を得ており、平成16年頃以降、上記不動産のうち、P等土地(1851㎡)及びR土地(823㎡、P等土地と併せて「本件各土地」という。)を造成するなどした上で、駐車場として賃貸して、賃料収入(以下「本件各駐車場収入」という。)を得ていた。Xは、C税理士法人の丁税理士の不動産の節税対策の助言に従い、P等土地につき、長男乙との間で、平成26年1月25日付の使用貸借契約書(以下「P等土地使用貸借契約書」という。)を取り交わし、R土地につき、長女丙との間で、同日付の使用貸借契約書(以下「R土地使用貸借契約書」という。)を取り交わし(以下「本件各使用貸借契約」という。)、同日頃、乙に対しP等土地を引き渡し、また、丙に対しR土地を引き渡した。Xは、平成27年3月9日、平成26年分所得税につき、本件各土地の賃料に係る不動産所得の総収入金額を平成26年1月の1か月分であるとする確定申告書を提出した。
(2)これに対し、H税務署の調査担当者(以下「本件担当者」という。)は、平成27年9月8日以降、Xの平成26年分所得税等につき、税務調査を実施した(以下「本件調査」という。)。また、Xは、平成29年1月24日、平成26年分所得税の確定申告に誤りがあったとする更正の請求(以下「本件更正請求」という。)をした。これに対し、H税務署長は、平成29年3月23日付で、本件更正請求に対し理由がない旨の通知処分(以下「本件通知」という。)をするとともに、平成26年2月以降の本件各駐車場収入はいずれもXに帰属するものとする更正処分(以下「本件更正」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分等(以下両処分を併せて「本件更正等」という。)をした。Xは、本件更正等を不服として、前審手続を経て、平成31年4月5日、国(被告)に対し、本件更正等の取り消しを求め、本訴を提起した(なお、平成3年3月7日Xが死亡したため、本訴は乙及び丙が承継した。控訴審では、Xを亡甲と称する。)。
二、争点及び当事者の主張
1 争 点
(1)本件訴えのうち、本件通知の取消請求に係る部分の適法性(争点(1))
(2)本件訴えのうち、本件更正のうち更正の請求額(不動産所得の金額1804万円余等)を超えない部分の取消請求に係る部分の適法性(争点(2))
(3)平成26年2月以降の本件各駐車場収入がXに帰属するか否か(争点(3))
2 Xの主張
(1)通知処分とその後にされた増額更正処分は、基本的に別の処分であり、吸収されたり包摂されたりする関係にはない。したがって、本件通知処分の取消請求と、本件更正処分等の取消請求は、理由を異にして争っているのであり、それぞれに訴えの利益がある(争点(1))。
(2)Xは、本件審査請求の手続において、本件確定申告において記載した不動産所得の金額(1886万円余)にも、本件更正請求において記載した不動産所得の金額(1804万円余)にも、本件通知と本件更正等のそれを超える部分の一部取消しを求める旨陳述した。したがって、本件訴えのうち、本件更正のうち、不動産所得の金額1794万円余等を超えない部分の取消しを求める部分についても、訴えの利益がある(争点(2))。
(3)Xの本件各使用貸借契約書作成当時(平成26年1月)、乙が平成25年11月18日に丁税理士に話していたように、意思能力に問題はなく、自らの相続に関する意向を外部に明確に表明していたし、印章や本件各土地を管理していたし、主体的に本件各使用貸借契約の締結に取り組んでいた。さらに、Xは、平成26年3月、本件確定申告をする際、本件各土地からは平成26年1月以降不動産所得がないことを前提とする行動をとっていたから、本件各土地の賃貸の主体が移っていることを認識し、了承していたし、本件担当者に対し、乙又は丙に代わって固定資産税等の負担をし、その代わりに本件各土地を無償で貸していると認めていたのであるから、本件各使用貸借契約の内容が使用貸借であることを十分認識していたのである。したがって、Xが本件各使用貸借契約書の内容を認識していなかったということはあり得ず、本件各使用貸借契約書について民事訴訟法228条4項の推定の基礎を欠くとする国の主張は失当である(争点(3))。
(4)Xは、高齢となり、乙又は丙に、自宅から離れた本件各土地の駐車場経営を委ねるべく、平成26年1月、本件各使用貸借契約を締結し、乙又は丙は、以後本件各土地を管理してきた。したがって、Xが本件各使用貸借契約を締結したことは、法的に何ら問題がない行為であり、民法上の選択可能性を濫用して税負担の軽減を図る租税回避事案ではないのであって、処分証書の法理にいう「特段の事情」がある場合には当たらない(争点(3))。
(5)本件について所得税法12条に規定する実質所得者課税の原則の適用についてみると、乙又は丙は、本件各使用貸借契約により本件各土地を無償で借り受け、本件各土地の利用者たる賃借人に対し、本件各土地を賃貸していたから、本件各駐車場収入の帰属についての法律上の名義は乙又は丙にある。そして、本件各駐車場収入の帰属を実質に即して判定すると、乙又は丙が本件各土地の駐車場管理業務をし、賃貸借契約や賃貸借契約を変更する契約を締結したり、管理費用を本件各不動産管理業者に支払ったりしており、本件各土地から得られた利益をXに還流させることもなかった。本件各駐車場収入は、その実質を見ても、乙又は丙に帰属していたことになる(争点(3))。
3 国の主張
(1)増額更正処分と通知処分は、いずれも所得税等の納税義務の確定に係る処分であるところ、通知処分は申告税額の減少のみに関わるのに対し、増額更正処分は、納付すべき税額の全体に関わり、実質的には申告税額等を正当でないものとして否定し、これに増額変更を加えて税額の総額を確定するものであるから、増額更正処分の内容は、通知処分の内容を包摂する関係にあると解される。したがって、増額更正処分と通知処分の両方の処分がされた場合、その税額等を争う納税者は、増額更正処分に対する取消訴訟をもって争えば足り、これと別個に通知処分を争う訴えの利益や必要を有しないものと解すべきである(争点(1))。
(2)本件訴えのうち更正の請求額を超えない部分の取消しを求める部分は、訴えの利益がなく不適法である(争点(2))。
(3)本件各使用貸借契約書は、Xの意思に基づく署名・押印があるので、民事訴訟法228条4項により、本件各使用貸借契約書が真正に成立したものと推定されることになる。しかし、当時、Xは本件各使用貸借契約書の内容を全く認識していなかったと認められ、上記の推定の基礎を欠き、上記の推定は働かないから、本件各使用貸借契約書は、真正に成立したものとは認められない(争点(3))。
(4)本件各使用貸借契約書は処分証書であるところ、処分証書は、「特段の事情」がない限り、一応その記載どおりの事実を認められるべきとする民事事実認定上の経験則(以下「処分証書の法理」ともいう。)が存する。もっとも、当事者によって選択された法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式とは一致しない異常のものであり、かつ、そのような法律的形式を選択したことについてこれを正当化する「特段の事情」がない限り、租税負担の公平の見地からして、当事者によって選択された法律的形式には拘束されないと解するのが相当であり、このような場合には、処分証書の法理にいう「特段の事情」があると判断されるべきである(争点(3))。
(5)仮に、本件各使用貸借契約が有効に成立していたとしても、本件各駐車場収入がXに帰属する。すなわち、所得税法12条は、いわゆる実質所得者課税の原則を明らかにしているところ、同原則の意義については、課税物件の法律上の帰属者とみられる者と真実の法律上の帰属者とが相違している場合には、実質に即して帰属を判定すべきと解する見解(法律的帰属説)が妥当であると解されている。その立場からすれば、同条の「資産…から生ずる利益…を享受する者」とは、「資産の真実の権利者」であるというべきであり、所得税基本通達12−1においても、そのように取り扱われている。
したがって、仮に、本件各使用貸借契約が有効であったとしても、本件各使用貸借契約の実質からみて、本件各駐車場収入が誰に帰属しているかを判断すべきであり、本件の事実関係の下では、本件各土地の真実の権利者であるXに帰属すると認められる(争点(3))。
三、一審判決要旨
請求認容(本案)。
1 争点(1)本件通知の取消請求の適法性
増額更正処分と通知処分は、いずれも所得税の納税義務の確定に関わる処分であるところ、通知処分は、申告された税額の減少のみに関わるのに対し、増額更正処分は、納付すべき税額全体に関わり、実質的には申告された税額を正当でないものとして否定し、これに増額変更を加えて税額の総額を確定するものであるから、増額更正処分の内容は、減額更正処分をしない旨の通知処分の内容を包摂する関係にあるということができる。したがって、増額更正処分と通知処分がされた場合、税額等を争う納税者は、これらの処分の前後を問わず、増額更正処分の取消しを求める訴えを提起して争うことにより、税額の全体を争うことができるのであって、これと別個に通知処分を争う利益を有しないものと解すべきである。
2 争点(2)本件更正のうち更正の請求額を超えない部分の取消請求の適法性
申告納税方式及び更正の請求の制度の趣旨に照らせば、更正の請求が当初の申告に係る税額等の一部を限度としてされた場合には、納税者において国税通則法23条4項に従って税務署長がした更正処分につき不服があったとしても、当該処分に係る課税標準等又は税額等のうち当該更正の請求に係るところを超えない部分については、納税者において自らの申告によりこれを確定させたものであるから、その取消しを求めることに訴えの利益がない。
3 争点(3)本件各駐車場収入の帰属
(1)本件の認定事実によれば、本件各使用貸借契約書のXの署名・押印は真正なものであるから、民事訴訟法228条4項によれば、本件各使用貸借契約書のX作成部分は真正に成立したものと推定されることになる。これに対し、国は、Xが本件各使用貸借契約書の内容を全く認識していなかったと認められるから上記推定は働かず、本件各使用貸借契約書は真正に成立しておらず、本件各使用貸借契約も成立していない旨主張する。
そこで、以下では、Xが本件各使用貸借契約書の内容を全く認識していなかったとして本件各使用貸借契約書が真正に成立したとの推定が働かないといえるか否かについて検討する。
① Xは、平成26年1月頃当時、82歳であったが、意思能力に特段の問題はなかったところ、上記認定事実のとおり、本件各使用貸借契約書の作成を含む本件各取引は、Xの意向を受けた乙が丁税理士の助言に基づいて主導的に進めたものであるが、本件各使用貸借契約書の内容、Xが多数の不動産を所有し賃料収入等を得ていたこと、Xの行動傾向等に照らしても、乙が、Xに対し、本件各取引を進めるに当たって、その内容について何らの説明をせず、又はその内容について全く理解をさせないまま、本件各使用貸借契約等の契約書に署名・押印させたとは考え難く、また、Xが本件各使用貸借契約書の内容を理解せず、確認もしないまま署名・押印をしたとも考え難い。
② Xは、乙から説明を受け、本件各取引により本件各土地の賃貸人が乙又は丙になるという枠組みについては理解・了解し、そのような認識の下で本件各使用貸借契約書に署名・押印したものの、その法的な意味等の詳細までは理解していなかった可能性が十分にあり、そうであれば、署名・押印してから1年7か月以上も経過してされた本件担当者の面談や電話において、本件各使用貸借契約書について質問を受けても、的確に答えることができず、押印した記憶がないなどと述べたとしても不自然ではない。
以上によれば、Xは、乙からC税理士法人が作成した本件各使用貸借契約書のひな型への署名・押印を求められ、その記載内容を一切確認せず、言われるがままにこれに応じたと推認することはできない。
(2)上記で検討したとおり、本件各使用貸借契約書は真正に成立したものと認められるところ、経験則に照らせば、本件各使用貸借契約書のような処分証書が真正に成立していれば、「特段の事情」がない限り、作成者によって記載通りの行為がされたことを認めるべきである(処分証書の法理)。本件に即してみると、本件各使用貸借契約書には「使用貸借契約書」という表題があり、その記載内容も前記前提事実のとおり比較的複雑なものとはいえないから、本件各使用貸借契約書がXの意思に基づいて作成された以上、「特段の事情」がない限り、Xによって記載どおりの行為がされたことが認められることになる。そして、国は、「特段の事情」について主張する。
国の主張のうち、本件各贈与契約は、本件各土地と一体となる本件舗装等を贈与の対象とするものであって法律上の意味の乏しいものではあるが、本件各贈与契約や本件各取引の内容、一連の契約締結過程等に照らせば、契約当事者の意思としては、本件各土地の賃貸人が乙又は丙となることを明確にする意図で契約を締結しようとしたものであったと解される。
また、X及び乙又は丙の本件各取引を行う目的として、X及び乙又は丙が支払う租税の合計額を軽減させることにあったことは認められるものの、このような目的があったことと、本件各使用貸借契約の内容どおりの行為がされたこととは両立し得るというべきである。
次に、本件各不動産管理業者は、平成26年2月以降、乙又は丙の銀行口座に本件各駐車場収入を振り込むようになるなど、乙又は丙が賃貸人であることを前提とする行動をとっていること、P等土地については、同月1日から賃貸人の地位が乙に変更したことが各賃借人に周知され、同日以降、各区画の賃借人が賃貸借契約の更新又は変更をする際には、賃貸人を乙とするP等土地賃貸借契約を締結したこと、R土地については、丙が、D会との間で、賃貸借期間を同日から2年として以後2年ごとに更新するとするR土地賃貸借契約を締結したこと、乙は同月以降P等土地の賃貸人としての各種の行動をとっていること、乙又は丙からXに対して本件各使用貸借契約書で定められた金員(固定資産税等相当額)を振り込んだにとどまり、本件各駐車場収入の全て又は大半の額は振り込んでいないこと等の事情を総合すれば、同月以降、本件各土地の使用収益権は乙又は丙にあり、本件各土地の賃貸人は乙又は丙であり、それらは仮装されたものではないと認められる。
その他の国が主張する事情をもってしても、真正に成立した処分証書である本件各使用貸借契約書の記載どおりの行為がされたとの経験則を妨げる「特段の事情」であるということはできない。
(3)所得税法12条は、資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、所得税法の規定を適用する旨規定する。
上記のとおり、本件各土地の賃貸借に関する民法上の法律関係を、所得税法12条の規定に照らしてみると、乙又は丙は、「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者」に該当するというべきである。そして、乙又は丙は、賃貸人として本件各駐車場収入を得ることになり、実際にも平成26年2月以降、乙又は丙の銀行口座に本件各駐車場収入が振り込まれており、本件各駐車場収入を収益をして享受しているから、「単なる名義人であって、その収益を享受」しないということはできない。さらに、Xは、同月以降、本件各駐車場収入を収益として享受していないから、「その者以外の者がその収益を享受する場合」における「その者以外の者」に当たるということもできない。
また、所得税基本通達12−1は、所得税法12条における「資産…から生ずる収益」を享受する者の判定について定めた通達であり、同条の適用上、資産から生ずる収益を享受する者が誰であるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者が誰であるかにより判定すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定する旨規定する。
これを本件についてみると、「その収益の基因となる資産の真実の権利者」は、本件各土地の使用収益権を有する乙又は丙であるということになると解され、「それが明らかでない場合」には当たらないということになる。
したがって、本件において、所得税法12条の適用により、平成26年2月以降の本件各駐車場収入の帰属がXにあるということはできないというべきである。すなわち、乙又は丙がX所有の本件各土地を第三者に賃貸しており、Xと乙又は丙との間に本件各使用貸借契約が締結されている本件において、本件各使用貸借契約によりXから乙又は丙に本件各土地の使用収益権が与えられていることになるから、当該賃貸に係る賃料収入(本件各駐車場収入)は乙又は丙に帰属することになる。
四、控訴審判決要旨
請求棄却(国敗訴部分取消し)
(1)乙及び丙が本件各舗装部分等を所有するという本件各使用貸借契約の目的は、本件各贈与契約が同時に締結されたことや同契約書の記載から合理的に解釈されることに止まり、本件各使用貸借契約書上は、付合している本件各舗装部分をも含む本件各土地を使用貸借したものと解したとしても、特段整合しない記載は認められない。そして、本件においては、前記認定事実により、本件各使用貸借契約が成立したものと認定することができる。
(2)所得税法12条は、租税負担の公平を図るため、資産から生ずる収益の帰属について、名義又は形式とその実質が異なる場合には、当該資産の名義又は形式にかかわらず、当該資産の真実の所有者に帰属させようとした趣旨と解される。そして、所得税基本通達12−1が「法第12条の適用上、資産から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定すべきである。」と規定しているのもこれと同じ趣旨と解され、合理的なものと解すべきである。
不動産所得である本件各土地の駐車場収入は、本件各土地の使用の対価として受けるべき金銭という法定果実であり(民法88②)、駐車場賃貸事業を営む者の役務提供の対価ではないから、所有権者がその果実収益権を第三者に付与しない限り、元来所有権者に帰属すべきものである。
そして、本件で乙及び丙が本件各土地の法定果実を収取できる根拠は使用借権(民法593)であるが、使用借主は、その無償性から、本来使用貸主の承諾を得ない限り、法定果実収取権を有しないところ(同法594②)、本件においては、既に本件各土地の所有権に基づき駐車場賃貸事業を営んで賃料収入を取得していた亡甲が、子である乙及び丙に本件各土地を使用貸借し、法定果実の収取を承諾して、その事業を乙らに承継させたというのであるから、本件各取引は、亡甲が本件各土地の所有権の帰属を変えないまま、何らの対価も得ることなく、そこから生じる法定果実の帰属を子である前記乙らに移転させたものと評価できる。しかも、使用貸借における転貸の承諾、すなわち法定果実収取権の付与は、その無償性から、その承諾を撤回し、将来に向かって付与しないことができると考えられることからすると、そもそも、亡甲から使用貸借に基づく法定果実収取権を付与されたことで、当然に実質的にも本件各土地からの収益を享受する者と断ずることはできないというべきである。
したがって、たとえ、本件各取引後、本件各土地の駐車場の収益が乙及び丙の口座に振り込まれていたとしても、そのように亡甲が子である乙及び丙に対する本件各土地の法定果実収取権の付与を継続していたこと自体が、亡甲が所有権者として享受すべき収益を子に自ら無償で処分している結果であると評価できるのであって、やはりその収益を支配していたのは亡甲というべきであるから、平成26年2月以降の本件各駐車場の収益については、乙及び丙は単なる名義人であって、その収益を享受せず、亡甲がその収益を享受する場合に当たるというべきである。
五、解説
はじめに
本件は、大阪近郊で農業を営んでいた者(X、亡甲)が、所有している不動産(土地)の一部を駐車場として賃貸していたところ、当該駐車場(本件各土地)を子供2名(乙、丙)と10年間の使用貸借契約を締結し(本件各使用貸借契約)、当該駐車場に係る賃貸料を上記子供達に帰属させたことが所得税法上の課税上問題となったものである。本件使用貸借契約については、Xが多量に所有している不動産に係る相続税対策の一環として行われたものであり、相続税対策を専門とする税理士(C税理士法人、丁税理士)の指導によるものであるが、当時、X自身は高齢のため認知症気味であったというものである。
そのため、Xの所得税の税務調査(本件調査)の際のXらと調査担当者(本件担当者)との質問検査等において本件各使用貸借契約の真偽が問題となり、かつ、本件各使用貸借契約が真実であったとしても、本件各土地に係る賃貸料はXに帰属するものか否かが問題となった。このように、都市近郊の農家においては、都市化のために地価が高騰する土地を多量に所有しているが故に、その所得税、相続税対策が大きな問題となり、それらの対策をビジネスとする税理士等の専門家も多い。そのため、本件は、そのような富裕層の資産・節税対策の参考となるものである。
なお、本訴においては、上記の課税上の問題にとどまらず、本案前の問題として、Xが平成26年分所得税について更正の請求(本件更正請求)をしたことに対する通知処分(本件通知)と本件更正とが同時に行われた際に本件通知の取消しを独立して争うことができるか、及び本件更正のうち本件更正請求の請求を超えない部分の取消請求の訴えの利益の有無が争われたが、それらの争点については、当事者の主張と本件各判決の判決要旨の紹介にとどめることとする。
1 不動産の使用貸借契約
(1)不動産の使用関係については、通常、賃貸借契約又は地上権設定契約が締結され、民法及びその特別法である借地借家法において賃借人の地位が手厚く保護されている。しかし、そのことは、地主(所有者)の経済的地位が弱体化するため、当該契約時に多額な一時金(権利金)の収受、あるいはその後の賃貸料の設定等が大きな問題となる。また、それらに対応して、地主(所有主)と賃借人の課税関係も複雑となり、それらの法規制や関係通達の取扱いも多岐にわたる。
そのため、上記のような複雑な法律関係や課税関係を避けるため、親族等の特別の関係がある者間等では、又は使用期間が短期間の場合には、不動産の賃貸借契約ではなく、使用貸借契約が選択されることもままある。この場合、使用貸借契約の法律関係は、次のとおりである。
(2)すなわち、民法593条は、「使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。」と定めている。また、使用貸借の解除については、「貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りではない。」(民法593の2)とされている。
そして、借主による使用及び収益は、「借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。」(民法594①)とされ、「借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。」(同594②)とされ、「借主が前2項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。」(同594③)とされている。そして、借用物の費用負担については、借主が、通常の必要費を負担することになる。
次に、使用貸借の終了については、「当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。」(民法597①)とされ、「当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。」(同597②)とされ、「使用貸借は、借主の死亡によって終了する。」(同597③)とされている。また、使用貸借の解除については、「貸主は、前条第2項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。」(民法598①)とされ、「当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。」(同598②)とされ、「借主は、いつでも契約の解除をすることができる。」(同598③)とされている。
更に、借主による収去等については、「借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。」(民法599①)とされ、「借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させたものを収去することができる。」(同599②)とされ、「借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」(同599③)とされている。
以上の民法上の使用貸借の法律関係に照らすと、本件のように、親子間で節税目的で不動産の使用貸借が行われている場合には、契約の当事者が契約解除の申出をすることも想定し難いので、借主は、当該使用貸借期間中は他に転貸して当該不動産の収益を安定して享受することができ、かつ、当該使用貸借期間も双方合意の下に何度も更新することも可能であると考えられる。
(3)もっとも、かつては、課税当局は、親族間の土地の使用貸借につき、借主側に地上権(借地権)相当額の贈与があったものとして課税していた事があり、当該課税処分の当否が法廷で争われたことがある。すなわち、大阪地裁昭和43年11月25日判決(税資53号892頁、行裁例集19巻12号877頁)(注1)の事案では、夫が所有する土地の一部(189㎡余)を妻に対して使用貸借させたところ、課税庁が借主である妻に対して借地権相当額の贈与があったものとする贈与税の課税処分を行い、当該課税処分の適否が争われることになった。しかし、上記大阪地裁判決は、次のように判示して、当該課税処分を取り消している。
「使用貸借は、無償の使用関係として交換経済の埒外にあるため借地権のような諸立法による社会的保護とは無関係であり農地を除いては、極めて劣弱な保護しか与えられていない。例えば、契約の解消(民法597条、599条)、貸主の担保責任(同法596条)、借主の費用負担(同法595条)等の諸点において借地権に比し著しい差異があり、この差異はとりも直さず所有権に対する使用借権の制約が借地権に比し微弱であることを証明する。されば、後記の如く使用貸借による土地使用の利益を使用料として把握するなら格別、その他に、所有権に対する使用借権の制約を借地権割合の如きものとして評価することは、その共通の地盤を欠く点において、又、右の制約に対する借地権割合のような一般的標準の存在しない現在において、甚だ困難であるのみならず、更に加えて、本件の場合は、夫婦間の使用貸借であるため貸主たる夫は、民法第754条によりいつでも契約の取消ができるから原告の有する使用借権は、普通の使用貸借の場合に比べて一層薄弱となっており、このことは、契約の取消に際し、第三者の権利を害することができないので土地の交換価値の或程度の下落を来すことがあるとしても、原告の有する使用借権の価値自体の評価とは関係がなく、これを左右する原因となるものではない。」
かくして、課税当局は、この大阪地裁判決をもって、個人間の使用貸借につき、借地権相当額の認定課税を行わなくなった。その点では、この大阪地裁判決は、下級審判決といえども、先例(判例)の機能を発揮したこととなる(注2)。
2 実質所得者課税の原則の法理
(1)所得税法12条及び法人税法11条に規定する実質所得者課税の原則は、租税法の基本原則と言われた実質課税の原則を具現したものと解されている。もっとも、実質課税の原則それ自体は、時の流れの中で、その重要度が低下している嫌いが見受けられる。すなわち、実質課税の原則が重視されていた頃の政府税制調査会「国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)」(昭和36年7月5日)では、その第二において次のように答申していたことがある。
「第二 実質課税の原則等
税法の解釈・適用に関しては、現行法においても従来からいわゆる実質課税の原則の適用があるとされ、これに基づいた具体的な規定も各税法に部分的に散見されるのであるが、国税通則法制定の機会において、各税を通ずる基本的な課税の原則として次のようにこれを明らかにするものとする。
一 実質課税の原則
税法の解釈及び課税要件事案の判断については、各税法の目的に従い、租税負担の公平を図るよう、それらの経済的意義及び実質に即して行うものとするという趣旨の原則規定を設けるものとする。」
そして、前記答申は、上記に続き、「実質課税の原則の一環として、租税回避行為は課税上これを否認することができる旨の規定を国税通則法に設けるものとする。」また、既存の同族会社等の行為計算の否認規定につき、その対象者を拡大するために、「実質課税の原則規定に関連して、特殊関係者等における行為計算の否認に関する基本的な規定を設けるものとする。」等を答申した(注3)。
しかし、昭和37年の国税通則法の制定に当たっては、上記の各提言は、同法に明記されることはなかった。そして、その後の租税法の解釈基準としての実質課税の原則は、それ程重視されているようではなさそうである(注4)。
(2)ところで、所得税法12条は、「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。」(同旨法人税法11条)と定めている。
この規定の意義・解釈については、次のように解されている(注5)。
「その意義については、2つの見解がありうる。1つは、課税物件の法律上(私法上)の帰属につき、その形式と実質とが相違している場合には、実質に即して帰属を判定すべきである、という趣旨にこれらの規定を理解する考え方である。これを法律的帰属説と呼ぶことができる。他の1つは、これらの規定は、課税物件の法律上(私法上)の帰属と経済上の帰属が相違している場合には、経済上の帰属に即して課税物件の帰属を判定すべきことを定めたものである、と解する立場である。これを経済的帰属説と呼ぶことができる。これらの規定が「収益の享受」というような経済的な表現を用いている点からすると経済的帰属説が正しいように見えるし、名義人というような表現を用いている点からすると法律的帰属説が正しいようにも見える。文理的には、どちらの解釈も可能である。しかし、経済的帰属説をとると、所得の分割ないし移転を認めることになりやすいのみでなく、納税者の立場からは、法的安定性が害されるという批判がありうるし、税務行政の見地からは、経済的に帰属を決定することは、実際上多くの困難を伴う、という批判がありうる。その意味で、法律的帰属説が妥当である。」
上記のような解釈が通説的になっているのは、前述した実質課税の原則が軽視されるようになったことと無縁ではないように考えられる。
(3)また、課税実務の見地から、所得税基本通達12−1は、「法第12条の適用上、資産から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定する。」と定めている。この取扱いの趣旨について、国税庁の担当者は、次のように説明している(注6)。
「前段は、法第12条(〈略〉)の「資産から生ずる収益を享受するもの」の解釈の問題である。法第12条の規定は、資産の名義人がその収益を享受しないで名義人以外の者が収益を享受する場合には、常にその享受する者の所得として課税するというのではなく、その名義人が「単なる名義人」である場合の規定であることにまず注意しておく必要がある。次に、「収益を享受する」という意味は、例えば、貸家の所有者が毎月の家賃の全部を親族に自由に消費させているような場合であっても、第一次的には、その所有者が収益を享受しているとみるべきものであって、その親族は単に二次的にその分配にあずかっているにすぎないものと解すべきものである。したがって、そのように考えた場合には、法第12条にいう「収益を享受する者」とは、その資産の真実の所有者ということになる。…………本通達では、少なくとも資産から生ずる所得については、法律上の真実の権利者が経済的・実質的にも収益の帰属者であるという考え方に立ち、法律上の形式がその法的実質と異なる場合にはその実質によるものであることを示しているにすぎないものである。」
3 本件各駐車場収入の帰属
(1)前述したように、本件は、親(X)が、子(乙、丙)に対し、平成26年2月に所有している駐車場用地(本件各土地)を使用貸借させ(本件各使用貸借契約)、当該駐車場に係る賃料収入(本件各駐車場収入)を乙、丙に帰属させ、その旨各人の所得税を申告したものである。このようなスキームは、Xが大量の土地を所有しているが故に、将来の相続税対策を睨んだ節税策であり、顧問税理士の提案するものであった。また、当時、Xが高齢で認知症気味であったこともあり、平成27年9月に開始された税務調査(本件調査)の際の調査担当者(本件担当者)の質問に対し、Xが要領を得ない回答があったようでもあった。
そのため、所轄税務署長による本件駐車場収入がXに帰属する旨の課税処分(本件更正等)に当たり、本件各土地使用貸借の契約自体が否定されることになった。かくして、本訴においては、本件各使用貸借契約の存否それ自体が争われることになった。次いで、本件各使用貸借契約が存在(有効)するにしても、実質所得者課税の原則に照らし、本件各駐車場収入を実質的に享受していたのはXであるか否か(乙らには帰属していないか否か)が争われることになった。
(2)本件の一審判決は、「Xが本件各使用貸借契約書の基本的な内容を認識した上で本件各使用貸借契約書に署名・押印した事実を優に認定することができる。」旨判示し、国が、本件各使用貸借契約を否定することができる「特段の事情」がある旨の主張に対し、本件の事実関係に照らし、「直ちに本件各使用貸借契約書に記載どおりの行為がされたとの経験則を妨げる「特段の事情」があるとすることはできないというべきである。」と判示した。次いで、一審判決は、本件における実質所得者課税の原則の適用に関し、「本件において、所得税法12条の適用により、平成26年2月以降の本件各駐車場収入の帰属がXにあるということはできないというべきである。すなわち、乙又は丙がX所有の本件各土地を第三者に賃貸しており、Xと乙又は丙との間に本件各使用貸借契約が締結されている本件において、本件各使用貸借契約によりXから乙又は丙に本件各土地の使用収益権が与えられていることになるから、当該賃貸に係る賃料収入(本件各駐車場収入)は、乙又は丙に帰属することになる。」と判示した。
しかし、控訴審判決は、本件各使用貸借契約が成立していることは認めたものの、実質所得者課税の原則の適用に関しては、「使用貸借における転貸の承諾、すなわち法定果実収取権の付与は、その無償性から、その承諾を撤回し、将来に向かって付与しないことができると考えられることからすると、そもそも亡甲から使用貸借に基づく法定果実収取権を付与されたことで、当然に実質的にも本件各土地からの収益を享受する者と断ずることはできない」と判示し、次いで、「たとえ、本件各取引後、本件各土地の駐車場の収益が乙及び乙の口座に振り込まれていたとしても、そのように亡甲が子である乙及び丙に対する本件各土地の法定果実収取権の付与を継続していたこと自体が、亡甲が所有権者として享受すべき収益を子に自ら無償で処分している結果であると評価できるのであって、やはりその収益を支配していたのは亡甲というべきであるから、平成26年2月以降の本件各駐車場の収益については、乙及び丙は単なる名義人であって、その収益を享受せず、亡甲がその収益を享受する場合に当たるというべきである。」と判示した。
(3)以上のように、本訴においては、一審判決及び控訴審判決とも、本件各使用貸借契約の効力は認めたものの、実質所得者課税の原則の適用に当たっては、本件各駐車場収入を実質的に享受する者を、一審判決が名義人どおり乙及び丙と認定したのに対し、控訴審判決が所有者であるX(亡甲)と認定し、結論を異にした。しかし、このような両判決の結論の違いについては、考えさせられるところがある。まず、前記1で述べた使用貸借契約の法理に照らすと、確かに、使用貸借における借主の権利は、賃貸借におけるそれよりもかなりぜい弱であるが、それでも、借主は、定められた使用期間中は当該物を自由に使用収益が可能であり、貸主の承諾によって第三者に対する転貸しも可能である。そして、本件各賃貸借契約は、それらのことが意図されて締結されたことにほかならない。その意味では、本件各使用貸借契約は、借主にとって安定的な使用関係にあるものと言える。
そして、当該各使用貸借契約に係る課税関係については、前掲大阪地裁昭和43年11月25日判決が判示するように、使用貸借に係る土地の使用料相当額が貸主から借主に贈与されたものと取り扱われるとしても(注7)、当該借主(乙、丙)が他に転貸して得られる賃借料(本件各駐車場収入)は、一時的には当該借主に帰属するものと解する方が妥当であると考えられる。また、それが、当事者の意思でもあったはずである。その点では、むしろ一審判決の方が自然であるように考えられるし、控訴審判決は、いたずらに一般の使用貸借関係の不安定性を強調して、本件各駐車場収入の実質的享受者をX(亡甲)であると認定したことにむしろ不自然さを感じる。
4 本件各判決の意義と問題点
以上のように、本件は、大都市近郊に多くの土地を所有している者の相続税対策にからんだ所得税の節税策として、当該土地の一部を当該所有者から子供達に使用貸借させ、当該土地の賃貸料を当該子供達に帰属させようとした場合の課税関係が争われたものである。そして、その課税関係の前提として土地の使用貸借の法律関係が問題とされ、それを前提にした実質所得者課税の原則の適用のあり方が問題とされたものである。このような事案は、都市近郊の大口土地所有者の相続税等の節税策として興味深いものがあり、かつ、それらの課税関係について一審判決と控訴審判決が異なった判断をしたことが、それらの課税関係の難しさを語っている。
そして、本訴については、控訴審で確定しているが、その控訴審判決については、前述のような問題が残されている。いずれにしても、本件の各判決は、大口土地所有者の節税策の是非を判断したもので、実務に参考になるものと考えられる。
(注1)同判決の評釈については、中川一郎(シュトイエル87号1頁)、北谷健一(税務弘報17巻7号120頁)等参照。
(注2)なお、相続税の課税価格の算定につき、使用貸借の対象となっている相続財産である土地の価額については、借家権相当額を控除すべきではない(自用地として評価)と判示したものとして、東京地裁昭和55年9月3日判決(行裁例集31巻9号1750頁)、東京高裁昭和57年4月16日判決(税資123号84頁)等がある(税経通信1984年12月臨時増刊・資産税重要判例紹介特集号120頁、122頁参照)。
(注3)これら答申の内容等については、志場喜徳郎他「令和4年改訂 国税通則法精解」(大蔵財務協会 令和4年)24頁以下参照。
(注4)金子宏「租税法 第23版」(弘文堂 平成31年)124頁等参照。
(注5)前出(注4)181頁。
(注6)樫田明他共編「所得税基本通達逐条解説 令和3年版」(大蔵財務協会 令和3年)110頁。
(注7)前出(注4)708頁参照。
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