税務ニュース2025年06月13日 内国歳入法899条は個人投資家も対象(2025年6月16日号・№1078) 日本居住者については2027年1月の配当・利子から適用へ
米国の税制改正法案「One Big Beautiful Bill」により新設される内国歳入法899条が波紋を広げている。899条の内容は本誌1077号で既報の通りだが、注意したいのは、同条の適用対象者は「居住者」であるため、法人のみならず個人も適用対象になるということだ。したがって、日本居住者である個人が米国株の配当や米国の金融機関等から利子を受け取る場合、899条による報復措置が適用されれば、租税条約で減免されている源泉税率(例えば個人の米国株の配当の場合、10%)から毎年5%ずつ源泉税が加算されることになる。また、899条では、外国人不動産投資税(FIRPTA)により課せられる米国所在の不動産の売却に係る源泉税も加算の対象となる。なお、「居住者」が対象であることから日本に居住する外国人も対象となるが、米国国籍保持者は対象外とされている。
日本では令和7年度税制改正でUTPRに対応して「各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税」が創設され、2026年4月1日以降の事業年度から適用される。このため、日本は「差別的外国」に該当し、899条の報復措置の対象となる。899条の適用開始日に関する規定は複雑だが、源泉税については「当該国の不公正外国税が初めて適用された日」である「UTPRが初めて適用される2026年4月1日以降に開始する「最初の暦年の初日」」に当たる2027年1月1日以降に適用される見込み。
一方、源泉税以外の所得税やスーパーBEATについては「各課税年度に適用」とされていることから、日本でUTPRが最初に適用される2026年4月1日「の後に開始する課税年度である」2027年4月1日以降に899条が適用されると理解される。
英独仏蘭、韓国など2025年1月1日時点でUTPRの適用が開始している国では、899条を含む税制改正法案が9月末までに成立した場合、源泉税については、「本条の制定日から90日後」の最初の暦年の初日が「適用日」となり、2026年1月以降に上記各国で適用される。また、DSTや迂回利益税も報復措置の対象となっているため、それらを法制化している国が報復措置の対象から逃れるためには、DST、UTPR、迂回利益税を全て撤廃する必要がある。
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