税務ニュース2024年07月19日 電子取引データ保存、未だ質問途絶えず(2024年7月22日号・№1036) 訂正又は加除した見積金額について税務調査で指摘を受ける可能性も
令和6年1月から電子取引データ保存制度が義務化されたが、未だに聞かれる質問が、電子取引データの保存範囲が令和6年1月前後でどのように変わったのかというものだ。電子取引データ保存制度については、令和3年度改正で、それまでは「書面」に出力して保存していればよかったものが「電子データ」により保存しなければならないとされ、その後、「保存要件の緩和措置」について累次の改正で行われてきたものの、「保存範囲」そのものについての改正は行われていない。すなわち、令和6年1月前後で、電子帳簿保存法における電子取引データの保存範囲も、紙でやりとりした取引関係書類の保存範囲も変わっていないということである。
その上で、電子データ取引の保存範囲について特に注意を要するのが、見積書等を取引先と複数回やりとりする場合だ。電子取引データの保存においては、取引情報の授受の過程で発生する訂正又は加除した情報を個々に保存することなく、確定情報のみを保存することとしている場合には、これを認めるとされている(電帳通7−1(2))。この訂正又は加除したデータとは、確定データに至る前の情報を言う。見積書の場合、前の見積金額を変更して、新たな見積金額として確定したとすると、各々の見積金額が「確定データ」となるため、最終的に合意に至った見積データのみを保存するのではなく、各々の見積データを保存しなければならない(同電帳通解説)。
したがって、見積書については、各々の見積書の見積金額を確定データとして保存しなければならないものの、例えば、「見積書」という名称の書類で相手に交付したものであっても、連絡ミスによる誤りや単純な書き損じ等があるもの、事業の検討段階で作成された、正式な見積書を作成する前の“粗々”なもの、取引を希望する会社から一方的に送られてくる見積書などは保存の必要がないとされている(国税庁「お問合せの多いご質問」電取追1)。
訂正又は加除した見積金額などは紙のみで保存していた時代には全く気にも留めなかっただろうが、上記の通り国税庁が見解を明らかにしている以上、今後税務調査で指摘される可能性がある。電子取引ばかりでなく紙で見積書等をやり取りし紙で保存する場合も含め、注意しておく必要がある。
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