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解説記事2020年04月06日 SCOPE 収益認識における表示及び注記事項が決定(2020年4月6日号・№829)

2021年4月1日開始事業年度の期首から適用
収益認識における表示及び注記事項が決定


 企業会計基準委員会は3月31日、改正企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等を公表した。収益認識に関する表示及び注記事項を定めるもの。重要な会計方針として「企業の主要な事業における主な履行義務の内容」「企業が当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)」を記載する。また、収益に関する注記として、①収益の分解情報、②収益を理解するための基礎となる情報、③当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報を注記することとしている。適用は2021年4月1日以後開始事業年度等の期首からとし、早期適用も認めている(詳細は本誌810号40頁参照)。

開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項は記載を要せず

 収益認識の表示及び注記事項に関しては、企業会計基準委員会が2018年に公表した収益認識会計基準の強制適用時(2021年4月1日以後開始する事業年度から)までに検討することとされていたもの。まず、収益認識の表示に関しては、顧客との契約から生じる収益の額を適切な科目をもって損益計算書に表示するか、注記することとされた。顧客との契約から生じる収益は、例えば、売上高、売上収益、営業収益等として表示する。
 契約資産と顧客との契約から生じた債権の区分表示又は注記の要否に関しては、2018年会計基準では、契約資産と債権を貸借対照表において区分表示せず、かつ、それぞれの残高を注記しないことができることとしていたが、今回の会計基準では当該記載を削除し、契約資産と顧客との契約から生じた債権のそれぞれについて、貸借対照表に他の資産と区分して表示するか、貸借対照表に他の資産と区分して表示しない場合はそれぞれの残高を注記することに変更されている。
注記のチェックリストにあらず
 収益に関する注記を行うにあたっては、「顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を企業が注記すること」との開示目的を達成するために、(1)収益の分解情報、(2)収益を理解するための基礎となる情報、(3)当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報――を記載することを求めている。これらの項目は、IFRS第15号を参考として具体的な注記事項を定めているが、IFRS第15号の注記事項の取扱いと同じく、最低限の注記のチェックリストとして用いられることを意図したものではないとしており、必要な注記を検討するにあたっては、開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については、記載しないことができるとした。この判断は、定量的な要因と定性的な要因の両方を考慮する必要があるとし、定量的な要因のみで判断した場合に重要性がないとはいえない場合であっても、開示目的に照らして重要性に乏しいと判断される場合もあるとした。
 (1)の収益の分解情報では、当期に認識した顧客との契約から生じる収益について、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づく区分に分解した情報の注記が求められる。企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用している場合には、収益の分解情報と、セグメント情報等会計基準に従って、各報告セグメントについて開示する売上高等との間の関係を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を注記することとしている。ただし、セグメント情報等会計基準に基づいて開示される売上高に関する情報が、改正会計基準における収益の会計処理の定めに基づいており、かつ、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づく区分に分解した情報として十分であると判断される場合には、セグメント情報に追加して収益の分解情報を注記する必要はないとした(本誌827号参照)。
 (2)の収益を理解するための基礎となる情報では、収益認識の5つのステップに合わせ、①契約及び履行義務に関する情報、②取引価格の算定に関する情報、③履行義務への配分額の算定に関する情報、④履行義務の充足時点に関する情報、⑤本会計基準改正の適用における重要な判断について注記する。
 また、(3)の当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報としては、①契約資産及び契約負債の残高等、②残存履行義務に配分した取引価格を注記することとしている。ただし、これらの注記については、財務諸表作成者から事務負担に対する懸念が寄せられたことから一定の事務負担の軽減を図っている。②の残存履行義務に配分した取引価格の注記については、IFRS第15号と同様、当初に予想される契約期間が1年以内の契約の一部である履行義務は、残存履行義務の注記に含めないことを容認している。
個別財務諸表、収益の分解情報等は不要
 そのほか、連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表においては、収益認識に関する注記の定めにかかわらず、前述した「収益の分解情報」及び「当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報」を注記することを要しないこととされている(参照)。また、四半期財務諸表等においては、収益の分解情報の注記のみ求められる。

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