会計ニュース2024年07月19日 改正リース会計、個別財務諸表にも適用(2024年7月22日号・№1036) ASBJ、税法上の取扱いを想定した基準開発は困難
企業会計基準委員会(ASBJ)が進めているリース会計基準等の開発も大詰めを迎えているが、最大の論点ともいえるのが個別財務諸表にも連結財務諸表と同じ会計処理を適用するかどうかだ。改正リース会計基準は、IFRS第16号「リース」と同様、借手のリースについて、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、すべてのリースを金融の提供として捉えて、使用権資産に係る減価償却資産及びリース負債に係る金利費用をそれぞれ認識する単一の会計処理モデルを採用しており、現行のリース会計基準と大きく異なっている。同委員会では、原則として、連結財務諸表と個別財務諸表の両方について同じ会計基準を適用することとしているが、個別財務諸表にも適用することとした場合には、税務上の取扱いなどに大きな影響を及ぼす。
公開草案に対しても、改正リース会計基準を個別財務諸表にも適用し、税制改正が行われることになった場合には、中小企業を含む幅広い企業に影響を及ぼすことが懸念されることから、現行と同様の会計処理を適用すべきなどの意見が寄せられていた。しかし、同委員会では、会計基準を開発する上で、会計上の取扱いの変更に合わせて税法上の取扱いが変更されることを前提とした基準開発を行うことや、税法上の取扱いを想定して会計上の取扱いを定める基準開発の方向を採ることは難しいと判断。公開草案通り、個別財務諸表にも改正リース会計基準を適用することとしている。
なお、特にリース事業会社からは、仮に消費税法が改正される場合には、貸手に消費税の資金負担が生じるとの懸念が寄せられている。貸手の第2法(受取リース料を各期において売上高として計上し当該金額からリース期間中の各期に配分された利息相当額を差し引いた金額を売上原価として処理する方法)の会計処理の廃止を個別財務諸表にも適用された場合には税法が改正される可能性が高く、この場合、貸手は、各課税期間において開始したリース取引に係るリース料の総額に対して消費税が課されるが、消費税を借手に転嫁できずに資金負担が求められるとしている。この点について企業会計基準委員会は、現行の会計上の取扱いと税法上の取扱いを整合させることを会計基準の開発上の制約条件とすることは適当ではなく、この問題に対処するために個別財務諸表においてのみ、特段の手当を行う会計上の論拠は見出し難いとしている。
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