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資料2023年10月16日 重要資料 法人税基本通達の主要改正項目について(国税庁)(2023年10月16日号・№999)

重要資料
法人税基本通達の主要改正項目について(国税庁)


 令和5年9月21日付課法2−17ほか2課共同「法人税基本通達の一部改正について」(法令解釈通達)による主な改正点は、次のとおりです。

法人税基本通達関係
 2021年10月にOECD/G20の「BEPS包摂的枠組み」において合意されたグローバル・ミニマム課税に対応するため、令和5年3月の所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号。以下「改正法」といいます。)の公布及び同年6月の関係政省令の公布により、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税が創設され、令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用することとされました。
 この各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税は、対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度において、全世界での年間総収入金額が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業グループを対象にしており、実質ベースの所得除外額を除く所得について国ごとに基準税率15%以上の課税を確保する目的で、子会社等の所在する軽課税国での税負担(実効税率)が基準税率15%に至るまで、日本に所在する親会社等に対して上乗せ(トップアップ)課税を行う制度です。
 本制度は、2021年12月及び2022年3月にOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」において承認されたモデルルール及びそのコメンタリー(以下「モデルルール等」といいます。)に則って法制化が行われています。モデルルール等は、各国又は地域に対してグローバル・ミニマム課税の導入を義務付けるものではなく、コモン・アプローチとしての位置付けとされていますが、各国又は地域がグローバル・ミニマム課税を導入する場合には、モデルルール等が意図する結果と整合する形で導入及び実施をすることとされており、モデルルール等に沿った運用が求められています。
 このような背景から、今回の法人税基本通達の一部改正においても、その法令解釈についてはモデルルール等の趣旨を十分に踏まえて行っており、また、諸外国の税制や会計制度は区々であることから一義的な取扱いを定めることができないようなケースについては、例示をするにとどめています。したがって、通達中に例示がない、通達に定められていない等の理由で法令の規定の趣旨、本制度の導入の背景等に即しない解釈に陥ることのないよう留意が必要です。

1 法第82条((定義))関係
〇 企業集団が複数ある場合の企業グループ等の判定(基通18−1−1 新設)

 本通達では、企業グループ等の判定に当たり、会社等が、当該会社等に係る企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類を作成していたとしても、当該会社等の最終親会社が特定財務会計基準又は適格財務会計基準に従って当該最終親会社に係る企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類を作成している場合には、当該最終親会社に係る企業集団のみが企業グループ等に該当し、当該会社等に係る企業集団は企業グループ等に該当しないこと、つまり、いわゆるサブ連結グループは企業グループ等に該当しないことを留意的に明らかにしています。

〇 財産及び損益の状況が連結して記載される会社等(基通18−1−2新設)
 企業グループ等の判定に当たり、最終親会社に係る企業集団に属する会社等が「財産及び損益の状況が連結して記載される会社等」に該当するかどうかは、当該会社等に係る最終親会社の連結等財務諸表に係る会計処理の基準(以下「最終親会社財務会計基準」といいます。)に従って判定することとされています。
 本通達では、最終親会社財務会計基準において、「連結財務諸表に関する会計基準」が適用される場合には、その連結財務諸表に関する会計基準により連結の範囲に含まれる会社等がこれに該当することを例示により明らかにしています。
 また、この場合において、その連結財務諸表に関する会計基準における更生会社、破産会社等、「持分法に関する会計基準」における関連会社は、「財産及び損益の状況が連結して記載される会社等」に該当しないことについても併せて明らかにしています。

〇 特定財務会計基準等に従って計算書類が作成されていない企業集団(基通18−1−5 新設)
 本通達では、企業グループ等の判定に当たり、特定財務会計基準又は適格財務会計基準に従って企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類が作成されていない企業集団であっても、特定財務会計基準又は適格財務会計基準において、最終親会社に係る企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類を作成することとされている企業集団は、企業グループ等に該当することを留意的に明らかにしています。
 また、当該最終親会社の所在地国において複数の会計処理の基準の適用が認められている場合であって、そのいずれかの会計処理の基準において、当該最終親会社に係る企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類を作成することとされない企業集団は、企業グループ等に該当しないことについても併せて明らかにしています。

〇 総収入金額の範囲(基通18−1−7 新設)
 本制度の対象となる特定多国籍企業グループ等の判定における総収入金額は、多国籍企業グループ等に係る最終親会社等の連結等財務諸表における売上金額、収入金額その他の収益の額の合計額とされています。
 本通達では、この「売上金額、収入金額その他の収益の額の合計額」には、売上高のほか、受取利息、有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、為替差益、貸倒引当金戻入益、持分法による投資利益、固定資産売却益及び負ののれん発生益の科目など、計算書類における全ての収益の額が含まれることを明らかにしています。
 また、これらの総収入金額には、除外会社等に係る収益の額も含まれることを併せて留意的に明らかにしています。

〇 持分法が適用される会社等(基通18−1−14 新設)
 本制度の対象となる共同支配会社等の判定に当たり、持分法が適用される会社等に該当するかどうかは、当該会社等に係る最終親会社財務会計基準に従って判定することとされています。
 本通達では、最終親会社財務会計基準において、「持分法に関する会計基準」が適用される場合には、その持分法に関する会計基準により持分法の適用範囲に含まれる会社等がこれに該当することを例示により明らかにしています。

〇 税引後当期純損益金額の計算(基通18−1−24 新設)
 実効税率を計算するための基準とすべき個別計算所得等の金額の基礎となる税引後当期純損益金額については、最終親会社等財務会計基準に基づき計算することとされています。
 本通達では、その計算に当たって留意すべき次の事項を明らかにしています。
(1)対象会計年度の税引後当期純損益金額に含まれないその他の包括利益の金額が、いわゆる組替調整(リサイクリング)により当該対象会計年度後の対象会計年度の損益計算書の項目に計上される金額に含まれることとなった場合には、当該その他の包括利益の金額を含めて、その当該対象会計年度後の対象会計年度の税引後当期純損益金額の計算を行うこと。
(2)非支配株主に帰属する金額を含めて、税引後当期純損益金額の計算を行うこと。

〇 構成会社等の会計処理の基準が最終親会社財務会計基準と異なる場合の取扱い(基通18−1−26 新設)
 本通達では、構成会社等の損益計算書が最終親会社財務会計基準と異なる会計処理の基準により作成されている場合であっても、最終親会社財務会計基準において当該損益計算書を用いて連結等財務諸表を作成することが認められているときには、その認められる限りにおいて、当該構成会社等の税引後当期純損益金額の計算につき、最終親会社財務会計基準に基づき再計算する必要はないことを明らかにしています。

〇 構成会社等の決算日と対象会計年度終了の日が異なる場合の取扱い(基通18−1−28 新設)
 本通達では、構成会社等の決算日と対象会計年度終了の日が異なる場合に、当該構成会社等の決算が当該対象会計年度終了の日に行われたものとして当該構成会社等の税引後当期純損益金額の計算を行うかどうかは、最終親会社財務会計基準に従うことを留意的に明らかにしています。
 また、最終親会社財務会計基準において、「連結財務諸表に関する会計基準」が適用される場合であって、当該構成会社等の決算日と当該対象会計年度終了の日の差異が3か月を超えないため、当該構成会社等の決算日に係る計算書類を用いて連結等財務諸表を作成しているときは、当該計算書類を基礎に当該構成会社等の税引後当期純損益金額を計算することについても併せて例示により明らかにしています。

〇 独立企業間価格(基通18−1−33 新設)
 構成会社等又は共同支配会社等が、当該構成会社等と所在地国が異なる他の構成会社等又は当該共同支配会社等と所在地国が異なる当該共同支配会社等に係る他の共同支配会社等との間で取引(資本等取引を除きます。以下「対象取引」といいます。)を行った場合において、当該対象取引の当事者の税引後当期純損益金額又は恒久的施設等純損益金額の基礎となる対象取引は独立企業間価格で行われたものとみなされることとされています。
 本通達では、対象取引につき、独立企業間価格であるとして、構成会社等又は共同支配会社等がそれらの所在地国の租税に関する法令を執行する当局に独立企業原則に従って申告した額が、当該対象取引に係る金額と同じである場合には、次に掲げるときを除き、当該対象取引に係る金額を独立企業間価格であるものとして取り扱って差し支えない旨を明らかにしています。
(1)対象取引に係る金額につき、構成会社等又は共同支配会社等が当該対象取引の当事者の所在地国の租税に関する法令における独立企業間価格に関する規定により、当該所在地国の租税に関する法令を執行する当局から更正又は決定(外国におけるこれらに相当するものを含みます。以下同じです。)があった場合において、それぞれの所在地国の権限ある当局間の条約等に基づく合意(外国におけるこれに相当するものを含みます。以下同じです。)が行われたとき。
(2)対象取引に係る金額につき、独立企業間価格の算定の方法及び対象取引に関する事項について構成会社等の所在地国の権限ある当局及び他の構成会社等の所在地国の権限ある当局による確認(外国におけるこれに相当するものを含みます。以下同じです。)があるとき又は共同支配会社等の所在地国の権限ある当局及び他の共同支配会社等の所在地国の権限ある当局による確認があるとき。
(3)対象取引に係る金額につき、独立企業間価格の算定の方法及び対象取引に関する事項について一方の所在地国の権限ある当局のみによる確認があるとき。
(4)対象取引に係る金額につき、構成会社等又は共同支配会社等が当該対象取引の当事者の所在地国の租税に関する法令における独立企業間価格に関する規定に従って、当該所在地国の租税に関する法令を執行する当局に当該対象取引に係る金額を修正して申告したとき。
(5)対象取引に係る金額につき、構成会社等又は共同支配会社等が当該対象取引の当事者の所在地国の租税に関する法令における独立企業間価格に関する規定により、当該所在地国の租税に関する法令を執行する当局から更正又は決定を受けたとき((1)に掲げるときを除きます。)。
 また、上記(1)から(5)までの合意、確認、申告、更正又は決定に係る金額は、それぞれ上記(1)から(5)までに掲げるときにおける独立企業間価格となることを留意的に明らかにしています。

〇 所得に対する法人税又は法人税に相当する税の範囲(基通18−1−64 新設)
 本通達では、実効税率の計算の基礎となる対象租税のうち、「所得に対する法人税又は法人税に相当する税」には、各事業年度の所得に対する法人税、地方法人税(各事業年度の所得に対する法人税に係る部分に限ります。)、道府県民税及び市町村民税(都民税を含みます。)の法人税割並びに事業税の所得割並びに外国におけるこれらに相当する税(次に掲げるものを含みます。)が含まれることを例示により明らかにしています。
(1)構成会社等又は共同支配会社等が組合員となっている任意組合等において営まれる事業から生ずる利益の額又は損失の額で、現実に利益の分配を受け又は損失を負担していないものに係る所得を課税標準として課されるもの及び外国におけるこれらに相当するもの
(2)外国子会社合算税制等の適用により課されるもの

〇 対象租税の範囲に含まれないものの例示(基通18−1−66 新設)
 本通達では、対象租税には、道府県民税及び市町村民税(都民税を含みます。)の均等割、事業税の付加価値割、附帯税並びに地方税に係る延滞金及び加算金並びに外国におけるこれらに相当するものは含まれないことを例示により明らかにしています。

2 法第82条の2((国際最低課税額))関係
〇 構成会社等の従業員又はこれに類する者の範囲(基通18−2−1 新設)

 実質ベースの所得除外額の計算における特定費用とは、構成会社等の従業員又はこれに類する者に係る給与等の費用をいうこととされています。
 本通達では、この「構成会社等の従業員又はこれに類する者」には、構成会社等の通常の業務(当該構成会社等又は当該構成会社等が属する特定多国籍企業グループ等の他の構成会社等の指揮命令を受けて行うものに限ります。)に従事する外部職員(独立請負人)が含まれることを例示により明らかにしています。

〇 有形固定資産及び天然資源の例示(基通18−2−2 新設)
 実質ベースの所得除外額の計算における特定資産とは、最終親会社等財務会計基準において有形固定資産や天然資源とされるもの等をいうこととされています。
 本通達では、この有形固定資産には、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第22条各号((有形固定資産の範囲))に掲げる資産が該当し、この天然資源には、油田、ガス田、山林及び鉱床が該当することを例示により明らかにしています。

〇 無国籍構成会社等に対する適用免除基準の不適用(基通18−2−10 新設)
 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(各種投資会社等を除きます。)の所在地国における収入金額や利益又は損失の額の平均額として一定の計算をした金額が、それぞれ一定の金額に満たない場合には、当該構成会社等の所在地国における当期国別国際最低課税額を零とすること(適用免除)が選択できることとされています(適用免除基準)。
 本通達では、所在地国がない無国籍構成会社等は、この適用免除の対象とならないことを留意的に明らかにしています。

3 改正法附則第14条((国際最低課税額の計算に関する経過措置))関係
〇 国際最低課税額の計算に関する経過措置における国別グループ純所得の金額から控除する金額の取扱い(経過的取扱い(3))

 実質ベースの所得除外額については、特定費用の額及び特定資産の額のそれぞれに対して5%を乗じて計算することとされていますが、改正法附則第14条第5項及び第6項の経過措置により、5%に代えて対象会計年度の開始の日に応じてそれぞれ一定の割合に基づき計算することとされています。
 本通達では、改正法附則第14条第1項の、いわゆる国別報告書セーフハーバーにおける実質ベースの所得除外額についても、当該一定の割合に基づき計算することを留意的に明らかにしています。

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